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第537話

「おおい!あんたちょっと見てくれこれを!」ホビットの長は車体の下に仰向けで上半身だけ突っ込んだまま、今度は大きく叫んだ。

「どれどれ。随分立派なちんちんだなこりゃ」

「ソレじゃねぇよ!やめてくれ、一体何をしてるんだ?!うへ?なんだこりゃ?息子が随分湿っぽい・・・」


こんもりと膨らんだナニかをドモンに触られ、ビクンと体が跳ねさせたホビットの長。

湿った葉っぱによってズボンがすっかり濡れてしまっていたが、今はそれどころではない。


「なんだってんだよ。いくら嫁さんがいなくて下の方を持て余してるとはいえ、俺はもうヤラせねぇからな。まあどうしてもっていうなら手で・・・大サービスだぞ?」もちろんドモンの冗談。

「違うってば!!とにかくこれを見てほしいんだよ!」

「こんなとこに寝そべるのは嫌だなぁ・・・」

「頼むよ!ほら、俺の服を敷物にしてもいいから」


少し湿った草原に寝そべり車体の下へと入ったドモンだったが、こういったものには疎いので、見たところでちんぷんかんぷん。

今まで散々サスペンションがどうのと言ってきたけれど、仕組みを知っているだけで、どれが何かがわからない。

初めに新型馬車で作ったサスペンションと、今の大型自動車のサスペンションは、もう完全に別物となっていたためだ。


「ほらここだよ、ここ」

「これがサスペンションなのか。へぇ~よくこんなものが作れたもんだ」

「そうじゃなくて、そこにある印だよ!少し薄いが彫られているのが見えるだろう?」

「ん?あ~本当だ。きっと偽物じゃないぞって意味で刻印入れたんだな。それがどうかしたか?」

「こ、これを」


ホビットの長が腕まくりをすると、その腕には丸い何かの紋章の中に、ハンマーが描かれた入れ墨が彫られていた。

その入れ墨とサスペンションに彫られた刻印が、ほぼ一緒と言っていいほどそっくりだったのだ。


「これは有名な印だったりするのか?」

「いや、これは俺の家で受け継がれてきた印なんだよ。職人として一人前になった証として、腕にこれを入れるのが習わしなんだ」

「で、どうしてそのマークがそこにあるんだよ?」

「わ、わ、わからねぇけどハァハァ・・・これを作ったのはどんな奴かわかるかい?」


車の下から出て、ドモンのお尻の下に敷いていた服をまた羽織るホビットの長だったが、手先が震えてまるで袖に手が通らない。


「これを作ったのは、多分俺の知り合いの大工と鍛冶屋だ。もしくはその弟子の子供達かなぁ。修行初めて数ヶ月でこんな物を作れるようになったってんだから、随分器用な子供達だろ」

「そ、それはどんな子供だった?!」

「いや弟子って言ったってたくさんいたからな。最初に話しかけたのは、背のちっこい10歳くらいの物乞いの二人組だったけども」

「その子供らみんなの名前とかわかるかい?!あと特徴とか」

「わかんないよ。名前とか聞かない主義だからな。特徴か・・・う~ん・・・あぁ最初の二人組のひとりは、腰に小さいおもちゃのトンカチをぶら下げていたな。それで俺もふと思いついたんだよ。大工のとこに連れて行こうって」

「!!!!!!!!!!」


ドモンの言葉で胸に衝撃が走り、このまま心臓発作で死ぬのではないかと思うホビットの長。

でももしそれが本当ならば・・・もしそれがそうであるなら、そのまま死んでしまってもかまわないとさえ思った。


「む?もしかして・・・」ドモンはタバコに火をつけた。

「わ、わわ、わからない。へへ変に期待をして、も、もし違っていたら・・・孫じゃなかったら・・・」

「今はまだ言わない方がいいだろうな、あの娘には。変に期待させない方がいい」

「ああ、わかっているよハァハァハァハァ・・・」


ドモンが銀貨を餞別に渡した少年ふたり。

ホビット族は顔の特徴や肌の色も人間と一緒であって、単に少し背が低いだけなので、ドモンには全く区別がつかない。


「でもよ、生きていたならここに帰ってきてたんじゃないの?あいつら今日食う飯にも困っていたし」

「それまで捕まっていたかもしれないし、俺らが全員死んだと聞かされていた可能性もある」

「まあ確かにそうだな。手元から逃さないためにも嘘をつく場合もあるか。お前の家族は皆殺しにしたと」

「あぁもう頼むよ神様・・・うぅ・・・」


結局話し合いの結果、ホビットの長がここを離れるわけにもいかず、ホビットの長の娘である美少女『アイナノア』をカールの街まで連れて行くことになった。


ただし理由も言わずに、妄想が作り出した子供達がいるこの街から連れ出さなければならないのだけれども。

ホビットの長が言うには、この街どころか、自宅から少し離れた場所にも行かないほど『子供達』のそばから離れることはないのだとか。なので先程ホビットの長もここから連れ出してやって欲しいとドモンに頼んだのだ。


「理由も言わないで子供達から引き離して連れ去るって、ここを襲った人間と同じじゃねぇか。口が軽いナナ達にも言っちゃ駄目なんだろ?きついぜそりゃ」ドモンも流石に頭を抱えた。

「さっきも言った通り、あんたなら娘を抱いてくれてもいいし、娶ってくれてもかまわない。俺もそう計らうからなんとかしてやってくれ!」

「これ以上嫁なんか増やしたら本当にナナに殺されるっての・・・実の親が娘を犯してでも連れ去ってくれってマジかよこれ・・・」


調理道具と調味料を持ち、また悪者にされるのかとドモンは大きく溜め息を吐いた。





トレーラーみたいな大型車が、普通の車みたいなサスなわけ無いだろと知り合いにツッコまれ、話を少し書き換えるハメとなった(笑)

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