第675話
「アタイはもう覚悟決めたよ!今度こそ逃げない!だからドモン様、アタイの取っ手をしっかり掴んで、遠慮なく子種をぶちまけてくれ!ついでに骨が入ってるのかどうなのかも見極めようじゃないか」
「何をバカなことしているの!!ダメよアーサー!見てはダメ!!」
四つん這いになったミレイが、ショートパンツと下着を下ろして、ドモンの方にお尻を向けた。
ドモンのそばには当然アーサーと大魔法使いがいて、ソフィアが大慌てでミレイの大事な部分を手で隠した。
「アタイはほら、もう子供なんて最初から諦めちまってるからさ、試すならうってつけだろ?いくらでも孕ませてもらって結構だから、それで原因突き止めようよ!それにアタイ悔しいんだよ。さっきドモン様を拒絶するような真似しちまって・・・」
「ちょ、ちょっとあなたね・・・その気持ちだけ受け取っておくわ。その代わりと言っちゃ何だけど、骨が入っているかどうかを調べる調査隊に隊員として加えてあげてもいいわよ。あとで二階にいらっしゃい」意味不明なナナの恩情。
「や、やったー!ありがとうナナさん!」
「なんだその調査隊は・・・」
スケベしたさにフザケているのかと思いきや、ミレイの顔があまりに真剣だったため、すっかり怒りそびれてしまったナナ。
ドモンは突然実験台にされていることに驚きを隠せない。
この日の夜、女性達による様々な実験がドモンに対し行われたが、当然その内容は書けるはずもない。
「な?!何をしたらこんな惨状になるのよあなた達・・・ほらみんな起きなさい!もうお昼よ!さっさと水浴びをしてきなさい!」
「ソ、ソフィア、助けてくれ。もう死ぬ」ベッドの上の女性達の間から手を伸ばすドモン。
「ほら手を掴みなさい!キャッ!前は隠して!まさかあなたミレイと本当に・・・」
「俺は例のキノコをたくさん食わされて、そこからもう記憶が・・・うわ、なんで俺髪の毛がビチャビチャなんだよ。しかもなんか臭うし」
上下メチャクチャのまま寝ている女性達は皆、幸せそうなツヤツヤ顔。
特にミレイがナナと同じくらいにピッカピカな顔になっているのが気になったが、今はもうそれどころではない。
ぐったりしたドモンがソフィアに連れられ階段をトントンと下りていると、上からトタトタと足音を立てて、タオルを体に巻いたサンが追いかけてきた。
「申し訳ございません御主人様!ソフィア様も!ここからは私が代わりますので」と手際よくドモンの体にもタオルを巻いた。
ドモンはサンに連れられそのまま水浴びへ。
「どんな様子だったんだい?まあ大体は察しが付くけれども」とアーサー。
「どんな様子も何も・・・いい?アーサー、絶対に二階に行ってはダメよ?アーサーだけじゃないわ。男性は・・・いえ、女性も今は絶対に駄目。私でギリギリ正気を保てるかどうかなの」ソフィアはいたって真剣な顔。
「やはり昨夜話していた通りなのかの?」大魔法使いも神妙な顔つき。
「まず間違いないわね。あの人自身気がついていないかもしれないけれど、サキュバスの血を引いているのは間違いないわ」
「でも生殖能力のないインキュバスとは違うんだろう?だったら子供が出来ても良さそうなのに、やっぱり・・・」
「そこまで詳しくはわからないわね。まあ悪魔が関係しているというのは、十中八九間違いはないと思うんだけれど」
水浴び場から「サン!もうやめろ!ウヒョヒョくすぐったい!」というドモンの呑気な声が聞こえてくる。
「悪魔と淫魔の子かぁ・・・確かドモンさん言っていたな。母親は滅多に家に帰らず、昼も夜も遊び回っていたと。きっと・・・」
「突然母親も人間ではなかっただと告げられても困惑するだけじゃから、今は黙っておいた方が良かろう」
「そうね・・・」
ドモンは淫魔、つまりサキュバスの子でもあった。
ただあまりにデーモンの血が濃すぎて、サキュバスにも気付かれることはなかった。
サキュバスの血としてドモンに残っていたのは、相手を魅了し性的に興奮させる能力のみ。
「頭が濡れてたのはサンが犯人だったのかよ。それならまあいいか。サンのはキレイだし、まさしく聖水って感じだもんな。え?俺のせい?そ、そんなことしちゃったのか俺・・・ごめんごめん!ほら泣くなってばヨシヨシ!アハハハ」
またも聞こえたドモンの声。
その声はどこにでもいる普通のおじさんの声で、優しいソフィアは、心臓をギュッと掴まれたかのように思えた。