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第666話

「俺は親父に、そしてみんなへ証明したかったんだ。親父が間違っちゃいなかったってことを」

「ずっと気に病んでたこと、私はずっと知ってたよ?それに私のこともね」

「お前達・・・こんなダメな父親だったというのに・・・」

「だからダメじゃないんだってば」「最高のお父さんだよ?」


大満足で客が帰っていったコロシアムの控室で、本音で語り合う父親と姉弟。

元々仲が悪かったわけではないが、何かがすれ違い、ギクシャクした関係だったものが無くなった。


そんな様子を咥えタバコで、部屋の隅からドモンは見ていた。

ナナ以外はみんな水浴び。汗だくの砂まみれで大変だったのだ。

ナナは意地でもドモンとふたりで車のシャワーを浴びるつもり。


「家族かぁ・・・前にも言ったことあるけど俺には・・・」

「それは言いっこなしって約束でしょ!もう私達が家族なんだから」

「まあそりゃそうなんだけどさ」


フゥ~とドモンは煙を吐いた。


「じゃあ何よ?あ!も、もしかしてそろそろ子供?ねぇそうでしょ!よぉ~し、今夜は張り切っちゃうわよ~!」

「お前はいつも張り切ってるだろうが」


プロレス衣装代わりにした水着姿のまま、体をクネクネと動かし奇妙な踊りを見せたナナ。

なんだか腹の立つ動きだというのに、やっぱり興奮してしまうのは強烈メリハリボディーのせい。


「俺にも父親がいたら、なんか違った感じになってたのかなって。人生とか性格とかさ。ほら、あいつらも父親の影響受けて今あんなだろ?」

「私はお父さんみたいに料理出来ないよ?それに影響力で言えば、お母さんの方の影響力の方がすごいと思うけど。ほれ」


ナナが脂肪の塊ふたつをブンブンと振り回すと、無理やりなんとか着ていたワンピースタイプの水着が一本の線になり、ナナの胸の間に挟まった。

審判長達にバレぬよう、二人がかりでこそっと水着を直す。


「なんだか最近夢で見てる気がするんだよな。俺が父親と喋ってるとこを。何の会話してんだかわからんけど」

「へぇ・・・」ナナもある程度はわかってはいるが、とりあえず今は流した。

「とにかく俺の全てを奪うような、ろくでもない父親だってのはわかるんだけど・・・うーん、でもなんか・・・なんとなくは優遇されてんだろなって」


そう言ってタバコを消し、またドモンは談笑している審判長達の方を見た。

ナナも釣られるようにそちらを向いて黙り込む。


「ケツの毛一本まで奪っていくんだ。誰でも彼でも。けど、本来なら最後は命まで奪うだろうに、俺だけはなんだか許されているような感じというかさ」

「それって良いように利用されてるだけじゃないの?親の権限を振りかざして子供を虐待するとか、よくある話じゃない?『うちの子は私のもんなんだから勝手なことしないでちょうだい!私だけがこの子を好きにしていいのよ!』みたいな事言う、悪い親の噂話聞いたことあるよ?」


どこの世界でも、どの時代でも同じ問題がある。


「まあそうだなぁ・・・一番悪い親の愛の形だ。間違った過保護ってとこか。それをものすごーく薄くしたのが審判長達で・・・」

「それを思いっきり濃くしたのが、ドモンが見た夢のお父さんってこと?」

「多分ね。夢だからあんまり覚えちゃいねぇけど・・・でもまあ俺には父親なんて最初からいないし、見たことも聞いたこともないからな。ただの悪い夢だよハハハ。あいつら見てて、ふと思い出しただけだ」

「・・・・」


ドモンの父親がグレーターデーモンであるのはエルフによって判明したが、ドモンには出会った記憶がない。

ヒントは夢の記憶の中の一欠片だけ。残りの詳しい事は、魔王に聞くしかない。



「私達に子供が生まれたら、やっぱり悪魔の子になるの?何かの本で見たような、頭に666なんて文字が入ってたりして」一瞬暗い顔をしてしまったことを反省し、ナナは無理に明るく振る舞った。

「頭とは限らないぞ?ナナなんてすでに胸の下側の隠れた部分に、666って文字が浮かび上がってるからな」ドモンも冗談で返した。

「え?嘘?!どこ?下乳???右の?それとも左?ねえどっちよ!!」


また水着を一本の線にして確かめ始めたナナ。

それに気がついてしまった審判長家族はポカーンとした顔で見つめていたが、ナナ本人はそれどころではない。

右と左の胸を交互に持ち上げては、両手で捻って確かめるも、やはり自分からは見えない。最後は鏡まで使い出す始末。


「バカ冗談だってば!早く胸をしまえ!」

「ひ、酷いじゃない!・・・またおっぱい見られた」

「どうしてお前はすぐ信じちゃうんだよいつも。この事もメモしておいて、いつか俺の伝記に書かなきゃな。お前のドジだけで百話は書けそうだよクックック」

「うぅぅ・・・どうせならこの話は666話目にでもしてちょうだい」

「俺がそんなに書けるわけねぇのわかって言ってるだろ、お前」


ドモンとウェダーが協力して、ナナの胸を水着に押し込んだ。

横や上から違う色になっている部分も多少ハミ出しているが、本人ももう気にしていない。


ナナやエリークラスともなれば、ハミ出し慣れているし、見られ慣れてもいるのだ。

基本50%~70%を常にハミ出している状態で生活していて、今更ちょっと見えたくらいじゃ動揺はしない。

それよりも『わざと裸を見せている変態』と思われるのが嫌なだけなので、見知った仲の間では、100%全開の出しっぱなしじゃなければ案外平気。



「そ、それでドモン殿はこの先どうするつもりなのだ?良ければ屋敷も用意する故、この村でしばらくゆっくりと過ごしてみてはいかがかな?」

「いやいやありがたい話だけど、俺達も先を急がないとならないからな。魔王に呼ばれてるし」


もうすでに十数名の有力者達から資金提供の手が上がっており、審判長は全員から「なんとかドモン殿を引き止めてくれ」と言われていた。

もちろん審判長自身もそれには大賛成で、自身もいくらか出資する気持ちがあった。

審判長の屋敷よりも数倍大きな屋敷を建てられるほどの資金が集まり、もしここに留まるのであれば、ドモンらは一生贅沢をしながら遊んで暮らせるだろう。


が、ドモンは当然お断り。

あぶく銭で身を滅ぼすのも嫌だけれども、何より筋肉まみれの戦闘民族の中で暮らしたくはない。身も心も持たない。


「少しゆっくりしていけばいいじゃないかドモンさん。まだ教えてもらいたいことは山程あるし、何より姉貴だって・・・こう見えて姉貴は面倒見もいいし、一生惚れた男に尽くすタイプだぜ?」とライデン。

「うむ。母さんと似て一途なところがあるからな」審判長もウンウンと頷く。


「ちょ、ちょっとやめなさいよ!お父さんもライデンも!そ、そりゃまあ私だって自信はあるけどさ・・・まだ経験はないけど、満足するまでいくらでも奉仕する体力はあるからね」ウェダーは何か盛大に勘違い。

「母さんももうひとり欲しいとなった時に、三日三晩寝ずに営みを続けおったからな」ライデンはあまり聞きたくない話。


「ちょいちょいちょい!ちょっと待ちなさいよあんた達!もう絶対明日出発するからねドモン。じゃあ皆さんそういうことで。ほら行くわよ」


ナナがドモンの腕を引っ張り控室を出ていこうとすると、ドアの向こうから「待ってくださーい!」というサンの声が聞こえてきた。





ちょいと明日、往復6時間ほどの場所へ行かなくてはならなくなったため、次の更新がまた怪しい。

北海道は四国と九州を合わせた面積よりもデカいくらいなので、ちょっとした用事での移動のスケールもバカでかい。

行ってすぐ戻れりゃ良いんだけども・・・そもそもケチって下道使うせいなんだよな(笑)

次の更新遅れたらゴメンナサイってことで。


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