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第477話

「黙って聞いてりゃ、このバカ共がつけ上がりやがって!」

「なに?」「失敬な!」


我慢できなかった男が自動車から飛び出した。

もちろんドモンだ。


「なーにがまた挑戦するならだよ。バカ共が教える馬鹿な学校に、俺の優秀な生徒を行かせるわけねぇだろうが!!」

「せ、先生・・・!!」「ドモンさん!!」


感動に打ち震えるギドと兄。


「てめぇらが百万人集まったってこいつには敵わないぞ!今に見てろよ?こいつが世界を救う英雄となるのを。そして必ず後悔する時が来る。手に入れそびれたその宝の大きさを知ってな!ザマァ見ろってんだ!バーカ!」

「おのれ!」「下手に出ていれば図に乗りおって!!」


ドモンと教授達との睨み合いになったその時、たくさんの騎士達と一台の馬車が到着。

それを見て、大慌てでその場を離れた野次馬達。


「む?あれはもしや?!」「陛下!!」


トッポと義父の姿を見つけ、教授とその生徒達も慌てて頭を下げて片膝をついた。

ドモンはこの教授達が来た時と同じくらい嫌な顔。


「このような場所で王家の皆様にお目にかか・・・」

「ぬお!!これが新型の自動車であるというのか?!」


挨拶をしようとしたヒゲジジイであったが、義父の目にはこの自動車しか目に入らず。


「へ、陛下!ご無沙汰してお・・・」とハゲ。

「ドモンさ~ん!!僕も乗せてくださぁ~い!!」何故か車に抱きついたトッポ。

「もう10時過ぎてんだぞ。何をこんな時間に来てんだよバカタレが。それからお前に、俺から言いたいことがひとつある」

「ち、違うんです!土地の件ですよね?!僕じゃない僕じゃない!土地の使用許可に関しての書類に判を押しただけなんですよ!」

「ならお前のせいだろうがやっぱり!!!」

「いたぁい!!」


これ以上ないというくらいのゲンコツをトッポの頭に落としたドモン。

トッポもドモンの気持ちについての話を聞き、謝罪もするつもりでここに来た。

それらの様子に、教授と生徒達も呆然としている。


「おお、ふたりともよくここまで来てくれたな。ドモンがいつも無理難題を押し付けているようで、私の方から謝罪をしたい。本当にすまぬ」ギドと兄に気がついた義父。

「ああ、いえいえ。先生からは教えを頂戴しているだけで、無理難題だなんて考えたこともございませんよ。頭を上げてください」

「え・・?あの??」


王族が頭を下げ、それを諫めるギドに混乱する教授と生徒達。


「陛下、この者がこの自動車なるものを作り上げた田舎の道具屋でありまして、私達もこの者に対し・・・」ヒゲの説明。

「おお!ギド殿と兄上殿でしたか!!挨拶が遅れたことを謝罪させてください」

「おやめください陛下!」「?!」「え???」


片膝をついてギドに挨拶をしたトッポ。

慌ててそれを止めるギドと、驚く教授ら。

遠巻きに見ていた野次馬達も思わず声を上げた。


「何を言っているのやら。この国どころか、この世界の人々を救える力を持つあなたに敬意を称せないなど、そんな恥知らずな真似は私には出来ません。そんな者はこの世にいるはずもない」

「・・・・」


わざとらしい台詞を吐いたトッポに、思わず吹き出しそうになるのを堪えたドモン。

トッポはその立場ゆえ、こういった事には非常に敏感である。


この立場を利用してでも、いつか学校の者達に一発食らわせてやろうと考えていたところ、この日絶好の機会がやってきたと判断したのだ。

もちろんドモンにもその意図はすぐに伝わっていた。


「え、ええ!私共もそう思っておりまして、是非とも我が校へと誘っていたところでございます!きっと優秀な生徒として・・・」頭の汗を拭うハゲジジイ。

「生徒?何をバカなことを言っているのですか。頭を下げて教えを請うのは、あなた達の方ですよ?」トッポはわざとらしいヤレヤレのポーズ。


「バカなこと言うな。俺の世界一優秀で大切な弟子を渡してたまるかよ。悔しかったらこの自動車と同じ物を作ってみろ。ま、これはギドが作った物のひとつでしかないけどな」

「・・・・」「・・・・」


ドモンの言葉に黙り込む教授達。

その側で両手の拳を握りしめ、ただ涙がこぼれないよう夜空を見上げたギドと兄。

そうしてギドは自信を取り戻すことに成功した。


「設計図はあとで複写したものをお渡ししますよ。それで更に良い物をお作りになられるのを楽しみにしております。ぼ、私はこれからエレベーターと呼ばれる昇降機を製作しなければならないので、失礼致します」

「エ・・・レベーター・・・?」「・・・・」


そう言い残し、車に乗り込んだギドと兄。

ドアを閉め、お互いに抱きしめ合いながらワンワンと泣いた。


やり取りを終え、いそいそとその場を去った教授と生徒達。

それを見届けたあと、ドモンとトッポが「やりすぎだバカタレ!」「アイテ!」といつものようなやり取りを行い、トッポと義父のふたりも自動車へと乗り込んだ。



後日談となるが、王都の学校で首席、及びそれに準ずる成績を残した者だけが、ギドへの弟子入りの試験が受けられることとなった。






話のストック切れや休みの件もあって、また毎日更新は怪しげに。


ただ今回の場合は、資料集めとプロットの整理もしなければならないので、どうしても時間が欲しい。200話くらい遡って読み直ししてみたりもしてるので。ご了承を。



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