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ギルドのある町へ

 ギルドがあり、人々が住む家々があり、家畜を育てている農家がおり、平地なので大きな畑を機械でたがやしている農家がいる。町の入口に門番がおり、町の中を回っている警備兵のような人も多い。


「やあ、薬屋。隣のあんた初めて見る顔だな。薬屋の彼女か?」

「ポーションを出す量が増えてきたんで、目が見えない俺一人じゃ、手が回らなくなったから」

「こんにちは」


 屈強な男の人たちが私を取り囲んできた。髭面の男たちばかり、私の好みの男性とは程遠い。


「美人じゃないか。薬屋には見えないのがもったいないな」

「嬢ちゃん。酒奢るからおいでよ。美人で華奢なのに荷物運びなんてもったいないだろ」

「先生のお手伝いしないと。私が無理言って、先生の元ではたらかせてもらったから」


 遊び人みたいな男は好きじゃない。どちらかというと私は筋肉ムキムキの男性より、細身で落ち着いた男性の方が好き。ノアの腕を掴んで、家の方まで引っ張って、兵士たちを振り払った。


「ギルドってどこ?私のスキル鑑定してもらわないと」


 逆にノアが私の腕を引っ張り、剣のイラストが描かれた看板の前に着いた。


「たぶんここ」

「なんでわかるの。見えてないんだよね」

「匂いと音。それと経験」


 ギルドの中に入ると魔法使いらしき人や、冒険者らしき人、綺麗な女性がいたり、まだ少年という歳ほどの人もいる。面白いところ。

 ノアは躊躇することなく、まっすぐ歩いていき、ギルドの受付の目の前まで歩いていった。


「あら、エクザベートさん。ギルドに来るなんて珍しい。何か?」

「彼女のスキルの鑑定をしてほしい」

「スキル鑑定ですね。準備しますので少々お待ちください」


 女性が店の奥に行った。


「ねえ、エグザベートって苗字?」

「まあ」

「そうなの」


 エグザベートなんて、言いずらい苗字だけど、なんだか貴族とかに居そうな、高貴そう名前。魔法学校も出ているといっていたし、もしかしたら元々貴族か何か?


「さあ、お持ちしましたよ。この水晶の上に手を乗せてくださいませ」


 女性が持ってきた片手で持てるほどの水晶玉をクッションの上に置いたので、水晶玉の上に手を乗せた。


「ちょっと時間がかかるんですよね。お待ちくださいね。それで、なんでノアさんがこんな可愛らしい女性を」

「ポーションの作り方を教えてほしいと」


 彼女はにっこりと笑っているけれども、それはまるで男を狙う女の鋭い視線。何度見てきたからなんとなくわかる。

 確かにノアは美形だし好きになってしまう理由もよくわかる。優しいし、レディーファーストだし。礼儀正しくて、マナーがなっているし。そう思うと、ノアってなんで結婚してないのかな。


「そうなんですね。お姉さん運がいいですね。私なんていくら言ったって、簡単なポーションの作り方一つも教えてくれなかったんだもの」

「へえ、そうなんですね。いろいろ謎ですねぇ」


 にっこりと笑っている中では、きっと私のことを色々思いを巡らせているのでしょうね。


「鑑定が出ましたね。えーっと…嘘でしょ」

「どうしたんですか?」


 さっきまで笑っていた彼女は恐怖のような、驚きのような、混じった表情をして、私と目を合わせた。


「魔力がカンストしているうえに、なぜか自分には魔力が使えないようになっています。なのでサポートスキルにしか属性が無い」

「それってどういうことですか」

「相手に魔力を与えることしかできず、魔力を与えられた魔法使いはどんな高度な魔法でも使えるようになりますよ」

「それって…」


ドン!

 ポーションが入った木箱をドカッと乗せた音だった。ノアは少しばかり怒っている。今すぐにでもここから出ようとしている。


「これ全部換金してくれ」

「待ってください。これはギルドマスターに報告しないと。待っていてください」


 彼女はまた店の中に入っていった。彼女の代わりに、他の女性店員がやってきて、ノアの作ったポーションの換金を行った。


「すぐ帰った方が良い」

「なんで」

「これが広まったら、シズエの争奪戦になる。C級の冒険者や、魔法使いだって、シズエがいればA級ほどになれる。それにシズエと勇者とかけ合わせれば、それこそ手が付けられなくなる」

 

 それってかなりやばいことなんじゃ。転生スキルって色々あるけど、自分には使えないけど、人には使うことが出来るっていうのがかなり不利なんじゃない?だって私誰かに守ってもらわないといけないわけじゃん。


「ちょっと待ってください!薬屋さん!このポーションどうやって作ったんですか。記載されている内容物より、各段に強いポーションになってますよ」


 もしかして私がポーション作りを手伝ったから?でも私がやったことと言えば、骨すりつぶしたり、ポーションの説明文を書いて紐で括りつけた程度ですけど。


「味が変わったのはそのせいか」

「どうしよ…」


 さっき奥に入っていった店員が戻ってきて、一人の屈強な男性を連れてきた。年齢は中年に見えるけれども、筋肉質で体は若々しい。


「奥で話をいたしましょう。エグザベート様もいらしてください」

「えっと…ノア」


 打つ手なしといったように、肩をすくめて、ノアはギルドマスターの後をついて行った。そうなったら私もついて行くしかない。


 私ただ静かに過ごしたいだけなのに。なんでこんなことになってるの。絶対仕事とかしたくないし、森の中で穏やかに過ごしたいのに。


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