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第657話

「ま、待て・・・何をする気だ貴様!」


自身の両脚が4の字を描き、少しずつ膝に力が加わり始めた瞬間、審判長は脂汗をかき始めた。

今まで味わったこともない無茶な関節の動きと負荷に、頭の中はすでに大混乱。


ただわかるのは、このまま膝に体重をかけられれば、とんでもない拷問が始まるのだということだけ。


「さぁて、あとは俺が後ろに倒れて、体重をかけて力を込めるだけだ」

「やめろ!ヤメてくれ!わかったなんでもする!認めよう貴様の実力を!私に代わりこの村の長になるか?!それでいいだろう!!」

「興味ないね。嫌なら素直に降参すればいいさ」

「お、お願いだ!許せ!頼む!!」


ドモンがかけようとしている技は、白覆面の魔王と呼ばれた伝説的なプロレスラーの必殺技である『四の字固め』。この世界ではまだ存在しない技。

どんなに鍛えようが・・・むしろ鍛えていればいるほど、自分の膝関節に負荷がかかり痛みは倍増する。


審判長は自分の脚が自分に苦痛を与えるなど、想像もしていなかった。

自分の膝の上にもう片方の脚を乗せることなど、今までやったこともなければ、やろうとも思わなかったのだ。


「よっこら・・・しょっと!」

「ぁぁぁああああああああああ!!!!!こう・・・だぁぁああああああああ!ヤメてぇえええええええ!!」

「ハハハ。まだ半分も力込めてないぞ。これから今の数倍痛くなるってのに」

「おね・・お願・・・ねぇぇダメェェェェ!!こうさ・・・ヤァァァン!!オオオォォォン!!!」


呆気にとられるミレイとドモンと戦った女の子。そして観客達。

あの審判長が取り乱し、涙を浮かべ暴れていたからだ。

だが暴れれば暴れるほど痛みが強くなり、審判長の混乱は深まるばかり。


「次は7割くらい力を込めるぞ」

「やめてください!外してこれぇぇぇ!!」

「わかったわかった。泣くなよ、今外してや・・・らない!イーッヒッヒッヒ!!!」グッと力を込め直したドモン。

「あぐまぁああ!悪魔だぁぁ!!お母さぁぁん!!!イヤァァ!!降参だってばぁぁぁ!!」


あの審判長の降参宣言に、観客全員が口あんぐり。

お慌てで係員達が闘技場に飛び込んできて四の字固めを外そうとするも、がっちり絡み合った脚はなかなか外れず。


「こういう時はトドメを刺せって言ったなお前。じゃあやらせてもらうよ」

「許してぇぇ!!キヒィィィィ?!ぉん?」


ドモンはついに全力で四の字固めをかけ、そのまま審判長の右足首をアキレス腱を締め上げた挙げ句、更に左手の爪を足の指の根元に本気で食い込ませた。

四の字固めとアキレス腱固め、そして足裏マッサージの複合技。それもあの鋭いドモンの爪で。

普段から裸足で戦っていたこともあり足裏だけは固く、ドモンの爪の食い込みに耐えられることはなかった。


審判長は自分の舌を噛み切り、自ら死を選ぼうとしたが、叫び続けていたためそれも叶わず。

失禁と脱糞を同時にしたことも気づかぬまま、そのまま意識を失った。


「ドモン!降参してるんだからもうよしなさい!ほらおっぱい!おっぱいをあげるわ!」係員と一緒に飛び込んできたナナ。

「ん?おっぱい?どこ??」


片乳を先っぽギリギリまで捲り上げやってきたナナに、ドモンも思わず脱力。

その瞬間、ミレイと係員五人がかりでドモンの四の字固めを外し、ようやく審判長は地獄から解放された。


片乳を半出ししたナナだったが、観客の誰もが気にもしていない。

降参を認めないあの審判長が、泣き叫びながら降参による負けを求めたからだ。


係員に両肩を担がれ、脚を引きずり審判長がこの場を去った瞬間、ようやくドッと観客が沸いた。


「やっぱりスゲェよ・・・ドモン様は・・・」その場にまた座り込むミレイ。

「ミレイ大丈夫か?!」「ミレイ!」「おぉ可哀想に。よく耐えていたのぅ」アーサー達もやってきた。


「御主人様ー!沢山の方が御主人様とお話がしたいと向こうで集まっておりまして、只今シンシア様が対処しております。恐らくご会食のお申し込みかと・・・シンシア様が、大きな会場でまとめてご会食されるのが宜しいのではないかと、今話をまとめております」とサン。預かっていたマッサージ機もドモンに手渡した。


「面倒だけどまあするしかないだろうな。あの審判長も来るんだろう?」

「はい。一番にシンシア様にお願いされておりました」

「んじゃ素直にここはタダ飯とタダ酒ご馳走になろうか」

「はい!そのようにお伝えしてまいります!」


テテテテテーと可愛く走り去るサンの姿には、なぜか歓声が上がった。

ナナは片乳を出しても無反応だったというのに。

小さく可愛い女の子に対する耐性がかなり低いらしい。



「さてドモンさん・・・俺も逃げ出す攻撃ってのを、今ここでやってもらおうかな?伊達に俺も勇者と呼ばれてるわけじゃないんでね」とアーサーがドモンの元へ。

「ヤメなさいよ。そんな事で意地を張ることないわ」ソフィアは呆れ顔。


「いいや!俺にだって面子ってものがあるからね。今この観客達の前で、それを証明して見せなきゃならないんだよ」

「めんどくせぇな。じゃあほら、そこに寝転がって・・・よいしょっと」


アーサーを押し倒して左足首を持ち、クルクルと回って四の字固めをかけるドモン。


「まっ!ちょっと待てドモン!この攻撃じゃなくさっきの機械を!!」

「もちろんこれも使うつもりだよ。ではスイッチオンっと」

「いだああああああ!い゛っぐぅぅぅ!!もういっでるがらぁぁぁ!!!ピョピョピョピョ~!!!」


四の字固めをかけられたままマッサージ機を大事なところに押し当てられたアーサーは、今まで出したこともない叫び声を上げながら、今まで出したこともないくらいの量のナニかを放出し続け、ドモンは泣きべそをかいたソフィアに小一時間説教された。




夏休み満喫中ってほどのものではないけど、のんびり過ごさせてもらってる。

もう少しだけゆっくりさせてもらいますっと。


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