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まじ

「飲みたまえ、高級茶だ。私の名前はリオル・ワタソン。このギルドのギルドマスターだ」


 目の前に持ってこられた高級茶。リオルさんの手にもたれている私が関わって作った強力なポーション。それを開けて、匂いを嗅いだリオルさんは目を丸くして、すぐにポーションの瓶に蓋をした。


「本当に、ノア君は運がいいというかなんというか。君でも気づかなかったのか」

「自分で魔法が使える奴からは魔力が駄々洩れなことが多いから気づくが、シズエは使えないから。魔力が体の中に丁寧に保管されてる状態だ。たぶんそのせいで気が付かなかった」

「それにしても、このポーションは力が強すぎるね。ただでさえノア君が作るポーションは効果が強いのに、さらに力が加わってしまって、瀕死でも助けられる仕様になってる。作っていて気が付かなかったの?」

「包装して箱に詰めたのはシズエだから、気が付かなかった」


 二人で淡々と話しを進めていく。私のことを話しているのは分かるけど、なぜこんなに空気がピリピリしているかは分からない。


「シズエさん、今までパーティーを組んだことはありましたか?ギルドを使ったのは今日が初めて?」

「えーっと、ここより離れた村に住んでいたので。ギルドを使用したのは今日が初めてで。ノアがポーションを売るって言っていたので、ついて行って魔力量を調べてほしいなぁって思っただけで」


 特に反応をするわけでもなく、またノアの方に視線を向けた。

 

「ノア君、君はなぜ彼女と一緒に居るんだい」

「俺が盲目なことぐらいギルドマスターも分かってるだろ。普通に生活してても、支障は出るんだよ」

「だから、町に住んでくれって言ってるのに」

「この町は人が多くて、匂いも酷いし、うるさいから、嫌だ」


 特に騒がしさは感じなかったし、匂いもそこまで分からなかったけれども、ノアは目が見えない代わりに聴覚と、嗅覚が良いのか。ん?ってことは、私の匂いとかも分かるってこと?いやいや、私そこまで匂いしないし、大丈夫だと思うけど。


「シズエさん、貴方転生者でしょう?」

「それならどうした。この国は平和状態だし、シズエの力なんていらないだろ」

「それって、ノア君が彼女を独占したいだけ?」

「異世界転生者の力を独占したいのは国だろ。国のやりたいことは何となくわかる。シズエの力を利用して、軍の力増幅させたい。戦争をふっかけて、金を稼ぐ」


 それって、私の力が戦争に使われて、たくさん人が死ぬってことでは?人を殺すために力は使いたくない。


「私、嫌ですよ。魔物退治とかならいいですけど、人を殺すために使われるのは」

「魔物退治は良いんですか?」


 そういうことじゃない。私の力のすごさが知られてしまっては、とにかく仕事がやってくるはず。


「仕事したくないので嫌です」

「でも英雄になれますよ。お金も入ってきますし」


 そういうことじゃない。金も、権力も何もいらない。


「私はブラック企業で働いて分かったんです。金も要らないし、権力もいらない。私に必要なのは、穏やかで、落ち着いた生活なんです。それが手に入らないのなら、私はノアとルージュと山で生活します。もう仕事をするのは嫌なんですよ!」


 部屋から出て行こうとして、ノアがついてこなかったので、ノアの腕を掴んで、ギルドを出た。

 絶対にギルドの仕事なんてしない。してやるものか。私はもう仕事で忙しいなんてこと絶対に嫌だから。


「行くよルージュ」

「そんなに嫌だったの?」

「嫌に決まってるでしょ。私は前の世界で、ストレスで過労死しそうになったんだから。私がいなくてもこの国が平穏を保っているならそれでいいじゃん。私いらないじゃん」


 今すぐにでもこの町から出たかったので、ルージュが引いてきた荷車の上に乗った。


「さっさと帰ろ」

「うん」

「私は働きたくないの。死にそうになったんだもん」

「前の世界は過酷だね。仕事してるだけで死にそうになるのか」


 ルージュが街の中を馬車でかけていくと、風が髪をなびかせて、涼しい。山を登っていくか心配な気持ちもあるけれども、これだけ大きければ大丈夫な気もしてくる。


「そこに居たくなくて、幸福度が高い他の国に行こうとしたこともあったけど、言語の壁とか、いろいろあって、あきらめたり。転職しようにも、退職する勇気もなくて」

「大変だったんだ」

「それより、ルージュこのまま上っていけるの?大丈夫?」

「大丈夫。ルージュはこれぐらいなら全然引いていける。昔ドラゴンを助けたこともあったから、それを引いたのもルージュだった。コドモドラゴンだったけど」


 やっぱりこの世界ドラゴンとかもいるんだな。この森魔獣も住んでいるって言っていたし、いろいろ強い魔獣がたくさんいるんだ。私なんてところに転生させらえたのだろうか。

 ルージュに頼って山を登っていくと、ノアの家の近くに大きな飛行する動物が落ちていくのが見えた。


「ノア、あれって」

「何があったの?」

「ド、ドラゴンみたいな」


 なんでドラゴン!?

 

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