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14 フレッドの恋  1

「フレッドは結婚しないのか?」


 急に問いかけてきたのは主人である第二王子だ。

 私は手に持っている書類を殿下の机に置きながら


「私も嫡男なので領地へ帰ればそうなるでしょう。ですが今はまだ考えてはおりませんし、私の後釜に考えているアラン・フロイドが卒業して独り立ちするまでは無理ですね」


 ふーん、と机に肘を着きながら笑っている。

 この王子が妻を娶ったのはつい最近の事で、その準備に駆けずり回っていた事をこの人は忘れたのか?


 それで無くても田舎の領地で、しかも子爵位の私に王都の令嬢など嫁に来るはずもなく・・


「とにかく殿下の結婚式が無事執り行われたばかりで、仕事も山積みで私どころでは無いですね」


 と、答えておいた。


 のに?なぜ?


 私の目の前には宰相閣下の一人娘、フローレンス様が?

 しかも私をお茶に誘ってくれているこの現状が頭に追いつかない。


 ハッ!と閃き!


「フローレンス様、私に何か聞きたい事でもございますか?私の知っている事なら何でもお答えいたします」


 紳士な対応をする。

 するとモジモジしていたフローレンス様が


「では、お言葉に甘えて・・」


 と言ってきたので身体を前屈みにして待った。

 こちらのフローレンス様は第二王子殿下の妃殿下候補の一人だった。

 最終まで残っていたが突然降りられた、少し変わったご令嬢だと周りの者が話していたのを覚えている。


 だか、この令嬢は知っていたんだ。

 殿下と妃殿下に選ばれた令嬢が、想い合う仲だと・・


「ゾーロイ卿は男のご兄弟はいらっしゃるの?」

「・・えっ?」


 思ってもいない質問だった。


「男の兄弟はおりません。妹が二人、双子なんですが今は学園へ在学中です」

「もし、婿入りの話があったら、ゾーロイ卿はどうされますか?」

「? そうですね。まず嫡男ですので無いとは思いますが・・その時は当主である父に任せます。」


 フローレンス様は少し考えていた。

 想う相手が嫡男なのかな?と思いながら、もしそうなら少しでも協力せねば!と、真面目に答えていった。


 次の日


「フレッド、昨日はどうだった?フローレンス嬢とお茶をしたのだろう?」


 知っててわざとらしい・・


 そう思うが主人の問いに答えない訳にもいかず、


「聞かれた事には真剣にお答え致しました。」

「そうか!宰相からも今朝、良い手応えがあったと報告をうけてな!おそらく今週中にはお前の父に手紙が届くであろう!」


 いや〜良かった良かった! と嬉しそうに話されている。

 何が?!

 さっぱり訳が分からなかったが、父からの伝令に驚いた。


[宰相閣下からお前とご令嬢との縁組の話が来た!どうゆう事だ!]と・・


 俺はいそいで殿下の元へと行き詰め寄った。

 殿下は


「あれ?フレッドはフローレンス嬢との結婚に承諾したと聞いたぞ」

「へっ?いつの間に?」

「「・・・・」」


 もう一度場を設けるから話せ!


 と、今に至る


「あの・・父に話が行ったと聞きましたが・・なぜ私なのでしょうか?」


 遠回りはしない。

 誰でも良いのなら私は下がろうと、別の子息を紹介しようとリストも作ってきた!


「あの・・覚えていらっしゃいませんか?私に手を差し伸べてくださった事・・」


 少し考えたが思い出せない。


「いつの事でしょう・・申し訳ありません」


 フローレンス様は顔を真っ赤にしながら


「少し前・・いえ、五年ほど前に昼のガーデンパーティーで助けた娘を覚えていませんか?」 

「五年前・・」

「それと最近も・・」


 考えた。まずは五年前・・


「あっ!あの時の!」


 五年前、一人の令嬢が会場から無理矢理連れ出されそうになっていたのを助けた事を思い出した。

 相手は確か・・


「当時の婚約者候補の一人です。私の返事が気に入らなかったと言って・・その関係を作ろうと・・」

「そうでしたね!私もまだ学生の身でしたので、結局問題となってしまい・・あの子息には申し訳ない事を・・」

「いいえ、父も助けて頂いた事を喜んでおりました!そのあの方は、父の前ではとても貴公子でしたので・・」


 あの後その子息は、王都から遠く離れた領地の未亡人に婿入りしたと聞き、今では夫婦仲も良く三人の子供にも恵まれたと。


「暫くの間、男の方が怖くて・・それで選ばれる事が無い妃殿下候補に入れて頂いたんです」



長くなりそうなので二話に分けました。

同日投稿にします。

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