10 アラン
[今回の件で謹慎処分となりました。私が何をしたのでしょうか?身に覚えのない事を言われ、責められ正直人間不信になりそうです。それに、この短期間で私への誹謗中傷がすごい事になっていてとても辛いです。両親に手紙を書いたところ、一度領地へ戻っておいで。と言われました。フローラの事もあるからと。明日立ちます。今後の事は両親と相談しアラン様に手紙を書きますね。 マーガレット・ゾーロイ]
あの日からマーガレットとは学園で会えておらず、また下級生にも知り合いがいない為心配していた。
寮に戻ると寮母から
「ご実家からお手紙が届いていますよ」
と言われ受け取る。が、実家とは伝書鳩でやり取りをしている為疑った。
差出人は・・
「マーガレット?!」
で、冒頭に至る。
確かになぜマーガレットが謹慎処分を受けないといけないのか?
俺は手紙を持ってもう一度学園へと戻った。
「実は、マーガレットの親から休学の手続きが出されたんだ。二人分の」
「いつの話だ?」
「それは・・」
生徒会室へ戻るとアイルがまだ残っていて、マーガレットからの手紙を見せた。
アイルの言葉から何かを知っていたのでは?と感じ取り強めに聞き返すと、話して良いのか悪いのか・・とはぐらかす。
「頼むアイル!何か知っていたら教えて欲しいんだ」
「ん〜、どうしますか?フレッドさん」
フレッドさん?
俺はアイルの目線の先へと顔を動かす。
するとそこにいたのは、双子の兄であるフレッドさんだった。
「久しぶりだね、アラン。少し話が長くなるけど良いかい?これはゾーロイ家とフロイド家に関わる事だから」
と、今までの事と今起きている事を話してくれた。
事の発端はある貴族令嬢からの密告が、第二王子宛に届けられた事だった。
「その令嬢は友人の誘いである貴族の屋敷で開かれた、仮面パーティーに参加した。そこは狭い部屋で引き返そうと思った時には身体が硬直して動かなかったそうだ。」
「何か飲まされたのですか?」
「いや、まだ何も口にしていなかったと証言した。そこで、何か違和感は無かったか?と聞いたところ・・その部屋全体に甘い香りがしていたと」
甘い、香り・・まさか。
「媚薬だよ。しかも女性にしか効果が出ないと言われる代物だ。最近この国にも出回り出してね、国として取り締まりを始めたところだったんだ」
フレッドさんは出されたお茶を一口飲んだ。
(そんな代物なんてまだ高額でとても簡単に手を出せる物ではない。)
「君の考えている事は間違いでは無いと思う。高額な代物を購入出来るのは間違いなく高位貴族だ。しかも、前々から噂が絶えないお方だ」
顔に出ていたのか?口から出たのか?フレッドさんは俺が思っていた事を言わなくても理解してくれた。
「まさか・・」
「フレドリック・テリー侯爵子息だ。癪なことに俺と名前が似ている事で勝手に私の名を使っているそうだよ!」
フレッドさんは怒り心頭だ。
「殿下の命で調べていたところ、コンラッドとフローラがそのパーティーに参加していた事がわかった」
フレッドさんは力無く言った。
親友だと思った男と妹が絡んでいたんだ。ショックだっただろう・・
「それで、そのパーティーでは何が行われていたんですか?あっ!」
甘い香りの香をわざわざ焚いた理由はただ一つ。
「乱交パーティーだ」