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第654話

「ならば私がお相手致しましょう」


そう言って奥の出入り口から現れたのは、17~8歳くらいだと思われる女戦士。

上半身は薄手の革の鎧を纏い、下半身は皮のショートパンツ姿。


ポニーテールで不敵な笑みを浮かべる美少女にドモンも一瞬見とれたが、オリンピックのレスリングで金メダルを取れそうな筋骨隆々のボディーが直ぐに目に入り、考えを改めた。

完全に自分を殺しに来ているとしか思えなかったからだ。


「どんなカラクリがあるのかは知らないけれど、ミレイ先輩に勝ったなどという話を信じろという方が無理があるというもの。ならばその実力、自ら見届けるまで!目潰しと噛みつき以外ならどんなことでも許す。武器の使用も認めよう。さあかかってこい!!」

「駄目!ドモン様駄目です!ドモン様は指、いや手や足の使用も禁止だ!」後輩の申し出に直ぐに反応したミレイ。

「口もよミレイ!ドモンに舌を使わせちゃ駄目!あと話すことも禁止にして!!」遠くから叫んだのはナナ。


もちろんドモンの身も心配だ。

しかしこんな大勢の前で、歳の近い女の子が凌辱される姿を晒すわけには行かない。


「な、なぜですか?!ミレイ先輩!私がこんな者に負けることなど・・・」

「お前が女の時点でもう試合は終わってるんだ。これはお前が悪いんじゃない。生き物をオスとメスとに分けた神のせいだ」

「何を言っているのですか!しっかりしてください先輩!ミレイ先輩は男性部門でも敵はいなかったではないですか!」

「そうじゃない。ドモン様に常識なんて通用しない。自分がメスなんだって事をわからせられちまうだけなんだ」


ミレイの予定と違った。

挑戦者として現れるのは男だと思っていた。


ドモンの前では女であるというだけで終わり。

今こうしているだけで、ドモンと自分が対峙するわけでもないのに、メスの本能が警鈴を鳴らし危険を知らせてくる。

出来ればすぐにでも自分が代わってやりたいと思うミレイ。


「それじゃ俺はどうやって攻撃すりゃいいんだよ。ああ武器を使えってことか。じゃあちょっと取ってくるよ」

「剣でも槍でも弓でも、好きな物を使えばいい。だがそんな物が通用すると思うな」

「何を使うかなぁ?イーッヒッヒッヒ!」


武器を使っていいと聞き、突然態度が変わったドモン。

車に何かを取りに行き、革のバッグを持ってすぐに戻ってきた。


「降参するなら今のうちだぞ?手加減できるほど余裕はないからな」とドモン。

「馬鹿な!降参するくらいなら死を選ぶ!貴様などに負けるつもりはない!」

「じゃあ最初から最大で行こうかな」

「????」


ギドに作ってもらった対女性専用の『武器』を持ち、ニヤニヤと笑うドモン。

それにはナナもサンもシンシアも絶望の表情。


「ドモン様・・・少し形は違うけど、ここの人達に、降参をするということを教えてやって欲しいんだ」とドモンに願うミレイ。

「どういうことだ?」

「あの娘も言っていただろう?『降参するくらいなら死を選ぶ』って。本来なら降参したっていいのに、数百年前からそれが恥ずかしいことだというようになっちまったらしくて・・・」

「ハァハァなるほど。だからミレイは不戦勝で優勝なんてことになったんだな?試合が勝ち負けじゃなく、生死の争いになったから、簡単に勝てないミレイに挑戦する奴もいなくなったってことか」

「そうなんだよ」


降参することは逃げることと同じで、死よりも恐ろしい恥辱であると、数百年前のこの村の長が決めた。

そして更に試合ルールも捻じ曲げられていったのだ。


まずルール上では相手が戦闘不能になるか、降参した場合勝利となるはずが、戦闘不能になったとしても審判長が認めなければ試合は終わらないようになった。

腕が折られようが膝が砕けようが意識がある限り、審判長に戦えと言われれば試合は続く。つまりは死ぬまでの殺し合い。


一番良い負け方は運良く意識を失うことで、悪い負け方は死んでしまうこと。

降参での負けはもってのほか。ならば戦う前にはじめから負けを認めて敬意を示せという考え。


ミレイは今までずっと手加減をしながら、相手が死なないように、気絶させること考えながら試合を行っていた。

「トドメを刺せ!」と言われたこともあったが、頑なにそれを拒み続けた。



「降参するより死んだ方がマシって奴らに、降参した方がもっとマシだって思わせろっていうの?無茶言うなよミレイ・・・」

「そこをドモン様の知恵と悪魔の力でさ!なんとかしてくれよ!」

「それならどうして俺の手足とか使うの禁止したんだよ!」

「だってアタイがあそこまで言ったのに、まさか女が出てくるだなんて思わないじゃないか。アタイだってつい庇っちまうよ。どうせ一突きにするつもりだっただろ?い、色んな意味で色んなとこをさ・・・」

「・・・・」


あまりに無茶なミレイの頼みだが、もう逃げることは出来ない。

すでに一万人もの観客が集まってしまったためだ。



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