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第656話

「これを当てられたら、その部分が快楽と苦痛を与える数万匹の毒虫に噛まれたみたいになるから注意しろよ?」

「嘘っ?!ひっ!!」

「よし、じゃあ行くぞ?まずは右の胸からそれっ!」

「ぽぉぉおおおぅぅぅうう!!!ワキからだったでしょおおおお!!!」


ドモンがマッサージ機を当てたのは左の胸。

当てる部位も違えば左右も間違えた。が、当然それはわざとである。

ドモンが不意打ちをするための罠。


左の胸から革鎧を通じて上半身全体を痺れさせられ、女の子はその場に崩れ落ちる。

一万人を超える観衆の前で何かの水分を大量にこぼしたが、地面がほぼ砂であったためにバレずに済んだ。


ほんの2~3秒の出来事だったが、確かにドモンの言った通り、痺れを与える毒虫数万匹に噛みつかれたような感覚に陥った。

マッサージ機が体から離れてもその感覚から逃れることが出来ず「降参だ!降参する!だずげでぇぇぇ!!」と叫んでいたことに、自分自身気がついていない。


あまりにもあっけない幕切れに観客達も一瞬唖然としたけれども、逆にあれだけ耐えていたミレイは本当に凄かったのだとわかり、パチパチと拍手が生まれた。



伝説の武器かのようにマッサージ機を天に掲げ、何故か勝ち誇ったドモン。

よくわからないまま観客もウオオオ!と右手を上げて大盛り上がり。


ドモンも調子に乗って更に手を振りワーワーと騒いでいたが、その歓声が一瞬にしてピタッと収まった。

とんでもない怒りの表情で、審判長がその場に現れたためである。


審判長はこの村の長。そしてこの村では絶対的な存在。身長は2メートルほどあり、オーガにも負けないほどの筋肉量。


国で言えば王のような存在だが、代々継承されるものではない。

その時に一番の強さを持っている者がなるものだからだ。つまりはパンクラチオンの現チャンピオン。


ミレイも挑戦さえ出来ればチャンピオンになれたかのかもしれないが、残念ながら女性にはその権利がなかった。


「そんな茶番は認めぬぞ!それでも認めて欲しくば、さっさとそこの二人にトドメを刺すが良い」と審判長。

「誰だお前。トドメを刺して良いって言うなら本当にやっちまうぞ?その時はナナみたいに、一生俺の性奴隷になっちゃうかもしれないけどな」

「こらドモン!だーれが性奴隷の肉便器よ!あとで覚えてらっしゃい!!」「奥様、御主人様はそこまで言ってません・・・」


遠くから聞こえるナナとサンの声。

「サ、サンはいいですけど・・・」と人差し指同士をちょんちょんしながら、嬉しそうに赤い顔で囁いたのまでは聞こえていない。


「ふざけおって・・・では私自らが相手をしてやろう。光栄に思うがいい」

「え?お前もこれをやられたいの?ヤメとけヤメとけ!その無駄にデカいモノが一生使い物にならなくなるぞ?」

「フンッ!!」


審判長の右手がフッと動いたかと思った瞬間、ドモンが右手に持っていたマッサージ機が消え、審判長の50メートルほど後ろでズシャッと音を立てた。

そして砂の上でブィィィンと音を立てるマッサージ機を、係の者がすぐに回収。


「素手で来い。そのかわり、まずは貴様の攻撃をひとつ喰らってやろう。それから本気の勝負としようじゃないか」不敵に笑う審判長。

「ド、ドモン様・・・逃・・げろ・・・この人には・・・ドモン様の爪も通用しない・・・」倒れているミレイが必死に訴えかけた。

「爪だと?フン、私のこの柔らかな皮膚と筋肉は、そこらの刃物や打撃程度ならいくらでも吸収する。関節技も同じ事だ。極限まで広げた可動域により、どんな技も痛みを感じぬ。いざとなれば肩の関節など、自ら抜くことも可能であるからな」


グニャグニャと体のあちこちを曲げるように動かし、ウォーミングアップをする審判長。

それはまるでロープのようでもあり、柳の枝のようでもあった。


審判長であるこの男の絶対的な強さの秘密は、この防御力の高さ。

ミレイももし戦うことがあれば、どのように攻撃をすればいいのかをいつも考えていた。


鋭い手刀で叩き切るイメージをしていたが、似たような考えの挑戦者があっさりとかわされて、一瞬にして絞め落とされたのを見て諦めた。

防御力だけではなく、反射神経や判断力の高さが桁違いで、今のままでは敵わないと当時は考えていたほど。


「それでお前が降参したら、俺の勝ちってことでいいんだよな?」とドモンが確認を取る。

「ワッハッハ面白い冗談だ!貴様は悪魔だとか呼ばれているそうだな?是非その悪魔の力とやらで、私に初めての経験をさせてもらいたいものだ」

「じゃあ技をかけるから、そこに仰向けになって寝てくれ」

「よかろう。そのまま私の急所に踵でも落としてみるか?目潰しをしたっていいのだぞ?ククク」


絶対の自信を持つ審判長。

オーガと出会った時も、格闘漫画に登場する最強人物の姿を想像したが、ここにいるのはまさしくそれと変わらない。

腿の太さがドモンの最近気になっている腰回りほどあり、確かにどんな攻撃も通じそうには思えない。


「はぁ重たい」


ドモンは審判長の左足を持ったまま、自分の左足を審判長の股間辺りに置き、クルリとその場で回ってみせた。

悪魔の、いや、白覆面の魔王の関節技を決めるために・・・。





少し早いけど墓参りに行って墓掃除。

実家のテレビが壊れただので買いに行ったりなんだので、今年の夏は忙しくてほぼ遊んでいない。

ビアガーデンも行けそうにないなこりゃ・・・



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[一言] 足四の字固めか 関節技なら効いちゃうか?
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