第706話
こうして各地でドモンと関わった者がドモン擁護派となり、ドモン討伐派の対抗勢力となった。
まだ擁護派の数はずっと少ないが、それでも対抗勢力が生まれれば、当然対立も生まれる。
このまま擁護派が増え続ければ激突も必至。戦争もあり得る。
なので世界は結局その最悪の事態を招く前に、いち早くドモンを討伐する方向になった。
敵はドモンひとりで十分。
世界がそんなことになるとは露知らず、流れのままあっさりと魔王の玉座に座り、新魔王となってしまったドモン。
恐らく世界はこの先そうなるだろうといった話し合いが、元魔王の閻魔大王と行われていた。
「私達がドモンのお父さんに作られた存在?でもそれってドモンの理想の女性像だったってことでしょ?じゃあ別にいいわよ。ドモンの理想ってことは、もうドモンは私に夢中ってことじゃないの」大変な事態だというのに、赤い顔しながら嬉しそうなナナ。
「いやまあ・・・それはそうだけどさ。理想というか妄想というか、こんな人がいいなって思ってたひとりが・・・ナ、ナナだから。ああ恥ずかしいなもう!」
ドモンは羞恥地獄にいた。
頭の中を見られるどころか、頭の中にいた『夜のネタ』が具現化されて、今目の前にいると全員に知られたのだから。
「ワタクシもそうなんですの?であればもう少し素敵な出会いであっても良かったのではなくて?」とシンシア。
「一時期悪役令嬢の小説にハマっててさ・・・敵対した生意気なお姫様を屈服させて、人間をヤメたくなるくらいの生き恥与えて、もう俺についていくしかないんだとわからせてやるみたいな・・・ちょっとスケベなやつ好きだったんだよ・・・くっ」
「そのまんまですわね。で、わからせられた後はワタクシどうなるんですの?」
「そりゃ愛し合うようになって、一緒に暮らしてふたりで都合よく大出世していくみたいな・・・」
「それならば結構ですわ。オーッホッホッホ!」
シンシアは高笑い。
奇しくもシンシアも似たような小説を実は読んでいて、考えていたことが一緒だったのだ。
「なぜ・・・なぜサンの胸は小さいのでしょうか?背も小さいですし。御主人様の理想通りの体型に出来るならもう少し・・・」横でプクッと頬を膨らますサン。
「い、いやほら、巨乳令嬢と爆乳冒険者ときたら少し食傷気味になっちゃったというか、一周回ってロ、ロリもやっぱりいいなぁってなることがあるんだよ男は。頭の中が」
「ロリ?ですか?それって何なのでしょうか?それも御主人様の世界で人気なのですか?ロリについて詳しくお教えいただけますでしょうか?」
「あーいやその・・・ジロリとかペロリとかゴロリとかそんなようなもんだよ」
「嘘ですフフフ。サンは知ってます。前に酔った御主人様から聞きましたから。仕返しに意地悪しただけですよウフフフ」
「仕返し?」
サンはもう、自身のお腹の中に子供がいないことを知っていた。
この部屋に着いてしばらくした後、何かを失った感覚があったからだ。
誰にも言ったことはないが、胸の先をギュッと抓めば、またミルクの雫が垂れるはず。
サンのミルクのような甘い匂いの元は、そのせいでもあった。
「で、写真とか消える理由とかって閻魔様は知ってるの?」
「様・・・はおやめくださいドモン様。それはドモン様の活躍の場を残すためだそうです。単につまらないからともお父様はおっしゃられておりましたが」
「だよな、やっぱり・・・ねえちょっとそこうるさいんだけど・・・」
閻魔大王と会話していたドモンだったが、ナナ達は『ロリ』について大きな声でひそひそ話。
何度も何度も流し目で冷たい視線を向けられていた。
「最っ低!嫌がる幼女になんてことしようと思ってんのよ!」ナナの怒りの視線。
「そんな幼い子がそのような辱めに耐えられるはずもありませんわ!サン!あなたが今まで犠牲者を増やさぬよう努力していたのですね」サンをそっと抱きしめたシンシア。
「やっぱりここで討伐してしまった方がいいんじゃ」「確かに」アーサーとソフィアからも冷たい視線。
「大丈夫です!サ、サンがペロペロされればらいい話ですから!それにもうサンは御主人様に〇〇や××なんかも受けていますし、何なら皆様が見ている前で△△させられるなんてことも経験してますので・・・それにすごく太い棒を・・・お漏らしくらいなら、えぇ。本当ならば御主人様は・・・□×▲のようなことを幼い女の子にされたいようでして」ファローにもならないサンのフォローも聞こえてきた。
「酷いなそりゃ!」「鬼畜ですわね」「そういう趣味あったの?!」「ドモン様・・・そりゃダメだ」「全ての女性の・・・人類の敵です。魔物達も含めて」「あ、悪魔・・・オェェェ!!」
「あれ?ちょちょちょちょサン、何言ってる??なんか変な事言ってない?!てかロリを勘違いしてるんじゃ・・・」
その話だけで盛大に嘔吐した白雪。
ドモンが酔ってサンに何を話したのか、何をやったかは知らないが、それを勘違いしたサンがとんでもない説明をしたために、ドモンは本場の地獄で地獄を見ることになった。