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【幕間】温泉旅行にて その1

狭い車内にケーコの愚痴が響き渡る。


「どうしてあんた達がついてくるのよ。今日は『私の番』だったはずよね?」

「だって」

「だってじゃないでしょ?ナナ。おかげで私の子供らもお留守番よ。・・・まあ最初から一緒に行かないって言われてたけどさ」

「申し訳ございませんケーコ様・・・」後部座席の真ん中で申し訳無さそうに頭を下げたサン。

「サンちゃんは良いのよ、サンちゃんは!サンちゃんは最初から一緒に連れて行こうと思ってたんだから。ね?あやまらないの。問題は両隣にいるオッパイ娘とお姫様よ!」


北海道の田舎道。運転しながら額に青筋を立てたケーコが愚痴をこぼした。


「ワタクシの召使いになれたことを光栄に思って欲しいくらいですわ」

「誰が召使いよ!だ・れ・が!あんた達の服も誰が用意したと思ってんの!」

「まあ!中古の服を献上したくらいで、何を威張り散らして。下民はこれだから・・・」

「な、なんだって~!言ったねシンシア!あんたには揚げ芋買わないわよ!!!」


ケーコにとって、相手がお姫様だろうが関係はない。

しかし車内は喧嘩腰ながらも、皆笑顔だ。


「おいケーコ!そこだぞ道の駅の入口!」てっきり絶対に寄るものだと油断していたドモンが慌てて指を差す。

「あ!!ごめん、通り過ぎちゃったわ・・・」いつものケーコ。

「なにやってるのよ?!」「どうなさるおつもり?!」

「ご、ごめんってば・・・私よくやるのよこれ・・・揚げ芋は買えなかったけど、どっかのコンビニ寄って好きな物買ってあげるから・・・」


出発前から美味しいと聞かされていた『峠の揚げ芋』を逃したショックに、ナナとシンシアは絶望の表情。

ただサンは別の意味で絶望の表情を見せていた。


「あ、あのお手洗いは・・・」

「ごめんねサンちゃん!もう少しだけ頑張って!あと・・・どのくらいでコンビニある?ドモン」助手席のドモンに尋ねるケーコ。

「ここから喜茂別まであと・・・ケーコの運転なら30分くらいか」

「ふぐぅ・・・」


もうすぐこの尿意から解放されると油断していたサンは、まさかの三十分延長に股を手で抑えてブルブルと震えだした。

サンが涙を流しているのを不憫に思ったケーコは、路肩に車を停車。

ドモンもその意図をすぐに汲み、助手席から飛び降りてサンを車から連れ出す。


「サン早く!あ、あれ?なんだこのガードレール、途切れてる所がどこにもねぇし、乗り越えるには高すぎる」

「うぅぅ~御主人様どうしたら・・・もう出ちゃう」

「とにかく下着を下ろせ!ほらこっちへ!」


路肩でメイド服姿のサンの両脚を抱え、ケーコの車の陰でサンの用を済ませようとしたドモンだったが、対向車線側からは丸見えだった。

ププッ!と対向車から鳴らされるクラクション。下着なんて下ろせるはずもない。

しばらくサンには優しくしてあげようと思うナナとシンシアとケーコ。



「まあ凄いですわ!こんな山奥の村の店だというのに、こんなにも商品が充実しているなんて。ドモン様がお作りになられたという王都のコンビニ?というものにも負けぬ品揃えですこと」意外にもシンシアが一番のはしゃぎ様。

「私はちょっとお手洗い。これがお手洗いよね?」と奥の扉を開けるナナ。

「ああ行っといで。ほらサン、いつまでも不貞腐れてないで、新しい下着買うぞ?」

「・・・・」


下着が脱げなかったため中身は見られることはなかったが、おもらしは沢山の人にしっかりと見られた。


「こっちの世界のご飯は格別ねぇ~ゲプ」

「お下品ですわよナナ。もう少しゆっくりお食べなさい。あぁ、それにしてもなんて上品なお味なのかしら」


再び移動中の車内。

買ったカツ丼を食べるナナと、店内調理で有名な美味しいメロンパンを食すシンシア。

その間で不貞腐れたままのサンが、ちょっぴり酔うアルコール度数3%のお酒を飲んで、真っ赤な顔をしている。


「らいたい御主人様がぁ、ケーコ様にしっかりと道案内しなかったのが悪いのれす!」

「ごめんごめん、悪かったよサン」ドモンはもう謝るしかない。

「謝ったって、サンがおしっこみんなに見られて・・・見られ・・・見ら・・・うぷ」

「サンちゃん待って!我慢してちょうだい!ナナ!そこにエチケット袋があるでしょう?それをサンちゃんに渡して!!」自分の車を守るために必死なケーコ。

「エチケット・・ってなに?!ケーコさんわかんない!!!」


サンの介抱。車内の掃除及び臭い取り。貰いゲロ回避のための休憩。

気がつけば日も傾き始め、目的地である温泉宿に着いた頃にはすっかり日も暮れてしまった。


「昼にドモンとふたりで辺りを散策する予定だったのに・・・」プルプルと怒りに震えたケーコ。

「サンが・・・サンが悪いのです、ケーコ様。サンをお叱り下さい」サンもフルフルと震える。

「サンちゃん、お酒を飲んだあなたも悪いけれど、一番悪いのはドモンよ。あんた達全員きついお仕置きしてあげるから」

「どうしてワタクシも!」「そうよそうよ!ケーコさんだって道を間違えたじゃない!」「サンが!サンだけが悪いんです!」


「うるせぇお前ら!こんなとこに来てまで・・・あ、五人で予約していた暮田です」「い、いらっしゃいませ」


ドモンがガラッと扉を開けると従業員が立っていて、ヘコヘコと挨拶を済ませた。

変装のための帽子と上着をナナとシンシアが脱ぐと、従業員達から感嘆の声が漏れる。

はじめからメイド服であるサンも当然目立ってはいたが、四十を過ぎても普通に若者にナンパをされるケーコも充分化け物。


「あ、遠いところをようこそいらっしゃいました・・・えっと、ウェルカム・・・」

「あぁ日本語で大丈夫ですよ、こいつら。むしろカタカタ英語もあまりわからないくらいだから」と女将さんらしき人物にドモンが説明。

「よろしくね!」

「ぉんっ!?」


言葉は日本語でも行動は外国人のナナが、女将さんをギュッとハグ。

見たことないような巨大な双丘に挟まり、その思考は一発で消し飛んだ。


シンシアとケーコは、挨拶もそこそこにツカツカと混浴露天風呂へ。

サンは「私に何かお手伝いできることはございませんでしょうか?」と駆け回っては仕事を手伝い、従業員全員の顔を蕩けさせていた。





今夜から四夜連続の幕間話。

いつものように実話とフィクションを混ぜたものだけど、まあそこは話半分にってことで。

混浴で記念写真も撮ったのでアップしようと思ったが、どう考えてもBAN間違いなしなんだよな(笑)

もちろん無関係の人は写ってはないけども。



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