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第494話

「今日はどうしたトッポ。ビルはまだ完成してないぞ?もうあと少しだけど」

「今日の要件はそれとはまた別なんですよ。それよりも体の調子はどうですか?」


客室として使用している部屋で待っていたトッポとチィとミィ。

ドモン監修のもと、ラブホテルの最高級クラスのような豪華絢爛で、ちょっぴりスケベな雰囲気に内装工事が済まされていた。


「調子はまずまずだよ。で、別の要件って?」

「なんだか随分頬がコケたかのように思えますが・・・それはともかく、チィの方から話があるそうで」


ドモンがトッポの向かい側のソファーに座ると、サンとミィが仲良くお茶を入れに行く。

ナナとシンシアはドモンの両隣へ、チィはトッポの左側へと腰掛けた。


「なんだってんだ?トッポまで一緒に慌てて来たってことは、かなり重要なことなんだろ?」

「えぇ・・・実は魔王様から伝言を預かったのよ」とチィ。

「伝言?城に誰かやってきたの?」

「ううん。私の頭の中に直接言葉が聞こえてきたの。普通は長老様のような者にしか聞こえないはずだから、私びっくりしちゃった」


チィが言うには、魔王が遠方へ言葉を伝えること自体命を削るほどの力が必要だとのことで、余程のことがない限りそんなことはしないらしい。

伝える人数が増える度に多くの力が必要なので、大抵はその群れの長にのみ伝えるということだった。


「私が選ばれたのは、案内役の勇者達とドモン様両方に近しいからってことだったみたい。あとトッポ・・・国王陛下にも近いからって」

「トッポで構いませんよ。もう結婚もするのですし今更です」とトッポ。


「で、その魔王様が俺に何を?」タバコに火をつけようとしたがサンに止められ、ドモンは薬を飲まされた。

「うん。なんでも魔王様の所までドモン様に来てもらって、謁見の場を設けるのがなんとかかんとかって・・・」


本来はもっと難しい言葉だった上に、勇者達とは今回戦う意思はないということや、トッポに対し軍などを組んで事を荒立てないように・・・などといった長文をチィに対して送ったのだが、チィが一度で覚えきれなかったのと、「あの、もう一回言ってもらっていいですか?」と聞き返せなかったため、こんな伝言になってしまったのだ。


「魔王との初めての接触が『なんとかかんとか』ってなんだよお前」

「う、うるさいわねっ!」「長かったんだから仕方ないじゃない!」


何故かナナまで顔を真っ赤にしてドモンに反論。

ナナにはチィの気持ちが痛いほどわかったからだ。


「とにもかくにも、それがドモンさんが望んでいた事なのか、それとも何か悪い事なのかがわからないので、すぐに本人に伝えようと思いここに来たのです」


トッポはやはり神妙な顔つきのまま。

魔王に戦う意思がないことなどが全く伝わっていないのだから当然の話。

きっと魔王もがっかりだろう。


「た、多分そんな変なことにはならないと思うんだけどね。お話したいだけなんじゃないかな?きっと」とチィ。

「だからお前は多分とかきっととかって・・・それに話をしたいだけなら話がしたいって伝えてくれりゃいいのに。謁見がどうとかなんだか仰々しい話にするから、ややこしくなるんじゃないかよ!」


「うるさいうるさいうるさい!!急に頭の中に話しかけてきた魔王様が悪いのよ!!初めてなのにあんなに長いお話するから!バッカじゃないの?!おじさんの話は回りくどいし長いのよ!!」

「おいやめとけやめとけ!なんか魔王が可哀想になってきた。地獄に落ちるぞお前」


いきなりキレ散らかしたチィに、魔王が気の毒に思えてきたドモン。

魔王というよりも、話を聞く限り地獄の閻魔大王だとは思われるが、話の長いおじさん呼ばわりは酷すぎる。


「勇者パーティーには案内と護衛を頼んでありますから、いつでも声をかけてください。なにか協力できることがあれば僕も協力するんで」とトッポ。

「まあ雪が完全に解けてから行こうと思ってるよ。まずはしばらく完成したビルの方で過ごしたいし、楽しみたいからな」

「ほとんど完成しているのでしょう?今日は話が長くなるかもしれないからと、宿泊の許可が出てるんですよ。なので明日案内してもらうなんてことは・・・?」

「ああいいよ。ギドの作ったエレベーターの試運転やら何やらに付き合わないとならないけど、それでいいならな。あとまだ店とかはやってないよ?」

「や、やったー!それでも十分です!一度昇ってみたかったんですよ~!」


トッポとチィとミィはこのままこの部屋に宿泊することになり、護衛の騎士達は数名ずつ分かれて並びにある各部屋にて待機することに。

当然他の部屋も、ラブホテルのように改装済みである。スケベな雰囲気の部屋の中、筋肉質の男達に間違いが起こらぬことを祈るばかり。



そうして結局、魔王の『早めに来てもらいたい』というメッセージも、ドモンに届けられることはなかったのであった。





冗談みたいな話だけど、また救急隊のお世話になるハメになり、今回はやや短めの内容に。

大勢の前で脱糞させられた話は、あとで近況報告にのせておきます(笑)



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