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第467話

「なーんだ、そんなこと気にしてるの?ドモンってば」

「え?」


アッケラカンと明るく答え、ドモンの手を強く握り返したナナ。

ドモンは驚きの表情のまま固まっていた。


「私は理想の家庭が欲しくてドモンと結婚した訳じゃないのよ?私はドモンが好きでドモンと結婚したの」

「・・・・」

「スケベで、女ったらしで、でもお料理が上手で、ぶっきらぼうだけど、でも本当は子供にもみんなにも優しくて、賭け事に強くて、頭の回転も早くて」

「ナナ・・・」

「ドジなところがあったり、私達がいなくちゃすぐに寂しい顔したりグス・・・嘘つきだけど正直で、私はあのね、出会った時からずっと、今のドモンが好きなの!サンやシンシアも大事に思う今のドモンが」


ナナは目に涙を浮かべながらそう訴えた。

初めて逢った時よりも、少しだけ上手にその気持ちを伝え、笑顔も見せながら。


馬車の窓の外の流れる風景に映るのは、王都の店の立派なショーウィンドウ。

それを見たドモンが少しだけ意を決し、そして改めて言葉にした。


「俺もナナが大好きだぞ。そしてみんなのこともだ」


太陽がちょうど真上に来た頃、馬車が教会へと到着。

パレードか大名行列かのような一行だったが、何故か途中で24時間営業の店に寄り、唐揚げなどを購入。

一応視察といった名目だったが、ドレスを着ていたシンシアとそれについていたサン以外の全員が、いわゆるコンビニの雰囲気を楽しんだ。

ローズを含む子供らも大はしゃぎで店内を走り回り、最後はドモンのげんこつが落ちた。


プンプンと怒っているシンシアには、鶏肉の入ったおにぎりを購入。

各国から様々な食材が届き、醤油などの調味料の生産が本格化して普及し始めたら、徐々にメニューを増やしていく予定。



「昨日の今日でこんな事になっちゃって、なんかゴメンね神父さん」

「い、いやまあ・・・ハハ・・・ハァ・・・」


挨拶のため先に入場したドモンが神父に平謝り。

昨日結婚の誓いを行った者が、別の女性を連れて二日連続で結婚の誓いを立てにきたなんてことは前代未聞のこと。


その上、その結婚相手が隣国の姫であり、その姫についている者が昨日の花嫁。

更にはドモンと一緒に来た女性に「妻のナナです」と自己紹介をされ、開いた口も塞がらない状態。


「参列者が王様とかそのへんのが来るんだけど、特に気を使う必要はないから。じゃあそういうことで」

「ひぃ!」事前にそれは知っていたが、それでも叫び声が出た神父。


挨拶を済ませドモンとナナは一旦退場。

それと入れ替わるようにトッポを含む王族や隣国の王族、貴族らが続々と入場してきて、神父やシスターは神に祈りを捧げた。


騎士団長を含む護衛達も教会内外にズラリ。ロイヤルガーディアンズのチィやミィ、勇者パーティーも一緒。

チィとミィは教会での結婚式を話にしか聞いたことがなかったので、物珍しそうにキョロキョロと辺りを見回している。


そんなところで段取り通り、まずは新郎のドモンが入場。

昨日とは違い、上下光沢のある白い衣装で登場。少し派手なのは、トッポからの借り物だからだ。


そのドモンの少し斜め後ろをナナが歩く。付き添いはいらないというのに「私だけ何もしないのは嫌よ!」と無理やりドモンに付き添うことになった。

結局三人の嫁全員がバージンロードを歩くという異様な光景に、全員が苦笑い。

神父のなんとも言えない表情を見たドモンは、今すぐに懺悔する部屋に飛び込みたい気分。


続いて新婦の入場。

父親にエスコートされながらシンシアが登場すると、その姿を先程見て知っていたはずなのに、思わず感嘆の声が漏れた。

繊細な細工が施されたティアラをつけた頭にベールをかぶせた、少し俯き加減のその表情は、ナナともまた少し違う神秘的な雰囲気を醸し出していて、見慣れているはずの父親ですらつい見つめてしまうほど。席に座っていた母親もその姿に目に涙を溜めている。


サンはシンシアのドレスの裾を持ちながら、ニコニコとその後ろを歩く。

サウナの効果なのか、それとも結婚したおかげなのか、ますます可愛さに磨きがかかったサンの姿に、王族の子供らもクラクラ。


「流石に綺麗ね。サンも可愛くて花嫁に天使がくっついてるみたい」とナナ。

「ああ。でもナナも負けないくらい綺麗だよ」

「ほーんとドモンは幸せ者ね!エヘヘ」

「うん。元の世界じゃ考えられないよ」



パチプロで食べていた頃は、女遊びはしていたけれど、こんなにモテていたわけではない。

遊んではしっぺ返しの連続で、どれだけ恨まれていたかわからない程。


相手の女性だけではなく、その両親からも悪魔だと言われたこともあった。

悪魔なのだから壊してもいい。どうせ死なないのだからと、ドモンは何度も壊された。


ドモンが苦しめば苦しむほど相手が喜ぶ。悪魔退治の快感に酔いしれる。


ドモンはそんな世界から逃げたかった。

巨乳で明るく天真爛漫で、自分を好きでいてくれる女がいる世界へ。

従順で可愛く、頼りがいがあって頼りにもしてくれる女の子がいる世界へ。

ワガママだけど、裏ではデレデレのお姫様がいる世界へ。


冴えない人生から一気に成り上がり、人生をやり直す。そんな妄想の世界へ。


それはまさにドモンがこの世界に来た時にバカにしていた『夢も希望もない奴が見る願望』そのもの。

こんなはずじゃなかった。こんなはずはなかった。


用意された妄想の世界での、用意された三度目の結婚式が始まった。





さっぽろ大通ビアガーデンが始まり、一昨日、昨日と飲みに行ってしまい、完全に話のストックが切れました。

箇条書きで、ある程度ストーリーだけ数ページ分は書いているけれど。


続きがアップされなかったら、間に合わなかったんだと判断してください(笑)

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