第687話
ケーコの買ってきたハンバーガーに国王は舌鼓をうち、王宮内は大ハンバーガーブーム到来。
すでにケーコよりも上手に作るシェフもいたが、それでもケーコが作るハンバーガーが至高であり一番人気。
三日も経った頃にはすっかり信頼もされ、演説をする国王の横にケーコも立つことになった。頭には100円ショップで買ったおもちゃの冠もつけて。
「女神様、いやお嬢がお授けくださった特効薬を、まずは働ける若者達へ優先的に配布することにした!体調が回復した者から・・・」
「えー駄目よ。子供達とお年寄りを優先にして。体力がないのもあるけど、老人は国の宝、子供達は国の未来って言うでしょ?どちらも大事にしないと」
「そ、そうは言ってもだな・・・」
「自分が小さい時、そして歳を取った時大事にしてくれる国のために、国民はずっと働きたいと思うもんでしょ?それが出来る国は栄えるし、出来ない国は滅びるよ?」
新型の拡声器ではないので声はこもっているが、それでもケーコの言葉にドワーフ達は胸を打たれた。
ドワーフ王国は中立国だが、いざという時のために、若者達を優先して治療するのが当然のことであった。戦える者、働ける者、動ける者が常に最優先。
そんな中でのケーコのこの言葉は衝撃的で、目が覚める想いだった。
「ってドモンがよく言ってたんだけどね、酔っ払って。自分は働かないくせに」
ケーコはボソッと呟き、電動のシャボン玉を演説台であるバルコニーからフワフワと飛ばした。物珍しさから子供達も喜ぶだろうと考えて。
光を浴びたたくさんのシャボン玉は、宝石のように輝きながら宙を舞う。
「女神様からの御加護だ・・・我が国王陛下が女神様から御加護を得られた」
「祝福だ・・・なんてありがたい」「女神様ー!!」
「ドワーフで良かった・・・ドワーフとして生まれて良かったウッウッ・・・」
その様子に両手を合わせ祈る者もいれば、嬉しそうに手を振る子供達もいる。
ケーコはにこやかに手を振り返しながら、国王から貰った松明のように太い葉巻に火をつけた。
「め、女神様は自由だなぁ」
その後ドモンだけには絶対に見られたくはない、自由な女神の銅像がドワーフ達によって作られることになる。
そんな日々を過ごしているうちに、ケーコの噂を耳にした魔王からの使者が国王に接触し、ドモンの存在が明らかに。
そしてケーコをドモンの元へと送り届けようとしたけども、10日以上も馬車に乗って移動しなければならないことを知ったケーコ本人がそれを拒否。
ケーコはドモンに迎えに来てもらえるように画策し、名前を伏せながらもなんとか自分の存在を伝えようと知恵を絞り、ドモンだけにわかるメッセージを含んだ建物を建てるように依頼したのだ。
なぜこのような回りくどい謎解きドラマのようなことをするのかと言えば、ケーコが謎解きドラマが好きだったとしか言う他ない。
ドワーフ達もそんなことで楽しんでいるケーコを微笑ましく見守っており、一緒になって日本家屋やお城の絵を描いたりもしていた。
そういった理由でドモン達とドワーフ達は、あのような出会いになったのだった。
「え?それって本当にケーコさんなの?!ング!」ナナが7つ目のハンバーグを口に詰め込む。
「話を聞く限り多分な。何があったのかわからないけど、ドワーフの国のそばに出入り口が出来て、そこから出てきたんだろう。素性を隠しているのも何か理由があるんだろうと思う」まさか自分のアドバイスのせいだとはドモンも思っていない。
「そこまで行ったらまた買い物できそうね。この前で最後だって言ってたけど」
「あいつが行ったり来たりしてなきゃな。回数の話はしてるから気をつけるとは思うけど。でもケーコじゃない可能性も一応あるからな」
ドモンは国へ帰るドワーフ達に、いくつかの手土産をお土産に持たせた。
使っていないちょっとした道具やおもちゃだったが、ドワーフ達は大喜び。
それともしその人物がケーコであるならば、ドモンからだとすぐに気がつくと思われる物も手渡した。
「ずっと使ってなかったあれあげたの?0.01って書いてる謎の箱の。なんなのあれ」ドモンの横で、ドワーフ達の乗る馬車に手を振るナナ。
「・・・うん。まあ間違って大きな人用のを買っちゃったからな。サイズが合わなくて・・・それに俺はもう浮気するつもり無いし、何なら逆に子作り頑張らないと駄目だから」
「????」「????」「????」
結果的にそのくだらない手土産でケーコを随分と怒らせることになるのだが、日本が誇るその驚愕の技術は、ドワーフ達のモノ作り心に火をつけてゴム製品を大量に生み出すこととなり、莫大な利益を生み出しながら、この世界のあらゆる感染症を大幅に減らすこととなる。
そして追い詰められたドモンを救うことにもなるのであった。
なんだかカクヨムの方で『いつになったら謎が解けるんだ』とかコメント貰っちゃったんで、ケーコとドワーフ達の話の続きは全カットしました。
俺自身は小説を書くのが今ではもうライフワークみたいなもので、別に急いでもいないから一緒にゆっくり楽しんでもらおうと思っていたんだけど、それ言われたらなんかバカバカしくなって、もういいやってなっちゃって(笑)
なので今回は見ての通りあらすじみたいな書き方で、ドワーフ編をすべて終わらせました。
女ならではの買い物で、ドモンとは違った形での活躍を書いてたんだけども。
当然書いていた小説のストックも全部削除しちゃったんで、しばらく休みになります。




