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14.5 フレッドの恋 2

「それと、少し前にも助けて頂いたのを覚えておいででしょうか?」

「私が・・何か?」


 フローレンス様はクスッと笑われて


「ゾーロイ卿にとっては些細な事です。ですが私にとってはとても嬉しかったのですよ」


 あの日は・・

 妃殿下テストも最終段階を迎えたある夜会で、私は数人の子息と、令嬢たちに囲まれておりました。

 理由は第二王子殿下と、現妃殿下の仲を壊す悪女!と・・

 そんなつもりはありません! と、何度も伝えても聞き入れて貰えず、宰相の力を借りる卑怯者!とも言われました。

 もうその場に居るのも辛く、逃げ出そうと思ったときゾーロイ卿に助けて頂いたのですよ?


 と、可愛らしい微笑みと共に見つめられた。

 その顔に胸が熱くなった。


「そちらにおいでなのは宰相閣下のご令嬢でしょうか?」と。


 私を取り囲んでいた人たちは一斉に貴方の方を見て


「何だ第二王子殿下の糞か」「子爵位風情が口を挟むな」


 と、散々な事を言われておりましたのに貴方はそんな事気にもせず


「その糞を、殿下は必要と側に置いてくださっております。子爵位風情と仰りますがそちらにいらっしゃるは公爵令嬢。貴方がたよりも高位の方ですよ?」


 その言い方は誰よりも強かった。


「そして、公爵令嬢フローレンス様は妃殿下にとっては無二の親友と仰られておりました。そんなお方に対し宜しいのですか?」


 貴方はそう言い残すと、私をその場から救ってくださったのですよ。と・・


「・・覚えております。貴女は一人あの輪の中で気丈にしておられた。その姿がとても・・私には輝いて見えて思わず口を出してしまったのです」


 そうあの時の彼女は、一人で数人からの悪意ある言葉を受け止めていた。

 その姿は公爵令嬢としての姿で、私の目にはとても輝いて見えた。


(ああ、私は自分の気持ちに蓋をしていたのだ。釣り合わない身分に諦め、見えないフリをして・・)


「妃殿下にも言われましたの。自分の気持ちを伝えなさい!と。両親はゾーロイ卿・・フレッド様の心を掴んで来なさい!と、応援してくださいました」


 フローレンス様は姿勢を正し真っ直ぐに私を見る。


「フレッド様、五年前からずっとお慕いしております。私は公爵家の総領娘です。貴方の元に嫁ぐ事は出来ません。が、どうか私と結婚して頂けませんか?」


 耳まで赤くしながらもハッキリと告げられた言葉に、思わず涙が込み上げる。

 が、それよりも彼女に先に言われた事が情けなくて急いで彼女の側へと寄り、片膝を付き左手を掬いながら、


「貴女様に先に言われてしまった情けない男ですが、こんな私でも貴女を守らせて頂ける権利をくださいますか?」


 目を見て乞う。

 フローレンス様は涙を浮かべながら


「フレッド様は情けない男性ではありません」


 お互い見つめ合いながら伝えよう。

 蓋をして見なかった事にしていた自身の気持ちを


「フローレンス様、生涯を貴女と共に過ごしたい。貴女のたった一人の夫にしてくださいますか?」


 もちろんです!


 私に思いきり飛び込んで来たフローレンス様を受け止める。

 この細い身体にのし掛かる、公爵という重圧を少しでも軽くしてあげたいと本気で思ってしまった。




 すみません父上、母上。


 ごめん、マーガレット。


 子爵位と領地はお任せ致します。

 

 私は私で自分の力を発揮します!


 


 

本編が進まなくてごめんなさい。

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