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第598話

トッポと義父が待つ店内へと向かったドモンとナナ。

アイは人払いをした街の中を自転車で自由に走り回り、勇者パーティーを驚かせていた。


カールはコック長とバーガーセットを試食中。

食べ物にも驚いていたが、紙コップとストローの存在に驚愕し、慌てて皆からゴミを回収した。


「怪しくて甘い匂い・・・この匂いを嗅ぐとなんだか眠くなっちゃう」ナナはキョロキョロクンクン。

「どうして眠くなるんだよ??」

「昔お母さんがこの匂いの時は、いつも決まって早く寝なさいって寝かされてたから」

「そ、それは早く寝てやるのが子どもの務めだなハハハ。次の日エリーはご機嫌だったろ。ヨハンは髪が少し薄くなっていただろうけど」

「???・・・まあ次の日は決まって朝からごちそうだったわね」


ナナも時折、エリーと同じくらいの女の香りを醸し出しているということを、ナナ本人は知らない。

世界中の女性ホルモンを集めてきたような匂いをたまに発するナナとエリーだが、ここの香りはそれとも比べようもないくらい淫靡で、なんとも言えない匂いで溢れている。


「ダメよドモン・・・スッキリしたいなら私がなんとかするから・・・」

「別になんともなっちゃいねぇよ」

「あれ?おかしいわね。なんかいつもならこんな雰囲気になるとドモンから独特な匂いがするのに、確かに今日はしてないわ」クンクンとドモンのワキ辺りの匂いを嗅ぐナナ。

「やめろやめろ!ナナがいるってのに、いつでもかつでも発情するわけ無いだろ!」

「ワッツアップ?!ザッツソゥウィードゥ!(一体どうしたの?変なのー!)」

「???」


よくわからない言葉で絡みついてくるナナを振り払い、スマホの電源を入れたドモン。

ポチポチと画面を押し、ピロンと音が鳴る。そして声が聞こえるドアを、ノックもせずにガバッと開けた。


「おーおー、随分お盛んだな」「やだもうおじいちゃん!」両手で顔を塞いだナナ。

「フハハ!随分早いではないか。どうだ?貴様も混ざらんか?」


大きなベッドで15人もの裸の女達を侍らすカールの義父。

とてつもなく元気になった何かを数人の女性に握らせ、上機嫌でベッドに大の字になっていた。


「バカ言え、俺は遠慮しとくよ。バッチリ録れたし、もう用はねぇよ」

「なんだドモンよ、貴様も腑抜けになったものだ。さあ皆の者、もっと楽しもうではないか」

「カールの屋敷で待ってるからな」

「まだ時間がかかるぞ。こやつらも私と同様に満足させてやらればならぬからなフッハッハ!!」

「アン!本当にお元気!」「ダメダメいやいやいやぁ!!ハァン!!」


バタンとドアを閉めて、ニヤリと悪い笑顔を見せたドモン。

まさかという顔でドモンの顔を見たナナを押しのけ、ドモンは次の声のする部屋へ。


「あぁ~!僕は牛じゃないんですから!もうミルクは・・・」

「ほらほら!まだまだ出しなさい!」「みんなでもっと搾り取ろうよ!」「四つん這いのまま崩れちゃダメよ!王様」

「幸せが苦しすぎるぅ~ヒィィィ」


ドアを開けるとトッポが裸でお尻を向けていて、ナナはすぐにドアの外の壁越しの見えないところへと隠れた。

ドモンはそのまま部屋の中へと入り、スマホでその様子を撮影。


「ああん!ドモンさん!見ないでください見ないでください!あっまた!!くはぅ~!!」

「あーあ、こりゃ外のチィとミィにバレたら怒られるぞ?」

「そ、それはひ、秘密に!秘密にしてください!あ~だから今いじっては!!ドモンさんの前で漏らしちゃいますぅ!!」

「まぁそれはトッポ次第かな?カールの屋敷で待ってるから、満足するまでスッキリしてから来いよ・・・って、聞いちゃいねぇか」

「おん!おん!おん!お願い指を抜いて!おおん!!」


またバタンとドアを閉め、ピロンとスマホが音を立てる。


「まさかドモン・・・おじいちゃんやトッポさんを脅すつもりなの・・・?」

「うん」

「うんってあっさりとあんた・・・あんなに仲良くなったのに裏切るの?」

「裏切るわけじゃないさ。ただ・・・今回ばかりは確実に事を進ませたいからな。悪いとは思うけど、交渉材料のひとつとして利用させてもらうだけだよ」

「もう。出会ったばかりの頃のドモンに戻ったみたいね」


ナナはヤレヤレのポーズ。

以前、カール達貴族相手に調味料の作り方を知っていると、ドモンが嘘をついた時のことを思い出していた。




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