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第509話

カール一行が滞在していた三日間。

銭湯のサウナで語り合ったり、スマートボールで勝負したり、ドモン監修のファミレスで真新しい食事を堪能したりと、カールは充実した日々を過ごし、一足先に屋敷へと帰っていった。


王族達も一緒だったため、なかなか寛ぐことは出来ずにいたが、夜中にドモンとふたりで、例のノーパントップレスのお店に行ったのは良い思い出になったはず。

その思い出話は誰にも話すことは出来ないけれども。


ちなみに王族達も含むスマートボール勝負では、当然ながら元パチプロのドモンの圧勝。

勝負と呼ぶにはあまりにもお粗末で、最終的にはドモンが釘の読み方から勝ち方のコツを教える始末。


スマートボールの台を作ったギドもその説明を聞きにやってきて、ドモンの目利きと攻略理論に目を白黒させていた。

次はもっと凝った役物作りをして、もう少しだけ運要素を高めなければならないと新台制作に意欲を見せた。



そんな日々を過ごしながらドモンもコンサルティングの業務をしつつ、帰郷の準備を整えていたのだけども、ほとんど客が来なかったために、準備も無駄に捗ってしまう始末。

二週間後の出発予定が、カールが旅立った三日後にはもう出発できそうな雰囲気。

それならばと一週間後に帰宅しようとしていたギド兄弟も、一緒に自動車に乗って行くこととなった。


そうしてやってきた出発前日。


「ナナ、ヨハンとエリーの土産の用意はできたのか?」ドモンが出発前の確認。

「昨日買ったわよ。お父さんの帽子とお母さんの服。帽子は安かったけど、お母さんの服は例の仕立て屋さんのところでしか作れないから、結構値が張っちゃったわ。ただでも良いって言われたけど、そういうわけにもいかないしね」


大きなカバンをパカッと開けてみせたナナ。

中にはなんとも言えない柄の帽子がひとつと、何着ものエリーの服が入っていた。

女同士のせいか、どうしてもお土産は偏ってしまうのはどの世界でも世の常。


「この服なんて・・・エリーの先っぽ隠れるのか?」

「わかんないわよ。私でギリギリってところね。シンシアなら隠れるでしょうけど」

「どういう意味ですこと?そもそも隠れないナナがおかしいのですわ!」


怒り心頭のシンシア。

セクシーな服には間違いないが、このサイズで『はみ出るかどうか?』を悩む方が、絶対的におかしい話。

試しにシンシアがサンにその服を着せたところ、はみ出るかどうかではなく単にサイズが緩すぎて、隙間という隙間から全てが見えてしまうという事態に陥った。


「ド、ドレスとしての丈は丁度良いのですけれども・・・」ブカブカの胸部分を手で押さえ、膝丈ワンピースのスカート部分をひらひらとさせたサン。

「サン、それはドレスじゃなく上着なのよ。下はこっち」ナナはミニスカートをサンに見せて、ヤレヤレのポーズ。

「・・・そうだったのでアヒョッ?!御主人様、服の隙間から手を入れるのはおやめくだしゃひぃぃぃ!奥しゃま方にも見りゃれてハァン!」


サンは隙間があって良かったと、こっそり白目になりながら思っていた。

それを見たシンシアも同じ服を試着してみたが、サンほどの隙間は出来ず少しガッカリ。

ナナの胸の大きさが規格外なだけで、シンシアも一般的には大きな部類。


「で、ドモンは準備できたの?なんか薬とか貰いに行ってたみたいだけど、荷物にきちんと入れた?」

「入れたよイテテ」


お尻を叩かれ、ナナの膝の上で四つん這いのまま答えるドモン。

一昨日にいつもの病院に行き、帰省中の分の薬をもらってきたのだ。


「サンも屋敷の侍女や子供達に買ったお土産忘れないようにな」ドモンが立ち上がりながらお尻を擦る。

「はい!自動車の冷蔵庫の方にもこちらで買った食べ物を入れてあります。日持ちのするお菓子と」当然サンに抜かりはない。

「え?!自動車の冷蔵庫のあれってお土産だったの??ごめん私・・・食べちゃったかも・・・」もちろんナナもいつも通り。


「あ・・・」「まあナナったらなんて卑しいことを!」「食べちゃったかもじゃなく食べちゃっただろ。犯人のくせに何を知らないふりしようとしてんだよ」

「う、うるさいわね!知らなかったんだから仕方ないじゃない!」


三人の冷たい視線を浴びたナナが開き直ったところで、サンが部屋の冷蔵庫に入れておいたお土産を出した。


「奥様にと思って買ってあった同じ物がございますからご安心ください」

「さすが」「素晴らしい気遣いよサン」「ほ・・・」


出発前日の夜。

少しだけ浮かれた気分のドモン達の部屋に笑い声があふれた。


「さあ、みんなに最後の挨拶しに行かないとな」

「え?何か言った?」と聞き直したナナに「なんでもないよ」とドモンは笑顔のまま。



「これは一体どういうことじゃ?こんなものが出たのは初めてじゃぞ?!」

「俺だって訳が分からねぇよ・・・どうにかならないのか?」

「ここではどうにもならん。なにせ聞いたことも見たこともないのじゃから・・・」

「まあそりゃそうか。とにかくこの日数分の薬を出しておいてくれ。そして今のうちに言っとくよ。色々世話になった」

「・・・馬鹿者が・・・」


一昨日の病院での、ドモンと医者のやり取り。

前回のステータスとほぼ変わらぬ状態のまま、『状態 毒』の文字が消え『死まで残り30日』と表示されていた。




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