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第479話

ギドが異端として嫌われた理由。

それは魔法や魔石ではなく、より科学の力を利用した道具作りを推奨していたためであった。


ギドが作った、スイングドアの蝶番に使われているバネもそう。

魔石の離れたりくっついたりする性質を利用して、スイングドアを作ることは出来る。

だがギドは、それよりも遥かに高機能で長持ちする安価な代用品を作った。


もちろん魔石の効果を利用した道具を作りもするが、ギドが作った車の模型のサスペンションには、磁石が使われていた。

魔法や魔石に頼りきりなこの状況を打破すべく、努力と勉強を重ねてきたのだ。


魔法や魔石でやれることはもう限界に近い。ならばそれを切り捨てて、前に進まねば発展はない。


ギドはそれを訴えていたが、学校ではいかに魔法を有効利用するか?といった事を教えており、その考えは正反対。

そこに更に利権まで絡み、ギドは『なかったもの』とされて追い出されたのだ。

高価な魔石を使用した道具が売れなくなれば、それを扱う道具屋、ギルド、冒険者達が困るからだ。


そうして変化を求めない人間の思考は停止する。


誰も彼もが圧倒的な現状維持。

変化を欲している自分を押し殺し、皆がそのままでいようとした結果が、この世界の発展の停滞を招いた。

風呂の湯沸かし器すら思いつかないほどに。


その後、ドモンによってそのバランスは崩壊したのだけれども。

ドモンは魔石の可能性の限界をあっさりと突破してみせ、ギドを興奮させたのだった。



「あぁ、どうにかして魔法を電気のように波形にして飛ばして、それを受け取ることが出来たらなぁハァ・・・」大きなため息をついたギド。

「なんだかそれなら、早く電気を利用できるようにした方がまだ可能性ありそうだけど。お?もうひとつの近隣の街が見えてきたぞ。一度来てみたかったんだよなぁ」自分の肩をトントンと叩くドモン。慣れない車の運転で、知らぬ間に肩に力が入っていたらしい。


「あーあ、ここからまたノロノロ運転ね」ナナはドモンの真後ろの席でヤレヤレのポーズ。

「ギド、おっぱい揉む機械はまだか!先っぽもツンツンできるやつを早くくれ!1番は横乳、2番は下乳、3番は先っぽ、4番は全部ツンツンするようにしてくれよな」

「それだ!!」


ドモンの悪ふざけの言葉を聞き、車内で突然立ち上がったギド。

「え?」「ええ?!」と皆驚きの顔でギドの方を見た。ナナは胸をこれ以上ないというくらい隠しながら。


「ほ、本当に出来るのか?!」「ドモンのスケベが感染ったわ!」

「違いますよ!!エレベーターの制御方法についてです!僕は先生の世界の制御方法を再現することに、囚われ過ぎていたのかもしれません。もっと単純で良かったのですね」


電気信号を受信できないのならば、有線で制御装置を遠隔で操作すれば良い。


「エレベーターが1階にいる時に1階のボタンが押されたならばそのまま開き、それより上の階にいる場合は下に移動する。上向きに移動中は実行せず、停止後にフムフム・・・」

「もう何を言ってるのかさっぱりだよ」

「ちょ、ちょっと待ってください。想定していた以上にかなりややこしいですねこれは・・・先生、これはものすごい技術ですよ」

「そ、そうなのか・・・」


目を瞑り、あれこれと頭の中で整理を始めたギド。

操作さえ出来ればなんとかなると思われた制御が、実はかなり難しいということが判明。

階数が増えるたびに何十通りも制御をしなければならないことが増え、ギドの頭脳を持ってしても、すぐには答えは出せない。


「・・・こうなった場合、反対向きのモーターを作動させて、逆側に天板を移動させてワイヤーを戻し・・・となるとこちら側からもワイヤーを戻さねばならないから・・・ふぅこれで4階までの制御ができるか」ギドがウンウンと頷く。

「あ、あと安全装置や落下防止装置も付けないとならないんだけど・・・」申し訳無さそうに言ったドモン。

「先に言っておいてくださいよ先生~!!」


これで制御しなければならないことが何倍も増えた。


自動車は別の街に到着し、その街の貴族の屋敷へ。

流石に夜の街の中を王族が散策することは出来ず、トッポやシンシアからはブゥブゥと不満の声。


「じゃあほら、帰りはトッポに運転させてやるから」

「ホントですか?!やったぁ!!行きましょう!すぐに行きましょう!」

「いや、この街の領主もああしてせっかく出迎えてくれてるんだから、少し屋敷で休んでいこうよ」

「え~・・・」


文句を言うトッポの背中を押して一同は屋敷の中へ。

ただギドと兄貴だけは車内へ残った。

頭の中で考えたことを整理して、すぐに書き留めておきたいとのことだった。



「へ、陛下が我が屋敷においでなさるとは想像もしておりませんでした故、なんのおもてなしの準備もしておらず・・・」汗を拭き拭きする領主。

「お構いなく。すぐに出発しますから」「おい!このバカ王」


早く運転したいトッポを叱るドモン。

ドモンのその態度に小さく悲鳴を上げた領主や侍女達。


この街はワインとチーズが名産品ということで、それらを出されドモンとナナは大喜び。

トッポは運転があるのでチーズのみを試食。

もちろん出された物は、屋敷の中にあるものの中で一番の高級品である。


「んあ!おいっし!普段食べてたチーズとまるで違うわ!ドモンも食べてみて」目を丸くしたナナ。

「実は俺はそのままのチーズがちょっと苦手なんだ。溶かしたチーズは好きなんだけどな。だから酒だけでいいよ」超高級ワインをビールのように飲むドモン。


「保存食として、庶民が溶かして食する硬いチーズもあるにはあるけれども・・・」

「おお、そりゃいいね。じゃあちょっと調理場借りていいかな?」


領主の了解を得て、ドモンは調理場へ。

ギドがなんとかしてくれそうな様子で、ドモンの気持ちもようやく上を向いた。





無事墓参り終了。

まだ色々と予定があるので、ストックちょび出しでご了承を。



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