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第607話

「次はヨハンが手伝ってくれた鶏ガラスープを使った、ラーメンとチャーハンのセットだ」

「え?お父さんそんなことやってたの?」とナナ。

「いやほら、店手伝いに来てるコック達にコツを伝えただけだよ」とヨハンは照れくさそう。


「麺は俺達の住んでる街のジローという職人に、秘伝の配合を教えてもらったものを参考に作ったもので、塩は温泉宿のあるゴブリンの村で採れた岩塩を分けて貰った。みんなの協力で出来上がった、究極の黄金鶏塩ラーメンとチャーハンだよ」


ラーメンのスープに太陽の光が反射し、文字通り黄金色にスープが輝く。

麺の他には千切りしたネギが数本乗っているだけで、他には何も無いシンプルなもの。


「俺の思い出の味を完全に再現してくれたここの料理人達と、材料集めや材料費を出してくれたカール達にも感謝するよ。みんなと知り合えた幸運と、みんなへの感謝、みんなの力や想い、その全てをこの中にぶち込んだ。ただの食事に大げさだけど、みんながいなければ出来なかった。俺と知り合ってくれて・・・友達になってくれてありがとう」


ドモンは心から素直に頭を下げた。大人になってから仕事以外ではあまり記憶がない。頭を下げるのも下げられるのも嫌いだからだ。

サンとシンシアもドモンと同じように頭を下げ、ナナも席を立ってサンの隣に並び、一緒に頭を下げた。


「ドモンよ・・・私からも感謝の言葉を述べさせてくれ。あの時貴様と出会えたことを、私も誇りに思・・・」席を立ち上がり、しみじみと語り始めたカール。

「話が長いと麺が伸びちゃうから、みんな急いで食べてね。チャーハンも熱い内に」

「ぐぬぬぬ!!ドモン貴様!!あとで覚えておれ!!」


クスクスと笑い声が溢れる中、一同はドモンに促されるままラーメンを一口。

その瞬間、背中を走る衝撃。雷にでも打たれたかのよう。


なにせドモンも試食した時、同じように衝撃が走ったくらいで、思い出補正のあるあの思い出のラーメンすら凌駕していたほどの味である。

皆がそうなるのも当然というより必然。


ラーメンにゴールはないと言われるけれど、ドモンにとってはこれがゴール。

いくらお金と時間をかけても、これ以上のものは、ドモンにはもう作れない。


そのラーメンを支える鶏ガラスープを使用したチャーハンも、もちろん絶品。

全員がラーメンを食べ終わってからチャーハンに手を付け始め、そこでようやく感嘆の声が出始めた。


「さっきのカレーだけでも生涯一美味しいものだと考えていたのに、もうどうにかなってしまいそうだよソフィア」

「アーサー、だから言っていたでしょう?あの人がただのスケベな遊び人ではないって。料理の腕前も異常なのよ。元々料理上手な子が、40年も料理を研究しながら作り続けた結果がこれなの」

「フガァァ!美味すぎて小便チビっちまうよドモン様!」「こ、これミレイ、いくらなんでも下品過ぎるわい」


たくさんの客の前で少しすました顔で座っていた勇者パーティーも、もう我慢ならないと山賊のようにムシャムシャと食べ始め、その料理に舌鼓を打つ。

王都でも散々ドモンの料理に驚かせられていたが、今回のものは桁外れ。


「母さん、これ・・・」「大丈夫なのかな?俺達のパスタは」と心配そうなアイの息子達。

「知らないわよ私なんて。あの人が全部任せとけっていうんだから・・・」


ホビット達の紹介も兼ねて、乾燥パスタを利用した料理も出すということだけ聞かされていたホビットの三人だったが、どう考えても目の前の料理を超えるものが出来る気がしない。

アイはもうヤケクソで食べるのみ。


「おおーん!またおっぱい膨れちゃうわ・・・お母さん越えそう」

「何だよナナはまた下品だな!それを言うなら腹だろ?そんなことよりドモン、このラーメンとチャーハンってやつ、客としてきている子供達にだけでも食べさせてやっていいか?そんな多くはないと思うんだけど、ジャックとかも来てるんだよ」とカールの息子。


「私とお母さんは胸が育つのよ」「ああ、あと3~40人前くらいはすぐに用意できると思うぞ。なぁコック長?」

「えぇ、もちろん!万が一に備えて、百名分は用意していますから」ナナの言葉をサラッと流すドモンとコック長。

「やったわ!」「よかったね!」「さすがはドモンね。あとで褒美をあげるから部屋に来なさい」


喜ぶ貴族の子供達。

約一名、いつの間にかアイやサンよりも色々と大きく育った女の子が、赤い顔をしながらドモンに近づきナナといつもの口喧嘩。

女の子の成長は早い・・・とドモンも思っていたが、どうやらドモンとナナの早とちりらしく、ナナはただただ平謝り。



披露宴会場にやってきていた子供達は、想定していたよりもずっと大人数であったものの、一人前を半分に割った量、いわゆる『半ラーメン半チャーハン』にして配ったため、きちんと間に合った。

むしろその半分ずつの量というのが子供らの母親達に好評で、どこかの店で食べることは出来るの?と聞かれ、とりあえずは庶民用の温泉宿、いわゆるスーパー銭湯の食堂で出すことが決まった。


豆売りのジャックは母親と共に来ていたが、大勢の王族がいることもあって、今回は気軽に近づいて話すことも出来なかったが、貴族である子供達からは一般客のもとへ行くことは可能なので、ジャックと仲の良い女の子が自ら食べ物を持って向かうことに。


「危ないよエリーゼ。どうしてお前が持ってきたんだ」

「こ、こらジャック・・・今はみんながいるんだから・・・」

「あ!も、申し訳ございませんエリーゼ様」

「やっぱりなんかやだ」

「全くわがままなお嬢様だ。先が思いやられるよ」

「ごめんなさいジャック・・・うふぅん・・・」


披露宴でドモンがサンとシンシアにキスをしていたのを見ていたので、女の子は今すぐにでも抱きついてキスをしたかったが、ジャックに止められ地団駄を踏んだ。





通信機器の不調。回線切れまくりで、ここ数日あーでもないこーでもないを続けています。



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