第754話
「よしこれなら先っぽが吸えそうだぞ!行ける行ける!・・・イケ・・・イッ?!??」
突然スッキリしそうになり、思わずサンを突き放したドモンの身体のドモン。
その勢いでベッドから落ち、あえなくひとりでスッキリ。
「突然どうなされたのですか奥様?!ああ~どうしてサンにくださらないのですか?!約束が違いますぅ・・・」
「ナナ、何をしているのですか!せっかくの・・・。仕方ありませんわ!3度目からやり直しですわね。サン、またあのキノコをナナに」「はい!それ!」
「ぺっぺっ!死ぬ死ぬ!死んじゃう!なんて無茶しやがる!!」
何度も食べてきたからこそわかる、完全なるオーバードーズ状態。
絞めつけられるかのような心臓の痛みと、飽くことのない性欲と征服欲。朝目覚めたばかりの時のような気怠さと下半身への血の集中。
「ナナ、あなたがはじめに言い出したことですのよ?中身は女同士だからワタクシ達の裸体では興奮しないし、刺激にももう慣れてしまって新鮮味がないからと」
「いくらでも例のキノコを食べて、何度でもするとおっしゃっていたではないですか。お願いです奥様!」
「おっしゃってない!俺だよ俺!バカ!離せふたりとも!あぁ~」
「へ?御主人様??」「ナナではないのですか?!」
いくら欲望を発散してもドモンは元には戻らず、結局大賢者のソフィアを呼んで浄化魔法を30分浴び続け、ようやくドモンのナニかは治まった。
身体のあちこちは痛むし散々である。ソフィアと付き添ったアーサーにも恥ずかしいものを凝視され続け、ドモンは生き恥地獄。
「アーサーよりも可愛気があるので平気です」とフォローのはずが、無意識にドモンを傷つけるソフィア。
一方その頃、客達の前で上半身裸のナナは大激怒。引っ掻き引っ叩きの大暴れ。
だが山盛りのチップと、今まで飲んだことのない量の酒を摂取していたこともあり、あっという間に上機嫌。
綺麗な夕日の西日が差し込む店内で、ドモンに負けず劣らずのサービスをしていた。
「騎士の皆さん見張りご苦労さま~!もういいから一緒に飲みましょ!ねぇ良いでしょう?ヒック」
「いえ私達は・・・」「酔っていてはお二人をお護りすることが出来なくなってしまいます故に」「お赦しください」
「なによぉ!私のお酒が飲めないっていうの?!良いから来て!ねぇ来てって言ってるのぉ!」
騎士達の腕に絡みつき、店内に引き入れようとするナナは、まさに文字通りの絡み酒。
絡まれた騎士達は、この世のものとは思えない柔らかな物体に腕が食い込み、必死に表情を崩さないようにしている。
「ほらナナ、騎士の人達を困らせないの。もう日も暮れかかってるんだから帰るわよ」と宥めるケーコ。
「まだ夜になってないじゃない。夜になったら帰るから、それまで一緒に飲もう?ね?そのくらいだったらいいでしょ?私とケーコさんが偉い人に謝っておくから」
「どうして私が出てくるのよそこに。全く仕方ない子ね。ドモンより世話が焼けるわ。じゃあ日が落ちるまでちょっとだけ付き合ってあげてよ。このままじゃ埒が明かないし」
「うむぅ仕方あるまい。私の方から報告するので、お前達は付き合って上げなさい」「ハッ!」「ハッ!」「ハッ!」
「なに言ってんの!あなたも飲むのよ。はいはいおいでってば」
やや年配の騎士の腕を引くナナ。
元々ドモンのせいもあって年上好きではあるが、今回実際に『年配の男性』になってみて、同情とは少し違うが、どうにか労ってあげたいという気持ちになったのだ。
分厚い胸板を反り返しながらゴクゴクと気持ち良さ気にエールを飲み干すその横顔に、少しだけドキドキしてしまった自分をナナは反省。
とにかく日が落ちる前に自分と同じくらい酔わせてしまおうと、次から次へとエールを注文。
「さあどんどん飲みなさい!まだ日は落ちてないわよ!」
「いやぁもうそろそろ日も落ちますし」「もう時間もありませんよハハハ」
一杯二杯三杯と、ナナにノセられ飲み干す騎士。
だがなかなか日は落ちず、騎士の一人はついにダウン。
それから更に一時間ほど経ち、外がざわついていることに気がついた一同。
年配の騎士が自分の顔をパンパンと両手で叩き店外の様子を確認すると、人々が空を見上げ不安気に指を差し騒いでいたのだ。
ドモンとナナが元の体に戻ったのが夕方頃。
約二時間近く経過しても、まだ夕方のように空が赤く染まっていた。
「どうなってるのこれ・・・」
この様子に、ナナとケーコの酔いもいっぺんに覚めた。




