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第743話

「しかしこいつが急に立ち上がって走り出したのには驚いたよ」

「私も驚きました」「それ僕が一番驚いたよ」

「親子愛が奇跡を生んだのか・・・それとも」


砂の上にあぐらをかいて、サンにタオルで頭と体を拭いてもらっていたドモンは、そう答えた親子の姿を見上げながら、う~んと唸り声を上げた。


「そうよそう!あ、愛の力よ!ねぇサン、そうよね?!」

「は、はい!それにあのスープも効いたのかと・・・」

「サン!愛の力だってば!ね?きっとそうよ!」

「そうでした。はい・・・」


どうにも怪しいナナとサンのやり取りだったが、スープはすでに飲み干してしまった今、真相はもう藪の中。

たしかに薬膳的なものがたくさん入っていたので、それが効いたんじゃないかということでドモンも無理やり納得。


「じゃあ私が助かったのも・・・」ドモンが必死になって救おうとしてくれていたことを知ったボニーが、ドモンを赤い顔で見つめる。

「それはスケベの力よ。あんた死んでるってのに、口づけされながら胸の先っぽ弄られて、ビクンビクン体を跳ね散らかして腰をヘコヘコ動かしてたわよ?ドモンと同じくらいスケベね」とナナがヤレヤレのポーズ。

「な?!あ、愛の力かもしれないじゃない!どうして私だけ!」

「ドモンが愛してるのは私達だけだもーん。残念でしたべろべろびー」

「ぐぬぬぬぬ」


ボニーが助かった今、ナナは良かったという感情と同じくらい嫉妬して、冗談半分にボニーを誂った。

ドモンも誤魔化し半分にハハハと笑っていたが、その裏で数十万人の命が蘇生のために使われていた。


ちなみに子供の足が治ったのは、ナナとサンがスープにこっそりフルポーションとエルフの秘薬を混ぜていたため。

ドモンにバレるときっと反対されるだろうと、ナナがサンを巻き込んだ形で作戦を決行。


ただあまりに激変すると直ぐにバレてしまうとサンから助言され、ほんの数滴ずつだけにした。

そして様子を見ながらスープを飲ませるたびに少しずつ量を増やし、スープのおかげで治ったということにしようという算段だった。


実はドモンも同じようなことを思いついてはいたが、寿命が伸びてしまったり、子供の姿から成長できなくなる可能性などを考慮して、一番はじめにそのアイデアはないこととした。

ギドにも相談したところ、「幹部に直接注射するなど、フルポーションを活用すればどうにか出来るでしょう。エルフの秘薬の使用は絶対にいけません」と助言されていた。

「動物実験を繰り返し、こちらから結果を伝えるまで一旦対処は先延ばしにしておいて欲しい」と言われていたのだった。


こんな状態だったのと、まさかナナ達が何かやるとは思っていなかったため、ドモンの頭からその可能性の全てがすっぽり抜け落ちて、親子愛が奇跡を生んだのだと勘違いしてしまったのだ。


あの時飲んだスープにエルフの秘薬が入っていたことは、この子供が150歳を超えた時にようやく分かった。



「あ、そうだこれ・・・ひとつだけだけど、海で岩にしがみついてた時に剥がれたから陸に放り投げたの」事故のあった岩場に戻って、ボニーが何やら持ってきた。

「ん?おぉアワビじゃねーか!お前これ手で引っ剥がしたのかよハハハ」

「笑い事じゃないんだから。これが突然岩から剥がれたせいで溺れたのよ?あっと思って咄嗟に投げたけど、危うく貝と心中するところよ」

「それは災難だったな。まあアワビの方は溺れないと思うけど。お?船も戻ってきたみたいだぞ。あの様子なら漁は上手くいったみたいだな」


出向した時よりもゆっくりと戻ってくる船。

声は届かないが、甲板の上で何やら大騒ぎしているのだけはわかる。


「もう必要ないのかもしれないけど、これで例のスープも本格的なのが出来そうだ。本当に良かったな、また歩けるようになって」

「うん!」「本当になんと感謝の言葉を述べればいいのやら・・・ドモンさん、そしてボニーさんのおかげですね」とドモンに答えた親子。

「元はと言えば私が原因だから・・・こんな良い子に辛い思いをさせてしまって・・・」と俯くボニー。

「それを言ったら私の主人の方が元々の原因、いえ、それを止められなかった私の責任でもあります。だからもう・・・」


以前までドモンならば、他人の友情ごっこに付き合っていられないとこの場を立ち去るか、恩着せがましく迫って、こっそりスケベでもしていたところだろう。

助けなければならないなら助けるけれど、もう助かったのなら用はない。


ドライな性格だと思われるだろうけれど、人付き合いが深い関係になるほど別れが悲しくなるし、面倒にも巻き込まれる事も多々あったので、極力避けて生きてきたのだ。


だがナナに出会い、この世界の人々に触れ、ドモンは生まれ変わった。


「さて、城の料理人達に魚料理をたくさん教えないとな。ホッケかアジでもたくさんあれば、フライにでもして冷たいエールでも飲みたいとこだ。美味しくてきっとみんなまた驚くぞ~」

「御主人様、サンもお手伝いして宜しいですか?」

「パーティーですわね。楽しみですわ。何を着ようかしら?」

「楽しみ~!またドモンが褒められちゃうわね!ニヒヒ」


そんなドモンのこの世界での幸せな時間は、もうすぐ終わりを告げる。



急用で出かけておりました。ぎりぎり全然間に合わねぇ!

色んなゲームのログインボーナス途切れたぜ・・・

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