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第524話

「では俺が一緒に行きます。いくら慣れ親しんだ山でも、夜となればどんな危険が待ち受けているかわからないですしね」


オーガの男がゴブリン達と一緒に牙拾いに。

ゴブリンの子供達は、憧れのオーガに守られ大はしゃぎ。ゴブリンの青年はやや緊張気味。

オーガも悪い気はしないようで「俺から離れないで」と張り切って出かけていった。


「なるほど!私達が常駐して治安を守ればいいのですね?確かに皆が集まれば、それを狙う者も増えるでしょうし。ではそれぞれの休憩所をオーガのみんなで見張ります!」とオーガの女の子。

「きちんと給料はもらえるように伝えておくから。あと大変ならオーク達と交代交代でも・・・」

「いいえ!私達にお任せくださいドモン様!お願いです!もちろんゴブリンの皆様に御迷惑をおかけすることもしませんから・・・」

「迷惑だなんて!もし宜しければこの家に一緒に住んでいただけたなら、私も安心できるというものです」と母親。


ウッウッと涙を流すオーガの女の子。

エミィのように人間や他の種族と仲良くしたかったが、やはり強すぎるが故にそれとなく避けられ続け、孤独を感じていたのだ。


男達がビルの建設などで自由に街へ出入りをして、人間達と普通に交流しているのが心底羨ましかった。王様に選ばれたチィやミィを恨んだこともあったほど。

オーガの温泉に人間達がやってくることも増えたけれど、失礼がないようにと接客するのはいつも年上のオーガ達の役目で、なかなか誰かと触れ合える機会がなかったのだ。


「ドモン様!ゴブリンの皆さん!私達は血の匂いや持ち物の匂いから、野盗などを見分けるのが得意なんです!た、試してみましょうか?今すぐに!」

「いやいや信用してるよ。それにオーガがいてくれるだけで抑止力にもな・・・」

「では見回り行ってきます!!」

「あのちょっと待って・・・あら行っちゃった・・・」


話の途中で張り切り勇んで家を飛び出し、旅人達に元気に挨拶をして回るオーガの女の子の声が遠くから聞こえる。

ドモンはヤレヤレのポーズをしながら自動車に行き、トンキで買ったミニスカ婦人警官のコスプレ衣装を持ってきた。


オーガの女の子に渡そうと考えて持ってきたのだが、まだ戻ってきそうになかったため、試しにゴブリンの姉が試着をしたところ「可愛いです!」「素敵ですわね」「なんかすっごくスケベ!」と概ね大好評。

これにはドモンもうっかりナニかが元気になり、隣に立っていたサンが股間にパンチして大悶絶。


「ウフフ。ではこれを参考にして、似た服をいくつか繕いましょうか」とゴブリンの母親。

「え?こんなの作れるの?すげぇな」

「私達は力はないけれど、手先が器用な者が多いのです」


「そういや向こうのゴブリンの村の連中も、獣の皮をなめしたもので、下着やら服やらを作っていたな。特に皮の下着なんて、向こうの世界にもないような立派だったし。サンが小便漏らして台無しにしちゃったけど」

「途中から絶対に言うと思っていましたっ!どうせサンはおもらし娘です!御主人様なんてフンだ」


ぷくっと膨れて顔を背けたサンを見たシンシアとゴブリン母娘が、そのあまりの可愛さに思わず深い溜息。

なぜかそれに焦ったナナが、サンのおもらし話を広げていく。身体は凄いのになんともせこい。


「サンは森の中でお手洗いに行く途中で犬に吠えられて、木の枝を振り回して『あっちに行きなさい!』と泣きながらおもらししちゃったこともあるのよ。で、サンはその事にまったく気がついてなくて、自分がスッキリしていることに不思議そうな顔をしてたことがあるのプププ」

「へぇ~そりゃ俺も初耳だな。そんなお茶目なことをしてたなんて、ますますサンが可愛くなっちゃうよ」横にいるサンの頭をポンポンと撫でたドモン。大猪相手に小便を漏らしていた女がいたような気もしたが、気のせいだと頭を軽く横に振った。

「もう奥様も!何となくそれも言われる気がしていました!エヘヘ」


目に溜めた涙を右手の人差し指で拭いながら、キラッキラの笑顔を振りまいたサン。

この世界の最高攻撃力を誇るこの笑顔に勝てるものは、恐らく上半身裸で外を全力で走るエリーかナナくらいかと思われる。


「あぁもう我慢ができないですわ!」とシンシアがサンをソファーに押し倒してその唇を奪ったその横で、ドモンは例のキノコの余韻も手伝い、前かがみで股間を押さえる事になった。

「もうあんたは仕方ないわね!私達しかいない間にちゃっちゃと済ませるわよ!」とナナが下着を脱ぎ捨てた瞬間、「ただいま~!」と子供達が元気な声で帰宅。ドモンは素知らぬ顔で手に持ったナナの下着で額の汗を拭い、ナナは鳴らない口笛を吹く。


「みんな外に来てみてよ!オーガのおじさん凄いんだ!俺あんなの初めて見ちゃったよ!!」「ホントにすごいの!」「うん!」


大はしゃぎでドモンや母親や姉の腕を引っ張る子供達。

家の外が随分と騒がしいので子供らについて行ってみると、百人近くの人々か集まっていた。




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