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第739話

「すごーい。海で泳ぐのって初めてだけど、本当に体が浮きやすいのね」とナナ。

「ホホホホ!こうして波に揺られていると、まるでゆりかごで揺られてるようで、子供の頃に戻ったような気がいたしますわね」シンシアもナナと同じように背泳ぎでプカプカと浮かんでいる。


「ウンウンほらな?おっぱいって本当に浮くんだよ」と頷くドモン。

「・・・ドモンさん、僕やっぱり、色んなおっぱい触ってみたくなったかも・・・」

「ナナのならちょっとくらい触ったっていいと思うぞ?あいつも母親と一緒で、頼み込めば少しだけよって言うはずだ。案外嫌いじゃないんだよあいつも。すごいって言われるの好きだし。昔は自分の胸が恥ずかしかったみたいなんだけど、今じゃ自慢したくて仕方ないんだ」

「ドモンさんがいいならあとでお願いしてみようかな・・・」

「御主人様!お坊ちゃま!駄目ですよ!メッ!!」


浮き輪を付けて、ドモンと男の子に注意するサン。

珍しくプンスカと怒っている。


「ごめんなさいサン。でもサンもすごく可愛いよ。ねぇドモンさん?」

「あぁ。何ならサンが一番すごいというか、じっくり見ちゃいけない感がすごいよ。色んな意味で」

「そうですか?エヘヘ。ではサンも行ってまいります」


そろりそろりと海に近づき、波が来て慌ててぴょんとジャンプしたサン。

太陽のような眩しい笑顔でドモン達の方を向いて手を振り、キャッキャと声を上げる。


サンの小さなお尻に食い込むスケベな『なんちゃって競泳水着』の破壊力は、ナナやシンシアの大きな双丘の比ではない。

そもそも本物の水着ではないため、生地があまりに薄すぎる。

それには思わずドモンも敷物の上に体育座り。


そこは母親とボニーが一度戻ってきて、獲れたものを見せてきた。


「こんなのが獲れたんだけど、食べられるのかしら?意外と浅瀬というか、手の届くところに結構あったの」とボニー。

「これは・・・なんだろう?食べられるのか??」

「ちょっとちょっと!あなたの知識だけが頼みの綱なんだからしっかりしてね!じゃあこれはどう?」

「おおデカい!これはサザエかな?欲しい物ではなかったけど、これはこれで美味しいんだよ。あとでみんなで食べよう」


母親の方もやってみると案外楽しかったようで、籠が半分くらい埋まるほどの貝を持ってきた。

だが残念ながらドモンの知っている貝は一割ほどで、わからない残りの貝は毒があっては困ると海へリリース。そして当然アワビやホタテはなかった。


「アワビは岩と岩の隙間や陰に張り付いてるんだよ。海に潜り、渡してた鉄のヘラで引っ剥がして獲るしかない。ホタテはかなり深いところにいるから、漁船の網に上手いこと引っかかってくれるのを祈るしかないな。だからとにかく今はアワビだ」

「ボニーさん、やっぱりあの岩場の奥に潜ってみるしかないみたいですね。よぉ~し今度こそ!」と張り切る母親。

「あの深そうなところ?大丈夫かな・・・あなたは無理しないでね?私がまず潜るからその後で」

「大丈夫!さあ行きましょう」


籠を抱えて晴れやかな笑顔で海に向かう様子は、まるで本物の海女さんのよう。


「大丈夫かな?お母さん達」

「まあ幸い波もそれほどないし、絶対に無茶だけはしないように言ってあるから大丈夫だとは思うけど、心配ならちょっと見に行ってみようか?」

「うん」

「おーいサン、車椅子移動するの手伝ってくれ。一旦そこの草むらまで行けば俺ひとりでも押せるからさ」

「はぁい今すぐに」


海に向かって右手側が砂浜、左手に岩場、そして後ろ側がやや硬い地面になっている草むら。

砂浜やガタガタの岩部分は流石に車椅子は押せないが、この草むらなら移動は十分可能。

車椅子を持ち上げるのも、大の大人が座っているならドモンとサンだけじゃ無理だが、子供ひとりくらいなら車椅子に乗せたまま移動も出来る。


「じゃあせーので行くぞ。せぇの・・・それ!」

「はいっ!あ、思っていたよりずっと軽いですね御主人様」

「本当だな。お前あれからきちんと飯食ってるのか?軽すぎるぞ」

「食べてますよ。そんなに急に大きくならないですってば。あはは」


草むらに車椅子を下ろし、カラコロとドモンが押してゆく。サンもそのまま同行。

岩場のある手前に車椅子を停め、タイヤをストッパー代わりの小石で固定していると、一瞬「助け・・・」というボニーの声が聞こえた気がしたが、波の音と鳥の鳴き声に掻き消されてしまった。



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