S/Normally
レビュー執筆日:2021/7/22
●前作と似て非なるもののようでありながら、やはりどこか似ているミニアルバム。
【収録曲】
1.宇宙が広がるスピードで
2.虫の勾配
3.水牛の祭り
4.冬空
5.雨、照らす
6.トランスルーセント
7.マッチ
藍坊主の2作目となるミニアルバム。前作のミニアルバム『ブルーメリー』とは曲数が同じでタイトルも似ているのですが、こちらの方が曲のバリエーションが広く感じられます。いわゆる「青春パンク」を彷彿とさせる『宇宙が広がるスピードで』で始まったかと思いきや、続く『虫の勾配』では急に怪しげな雰囲気になりますし、『雨、照らす』はドラマー・渡辺拓郎が作曲を手掛けているだけあって普段の彼らとはメロディの運び方がやや異なる感じ。『トランスルーセント』は「シャランフェー」「タラントロン」等といった不思議なフレーズを激しいサウンドに乗せて聴かせてくれます。
こういった幅広い音楽性を結構楽しむことができましたし、全く異なる方向性の曲が同時に収録されておりながらさほど違和感が無いのもなかなか面白い感じ。その一方で、『ブルーメリー』と同様に彼らにしてはメロディがやや「弱い」印象を受けました。個人的には、「全体的に見るとなかなか良い作品でありながらも、絶賛するほどではない」という点においては前作と同様で、そういう意味では、今作は『ブルーメリー』と似て非なるもののようでありながら、やはりどこか似ているミニアルバムと言えるでしょう。
評価:★★★★