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第407話

「おぉ~!おー!サウナだサウナ!これだよこれ!」


一足早くサウナに飛び込んだドモンが叫ぶ。

真っ白な照明で雰囲気は出ていないものの、中は完璧にサウナが再現されていて、体からじわっと汗が滲み出る。

ナナ達はドアの外でまだ躊躇。


「ねードモン大丈夫なの~?ねぇちょっと聞こえてるー?もう~」


まずはナナが恐る恐るサウナの中へ。

ドアを開けた瞬間の熱風に腰が引けたが、ドモンが入っているならと勇気を出して飛び込んだ。


「むわっ!熱い!!何なのよこれ?!む、むわぁ~!!」

「いいからほら座れ。高いところの方が熱いんだよ。あと話すなら口にタオルを当てた方が楽だぞ」

「うぅお尻も熱い・・・本当にこんなものがあっちの世界に・・・あー熱い・・・」


座ったお尻も熱かった。

口にタオルを当てているので、ドモンのタオルを敷いた。

それらの様子を窓から覗きながら、サンとシンシアも意を決しサウナの中へ。


「うぅ熱いですわ・・・ほらサンも来なさい」

「うぅぅ~う~」

「あら?」「ありゃ」「あ!」


ナナが「口にタオルを当てると少し楽よ」と説明をしようとした瞬間、サンがサウナから飛び出した。

子供の初めてのサウナ体験でよく見る光景。


「う~ん熱いですけれども・・・なんというかこれは・・・心地よいものかもしれません」

「えぇ?!嘘よ!!苦しくてもう出るわよ私」

「そこから一分、出来れば三分頑張ってから出ると気持ちいいんだぞ。しかも痩せちゃうかも?」

「え?ホント?」「そ、そうなのですか?」


熱さで真っ赤になった顔と体で座り直したナナ。

口にタオルを当てているため色々と丸出し。

シンシアは口にタオルを当てなくても平気だったので、体の前面にタオルを当てて隠している。

ドモンに見られることも平気だが、なんとなく女の嗜みとして。


「よし!そろそろ出よう!」

「ぶはぁ!はやぐドボーン!!開けてぇ!!あああ~~」「いい汗をかきましたわ!」

「さあ水風呂に飛び込むんだ」

「どこにあんのよ」「水風呂?」


一休みする椅子は用意されていたが、水風呂がなかった。

床にへたり込む三人。


「うぅぅ~ウォーターボールですぅ・・・グス」


サウナの外でグスングスンと泣いていたサンが、気を利かせて水魔法を三人の頭の上に放った。

冷たい水に体は一瞬硬直したが、すぐにその冷たさが心地よくなる。

ドモンの指示で椅子に座った三人。ナナは隠すことも忘れ、大股開きの丸見え大全開でぐったり。


「あは~・・・熱いはずなのに涼しいし、寒くなってもおかしくないのに寒くな~い」

「はふぅ~・・・何も考えられなくなりますわね・・・ハァ~」

「ととのった~」


蕩けそうな顔で天井を見上げた三人。

それを見たサンがへの字口でまた涙。仲間はずれは嫌なのに、自ら飛び出してしまい仲間になれなかった。


「サンも同じになりたいです御主人様!でもぅ~うぅ・・・」椅子の上で体育座りしながらイジケるサン。

「サンは子供だから無理よ。アハー気持ちいい~」「大人ですぅ!」


椅子からずり落ちそうになるくらい横に倒れたナナ。そのままなぜかM字開脚をしてしまったので、サンがタオルで隠した。

シンシアですら、もう隠すこともせずに横になり脚を開いてしまったので、そっちもサンが大事なところにタオルを乗せた。


「水で濡らしたタオルを口に当てながら入るといいよ。あとで俺が一緒に入ってやるからもう少し待って。それと俺らに飲み物入れてくれる?冷たい水でもいいや」

「はい。グス」


脱衣所の冷蔵庫から冷えた水を持ってきたサン。

それを受け取るなり三人は一気飲み。


「ハァ~美味しい!!なんですの?!まるで魔法の水みたいですわ!!」目を丸くしたシンシア。

「ングング・・・ぶはぁ!!何よこれ?!わ!体の力が抜けてまたチビリそうになっちゃった」やっと脚を閉じたナナ。

「体中に染み渡るようだろ。サウナはこの瞬間が俺は一番好きなんだ。冷たい酒ならもっといいけど」ドモンも大満足。


冷え冷えのタオルを口どころか顔全体に当て、サン二度目の挑戦。

結局ナナとシンシアも一緒に入ることにした。もうサウナのことは理解出来た。


「フゥフゥフゥ!うぅ~御主人様~・・・」

「ほら俺の横に座れ」「サン頑張って」「しっかり口に当てなさいサン」


サンの体から一気に吹き出る汗。

不純物が一切ないキレイな汗が、白い照明に照らされ、一滴一滴が宝石のよう。


「あちゅい・・・でし」朦朧としつつ、八の字眉の困った顔でドモンの顔を見上げるサン。まだ一分も経っていない。

「頑張れサン!サウナは最低でも五分以上入ってから出ないと死んでしまうんだ」

「えぇ?!嘘?!」「ほ、本当なのですか?ドモン様!!」「・・・・」

「冗談冗談。無理はしなくていいよ・・・ってあれ?サン?!」


ドモンの冗談にナナとシンシアは怒っていたが、サンは失禁した後に失神し、ドモンの方にパタリと倒れてしまった。

慌ててサンを外へ運び出す三人。

意識のない状態で冷たい水をかけるのは危ないと、ぬるま湯を用意して何度かかけるとすぐに目を覚ました。


窓を開け、サンの体を外気に当てさせると、体の中の何かが活性化されたのか、サウナの中の時以上に全身から一気に汗が吹き出した。

その汗を拭き取ると、顔も体も今まで以上にすべすべツヤツヤで、本当に赤ちゃんの肌のようになり全員驚愕。

それを見て、負けちゃいられないともう一度サウナに飛び込むナナとシンシア。もうサウナの虜。


「もう~御主人様の嘘つき」お姫様抱っこで椅子まで運ばれたサン。

「ごめんごめん。それにしても今のサンは可愛くて綺麗だよ。笑顔もピカピカだ」サンの頭をポンポンと撫でたドモン。

「今だけですか?ウフフ冗談です。ああ~御主人様・・・なんだか体が気持ちいいです」

「あ、ああ・・・」


ナナやシンシアのように体をタオルで隠すこともなく、ふたりの真似をして脚を広げたサン。

どこかの誰かにこの様子を見られたならば、ドモンは鞭打ちの刑待ったなしの状況。


椅子をサンの横に移動してドモンもゴロリと横になり、サンと同じような体勢で脚を広げる。

少し開けた窓から入る涼しい風が気持ちいい。


「サ、サン・・・」いつの間にやら恋人つなぎでサンの手を握るドモン。ナニかはすでにすごく元気。八の字眉の頃からもうドモンはムズムズしていた。

「ごしゅ・・・ドモンさん・・・ふぅ~」更に脚を大きく拡げたサンは、サウナの中よりも赤い顔。


「やっぱりこっちにいたのかドモンさん、どうだいサウナの様子は・・・ってあれ?!」


大工が飛び込んできた脱衣所の方に向かって拡げられていた脚を、ゆっくりと閉じたふたりだったが、元気になったナニかはまだ元気なままだった。





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