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第711話

「ホントに護衛さいらねんだべか」

「おでもドモン様に命っこさ捧げる覚悟出来てるべな」

「おねげぇしますからついて行かせてもらえねべか?もすドモン様に何かあったら、もうオラ達歯止め効かなくなるべよ」

「邪魔さしねぇから!この通りだ!」「そんだそんだ!」

「ここでドモン様見送っただけだなんて嫁っこさに知られだら、何はんかくせぇ真似してるべなって呆れられるべ」「んだなや」


護衛の申し出を断ったドモンに、トロール達は執拗に食い下がる。

自分達が本気になれば、2万や3万の軍勢など一瞬にして片付けてみせると豪語していた。


が、それを聞いたドモンは、尚更ついて行かせられないと護衛を断った。

もし万が一衝突した場合、人間にとって脅威になりすぎてしまい、ドモンが本当の意味での魔王になりかねないためだ。


そうとなれば、この世界にもドモンの居場所はない。


働こうにも心臓疾患と喘息と障害持ちでまともに働けもせず、だからといって障害者手帳を貰うことも認められず。

警察署に被害届を出せばなぜか犯人扱いされ、街を歩けば何もしていなくても警察官やヤクザに「帰ってくれ」と言われる。

本人が努力しようにもやりようがなく、元の世界での居場所を失いつつあった。


ケーコにも捨てられ、半ば逃げ出すような形でこの世界へやってきて、ようやく見つけた自分の居場所。

誰かに自分が必要とされる理想の世界。もう絶対に失いたくはない。



トロールと別れてドワーフ王国へと向かう自動車の中、運転席でタバコを吸いながら、ドモンは父親である悪魔のことを考えていた。

写真が消えることなど何かの策略かと思っていたが、ドモンが長く活躍できるようにするためだと知り、ドモンはなんとも言えない気持ち。


「考えてみりゃ随分自分勝手だけど、それでも一応俺の事を考えてくれていたんだろうな」

「何の話?」ナナは助手席で風船ガムの練習。もうそろそろ在庫も無くなりそうだが、まだ一度も成功していない。


「俺は親のおもちゃになってるんじゃないかとしか思えなかったんだけど、親は親なりに子供を一番にさせようとするもんなんだなって。そのやり方は間違ってる場合もあるけど、それでも子供のことを考えてることには変わりない」

「アタイの村の審判長とウェダーとライデンみたいなものか?ドモン様とお父さんの悪魔って」運転席と助手席の間から顔を出すミレイ。

「あれはお互いに思い合ってたけど、気持ちがすれ違ってただけだろ?俺は父親に会ったことすらないから思い入れもクソもねぇもん。でもまあ『やり方を間違った究極の親バカ』ってところだけは似てるかもな。ハハハ」


降りしきる雨をワイパーが弾く。

ドモン達にとってこの雨は幸運の雨。

スピードをほぼ落とさず走ることが出来るようになった今、追手を引き離す絶好のチャンス。

ワイパーが付いた自動車はまだ、この世界に数台もないはずだからだ。


「しかしまあ・・・子供に金をせびるんじゃなく、命と魂をせびるなんてなぁ。ろくな親じゃないよ」

「自分の子供になら何したっていいって考える親もいるって話の・・・あ、見てほら!膨らんだわよ!ほら!」ドモンがナナの方を見た時には、すでにガムの風船は潰れていた。


ドモンもナナの話に頷いていたが、実際はドモン達が想像しているような甘いものではない。

我が子の生命を好きにしていいのは自分のみであり、それ以外の者が我が子の命を脅かすようなことは、グレーターデーモンの私物を奪い、破壊するようなものであるという考え。


それは万死に値するものであり、今実際に、元の世界で大量の命が奪われている真っ最中だった。


ドモンの生活を多少脅かした程度でそれはあまりに理不尽、何ならドモン本人にも悪いところが結構ある。

だがそんな言い分も悪魔の前では通用しない。

ドモンが世界を壊してしまいたくなれば、本気でそれを実行出来る者がいる。


全てはドモンの思うがままに。



交代交代運転をしつつ、一週間以上をかけてドワーフ王国までやってきた。

一気に進みたいところだったが、どこかで鉢合わせして衝突した場合、もう取り返しがつかない。


戦う意志がないことがバレた時、自動車を取り囲んで人の盾で迫ればいいだけ。

それをアーサーに指摘され、隠れながら慎重に移動してきたのだ。


そしてゆっくり移動したのには、もう一つの理由があった。




風邪かインフルか知らないけれど、39度近くの熱が出てダウン。

悪寒も酷いけど、関節の痛みと皮膚のヒリヒリ感が酷くてキツい。

更新長引いたら病気も長引いたということでご了承を。

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― 新着の感想 ―
養生してくださいね(^^;) うちの弟も正月から高熱出して会社の冬休み後半戦 ほぼ寝て過ごすという羽目に(T_T) 4日に病院で診断受けたらコロナもインフルも 陰性やったのが不幸中の幸い
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