表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
541/786

第538話

「あ!ドモン、随分遅かったじゃない。一体今日は何を作るの?」

「ちょっとナナ!話はまだ終わってないわよ!ここに来て座りなさい!」


何やら揉めている様子のナナと美少女改めアイナノア。


「もう私が悪かったって言ってるじゃない!許してよ、ごめんなさい」

「ダメよ。あなたには女性としての振る舞いを覚えてもらいます。どうしてあんな酷いことを言ったの?」

「だってあれはドモンが・・・」

「男と女は違うでしょ?じゃああなたは男の人のように、堂々と立っておしっこする?しないでしょ?今は納得できないかもしれないけど、女性として女らしさを守るということは、自分にとっても大切な・・・」

「冒険中なら立ってすることだってあるわよ!蛇にお尻噛まれたくないもん!じゃあね!」

「あっ!待ちなさいナナ!話はまだ終わってないわよ!もう仕方のない子ね!」


ドモンの後ろに隠れて舌を出したナナを睨みながら、アイナノアは腰に両拳を当ててプンプンと怒っている。

居ない間にすっかりと打ち解けたらしい。


アイナノアの見た目は幼いけれど、やはり出産と子育てを経験しているだけあって、年相応のしっかり者であった。

第一印象から感じてはいたが、遊び人のドモンにとって、冗談が通じない正直一番苦手なタイプである。

その真面目さ故にあんな事があってもまだ人間を信じようとし、ドモン達を助けようとしてくれたのだけれども。


「婦人警官を押し倒すようなもんだぞこりゃ・・・」

「ん?なんか言った?」

「いやこっちの話だ。さあ飯にしようか」


ジトッとした目でナナがドモンの顔を覗き込むも、ドモンは素知らぬ顔で視線をずらす。

そのずらした方向から、丁度サンとシンシアも戻ってきた。


「お待たせいたしましたわドモン様。ワタクシ覚悟は出来ております」「サ、サンも出来ます・・・」

「何の話だ??」

「ドモン様が・・・をお捧げになった今、確かにワタクシも同じ気持ちを味わうのが妻の務めというもの。ドモン様からお叱りを受けて当然ですわ!」「はい」

「なになに??何がだよ?!何のこと???」


シンシアとサンの態度に嫌な予感しかしないドモン。

真面目なアイナノアを誘うには、今はとにかく誠実であることを示さなければならないというのに。


「ドモン様のご要望どおり、な、中の方まで綺麗にしてきましたわ!」「サンもしました・・・」

「だ、だから何の話だよってば」もうすべてを察したドモン。口は災いの元。


「ワタクシはもうどちらでも・・・、ドモン様にご満足いただけるよう心がけておりますわ」「サンも出来ます。泣いちゃうかもしれないですけど、気にせず体を押さえつけて貫いていただければ・・・」

「何がどうなってそんな話になっちゃったんだよ、お前達は!俺がそんなことするわけ・・・まあ無くはないけども・・・しかも外で、大きな通りを横断しながらなイヒヒ」

「え?!まさかそんな・・・」「えぇ?!」


どこかの悪魔が口を挟まずには居られなかったようで、ドモンはすっかり余計なことを口にしてしまった。

先程の冗談がドモンの要望だと勘違いしたふたりは、あまりの衝撃的な内容にその場で崩れ去り、その場には般若のような顔になったナナとアイナノアが残った。


「いや違うんだよナナ、アイちゃん。ちょっと人混みの中でスケベしてみようかなと思ったら、なぜか違う方へズッポシしちゃって大きな声が出ちゃったから、慌ててそのまま逃げたというか・・・ほら、抜いちゃったらみんなに大事なとこ見えちゃうだろ?」

「グギギギギ・・・そもそもどうして人混みなんかでそんなことすんのよ!」「誰がアイちゃんですか誰が!」

「若気の至りだったんだよ!まだ18歳くらいの頃だぜ?今から30年以上も前の話だってば!」

「いつとかそんなの関係ないわよ!今夜覚えてなさい!」嫉妬で怒り狂うナナ。フンフンと赤い顔ですごい鼻息。


「あなたには少しお説教が必要なようですね。私も今夜話があります」恐らくアイナノアの怒りの方向は、ナナとは真逆。

「え?あぁはい・・・まあそんな怒るなよアイちゃん」

「・・・・」


またアイちゃんと呼ばれ、キッとドモンを睨みつけたアイナノア改めアイ。

妙な流れになったとはいえ、今夜話し合えることになったのは、ドモンにとって願ったり叶ったり。


「さてさて、それでは子供が喜ぶものと言ってたけど、大人から子供まで大人気の庶民の味方のあれでも作ってみようか」

「なになに?!もしかしてあれ?チーズのハンバーグ??」

「それじゃないけど、きっとナナも喜ぶと思うよ。これを嫌いだって言った学生に俺は会ったことがない」

「学生??」


ぎゃあぎゃあとうるさい女の子達を見て、ふと思い出したあの光景。

店内でタバコが吸えなくなってからはすっかり足が遠のいたが、ドモンもその味が恋しくなったのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー

cont_access.php?citi_cont_id=985620636&size=135
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ