燃えない化石
レビュー執筆日:2021/8/2
●メロディが分かりやすく興味深い楽曲もあるものの、もう一皮剥け「直して」ほしいところも。
【収録曲】
1.アンドロメダ
2.ランドリー
3.レタス
4.マザーツリー
5.伝説的トリップ
6.魚の骨
7.胸を打つのは
藍坊主の4作目となるミニアルバム。今作も彼らのミニアルバムでは恒例の「全7曲・約30分」という構成ですが、前作のミニアルバム『木造の瞬間』と比べると、抽象的な歌詞とダ-クな雰囲気を見せる『伝説的トリップ』や明るいメロコア調の『胸を打つのは』のように、収録曲のバリエーションが少し増えたような印象を受けました(『S/Normally』の時も似たようなことを書きましたが)。
個人的なベストトラックは4曲目の『マザーツリー』。メリハリのある曲展開と独特な節回し、「その涙と その涙が ちゃんと星座になるように」「君の母さんも そのまた母さんも そのまた母さんも」等といった印象に残る歌詞が特徴的で、壮大さと暖かさを兼ね備えた楽曲として上手く仕上げられているのではないでしょうか。
ただ、アルバム全体を見渡すと、バンドとしての個性をそこまで強く放っているわけでもなく、彼らの過去のミニアルバムと同様に「なかなか良いけれど、絶賛までは行かない」という印象を受けてしまいます。メロディは相変わらず分かりやすいですし、『マザーツリー』のような曲を作れる辺りからも「よくあるギターロックバンド」に収まるような器ではないということは分かるのですが、個人的にはもう一皮剥ける……というよりもメジャー期の彼らのように剥け「直して」ほしいように感じられる作品でした。
評価:★★★★