第548話
それから約三十分後。
オーナーの奥さんと娘以外の者達が、覗き部屋まで連れて行かれた。
覗き部屋と言っても、薄暗く細長い廊下にいくつかの長椅子が並べられているだけ。
「何よこれ!!本当にお風呂の中が丸見えじゃない!!」
「うぅ・・・」「こんなところから覗かれていたのだなんて心外ですわ!」「嘘でしょ?!あり得ないわ!!」
ナナが言った通り丸見え、それも想像していた以上。
利用客であった者達は、その言葉に皆罰の悪い顔をしながら顔を伏せる。
そんな中、縛られたオーナーの奥さんとその娘がドモンに連れられ浴場にやってきて、浴場内の鏡の前、つまり皆の目の前にある長椅子に座らせられた。
「ウヒヒヒヒ頭がおかじぐなるぅぅ!あなたぁたすげでぇぇ!!」「死んじゃう!じんじゃうよおおお」
目隠しをしてヨダレを撒き散らし、首をブンブンと横に振り続けるふたり。
着ていた服にヨダレのシミがあちこちに出来たが、ふたりにはそれがわからない。
自身が裸だと勘違いしているからだ。
ホビットの長から伝授された毒キノコの知識を存分に生かした謎の液体を体中に塗られた挙げ句、口からも飲まされ、更にドモンが得意の暗示もかけた。
母娘は今、大勢の前で快楽に飲まれる羞恥に絶望しながら胸を高鳴らせる。絶望と期待。バンジージャンプを飛ぶ前の心境といったところか?
人としての尊厳を完全に破壊したことにより、オーナーの奥さんは大きなオナラを何度も漏らし、娘は嘔吐しながら失禁。
脱糞しなかっただけマシと言えよう。
「お前らは今ゴニョゴニョゴニョ・・・」
更に追い打ちをかけるドモンの暗示に、思わず自分の耳を塞ぐナナとサン。
ナナは経験がある。その時自身も馬車の中で羞恥に嘔吐し、失禁や脱糞をしたからだ。
サンはその様子を御者台から聞いていた。地獄だった。
この母娘は、それをキノコを摂取した状態で受けているのだ。
まともに精神が保てるはずもない。
ゆっくりと外された目隠し。目の前にはいくつもの鏡。
ドモンが手を上げて合図を送ると、浴場の照明の半分が消され、代わりに覗き部屋である廊下に照明が灯された。
するとマジックミラーの効果は無くなり、双方が丸見えに。
「いやあああああああああ!!」「見ないで!見ないでよぅ!!ゴボオオェ!」
見ていたのは二十数人ほどだが、母娘には数千人以上に見えている。
ふたりともきちんと服は着ていたのに、キノコとドモンの暗示によって頭は混乱し、母は度を超えた羞恥に絶叫、娘は自分の服にぶっかけるようにもう一度嘔吐した。
ドモンの暗示の言葉は、客達、そしてオーナーやその息子や店長、さらにシンシアとアイにまで届く。
アイはそのまま意識を失い、耐性があるシンシアが何とか支えた。
「あんたぁ!見ないでぇ!気持ちいいのぉ!」
「おい!もうそれ以上は許してやってくれ!」
鏡越しに叫んだオーナー夫婦であったが、実際は服を着た夫婦が向かい合って座っているだけである。
ドモンが奥さんの肩を揉みながら、耳元で何やら囁くたびに奥さんは大悶絶。旦那の方からは、公開羞恥拷問が行われているように見えていた。
「じゃあそろそろだな。おーい、入ってきてくれ」
ドモンが呼ぶと、外で野営をしていたオーク達が申し訳無さそうな顔をしながら浴場にやってきた。
上半身が裸で、見た目は本当に力士のよう。
「ドモン様・・・本当にいいのでしょうか?」
「ああ、しっかりと見せつけてやってくれ」
「やめろぉぉ!!」「ヒィィィ!!」「イヤァァァ!!」「姉ちゃんに何をする気だ!」
ドモンの言葉で下着を下ろし、全裸になったオーク達。
オーナー一家の絶叫が浴場内にこだまする。
しかしドモンの命令は、実はそのオークの身体を母娘に見せつけるだけであった。
オーク達は母娘と鏡の間、旦那側に背を向けるように裸で棒立ち。
「お前らなぁ・・・そこを元気にする必要ないんだよ」
「うぅ申し訳ございませんドモン様・・・」「ドモン様の先程のお言葉が耳に届いてしまいまして・・・沈まれ!このこの!」
「本当にするんじゃねぇぞ?したフリだからな?そんなでっかいもの・・・俺の腕くらいあるじゃねぇか。そりゃ女騎士も『くっ殺せ!』でアンアンもするよ」
「勘弁してくださいドモン様」「そんなこと我々はしたことないのですよ・・・」
ボソボソと会話を交わすドモンとオーク達。
その間も母娘はオークの身体に目が釘付けで、ドモン達の言葉も耳に届かずただただ絶句。
オーク達はドモンの命令通りに母娘の脚の間に体を入れ、その両膝に手を当てた。ただそれだけである。
覗き部屋からはオークの背中とはみ出した母娘の両足しか見えない。
「頼む後生だ!俺が悪かった!なんでも言うことを聞くから許してやってくれ!」叫ぶオーナー。
「ドモン!もうこれ以上やめさせて!私はもういいから許したげて!」被害者であるナナですら叫ぶ残酷な光景。
しかしドモンは止めること無く、もう一度母娘に目隠しをして、更に深い暗示をかけた。
「イヒィィィ!!ぎぼぢいいっ!!」「オホォォヒィィ!!」
「やめろぉぉぉ!!」
「あんたぁ!見ないでおくれ!あたしゃこんなもん知っちまったら、もうあんたのじゃ満足出来ないよぉぉ!」「馬鹿になっちゃう馬鹿になっちゃう!」
「ぐあぁぁ!殺してやるぅ!!」
「オーク好き!オーク大好き!男らしくて逞しいわぁ!」「私オークさんと結婚するぅ!どうせもう人間やめちゃったし!」
オーナーの目の前で繰り広げられた、あまりに残酷な光景。
一度失神から目覚めたアイは、その光景に「悪魔・・・」と一言だけ漏らし、もう一度意識を失った。
ドモンが浴場の照明を消すと、覗き部屋からは一切中の様子が見えなくなった。
その間にオーク達は服を着てそのまま退場。シーンとしている浴場内に、ドモンの高笑いだけが響き渡った。
年末年始は多少休みを貰う予定なんだけど、その前に一昨日から発熱、そして謎の呼吸困難。
二日間、ずっと気管に水が入ってしまった状態のゲッホゲホで、溺れ続けてる感覚。
悪寒は酷いし、咳のし過ぎで肋骨も痛め、寝られずに体力も回復できない。
まずあって、今日あのドモンがタバコを一本も吸ってないという事で、事の深刻さが理解できるはず(笑)
出来たら更新するつもりだけど、もし更新されなかったら寝込んでいるか、死んだと思ってください。
近況のとこにも一応書いておきます。




