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第288話

「随分と無茶をしてくれたなお前ら」


ドモンよりも一回りは若いと思われるボスと呼ばれる男。

小柄な男だが、妙に迫力を感じさせる。


「最初に無茶をしたのはそっちだけどな。突然女を拐われたとなりゃ、多少の無茶だってするさ」とドモン。

「奴隷商以外の女連れで、のこのことここへ来る奴なんか、怪しまれるのも当然だろう」


ボスの言葉にドモンも悔しいが、それも当然の意見だと頷く他ない。

元の世界でもケーコとすすきのの怪しげな裏通りを歩いていて、こぶし大の石を客引きのジジイに投げつけられたことがある。

後日、罠にかけて警察に引き渡し、きっちり復讐はしておいたが。サンに言った復讐は何も産まないとは一体何だったのか?そんなものはドモンの都合次第だ。


「まあこれ以上やりあってもお互い損をするだけだ。こいつらが本気になれば、一秒後には全員吹っ飛ばされるのが落ちだからな」と老婆にチラッと目をやるドモン。

「・・・・部屋まで来い」とボスの低い声。


あの爆発と自信有りげな老婆達の表情を見れば、恐らく本当にそうなのであろう。

ドモンも実際に見たわけではないけれど、エイがコクリと頷き、全員確信へと変わった。


客や女達、集まった野次馬などを外に出し、一行は三階にあるボスの部屋へと入る。

はじめはボスとドモンのサシでの話し合いになる予定だったが、ナナと老婆達がワガママを言い出し却下したため、全員で入ることに。

その代わりボスも護衛達を部屋の中や外に全員置いた。



「それで、てめぇらの目的は何だ?」

「またその話をすんのかよ。さっきも向こうでしたというのに。俺らの街にもスケベな店をたくさん作ろうと思って、視察に来たんだよ。でも参考にはならなかったからすぐに帰ろうとしたんだ」

「・・・・」


ジッとドモンの様子を見定めるボス。

女ボスと同様に、そこに嘘があるかないかくらいなら、それでわかる自信があった。


「嘘はねぇよ。ま、本気で嘘をつこうと思えば騙し通す自信はあるけどな。俺は元々ギャンブルで飯を食ってたんだ」ドモンがタバコに火をつけた。

「・・・・ふん。どうやら嘘はないようだな」


前屈みで座っていた身体を起こして、今度はソファーの背もたれに寄りかかり脚を組むボス。


「何にせよだ。この落とし前はつけてもらうぜ」とドモンを睨みつけたボスだったが、最初に反論したのはナナだった。

「あんた達が私を無理やり連れて行ったせいでしょ?馬鹿なこと言わないでよ!!」

「そうは言ってもありゃやり過ぎだ。建物の修繕費用、その期間店を休む分の損害賠償など、それら全部含めりゃ金貨5000枚はくだらねぇなぁ」


金貨5000枚は日本円にして約5億円である。


「ハァ???払えるわけ無いでしょ!!それにどうしてそんな値段になるのよ!横暴すぎるわ!」憤慨するナナ。

「何を言ってんだ。下手すりゃ建物ごと建て替えも考えられるんだぜ?金貨一万枚と言いたいところを半額に負けてやったんだ。感謝して欲しいくらいだぜ」


当然そんな金は払えるわけもないし、取れるとも思ってはいない。

狙いはナナ、そしてサンである。


「それじゃあ仕方ないな。5000枚で許してもらおうか」

「な、何言ってるのよドモン!おじいちゃんだって流石に出してはくれないわよ?!」


ドモンの意外な言葉に焦るナナ。そして女性陣。


「ほう?随分と話がわかるじゃねぇか」

「まあ俺も大人なんでな。ただし、先に給料を支払ってもらわないとこっちも払えないんだ」ドモンがタバコの煙を吐く。

「なんだと?」


「ナナの給料。10分金貨5000枚。ナナ、何分くらい部屋にいたんだ?」

「三十分くらいよ。でも二時間くらいに感じたわ」

「ふぅん、じゃあ金貨6万枚だ。そこから5000枚引いて、金貨55000枚で許してやる」

「てめぇ!!!!」


ボスが目の前のテーブルを蹴っ飛ばそうとした瞬間、ドモンも反対側から右足で蹴っ飛ばし、テーブルはまったく動かなかった。

護衛の男達が殴りかかろうとし、老婆達がそれぞれ三方向に手を掲げ牽制。

その結果、皆動きをピタッと止め、緊張感だけが高まる結果に。


「たった金貨6万枚でナナを抱けるなんて、結構な大サービスなんだけどなぁ。もう二度とその機会なんてないぜ?」

「ふ、ふざけ・・」「ちょっとドモン!!私を他人に抱かせようっての!?しかもたった金貨6万枚ごときでギギギギ!!!」


ボスの言葉を遮りナナ大激怒。

話の流れを考えれば、そんな事はないとすぐわかるだろうにとドモンはため息。タバコの煙がバフっと広がった。



「てめぇら、五体満足に帰れると思うなよ?俺らを馬鹿にしたこと・・・」プルプルと震えながら顔を引きつらせるボス。

「はぁ~まるで埒が明かないねぇ。もうパッパとここら一帯吹き飛ばして皆殺しにしちまえばいいんだよ」とボスの言葉を遮る老婆。


「何度言わせる気だ!駄目だっつってんだろが!」

「ヒィィィ!!!すきぃぃぃ!!!」


即座に左側に座っていた老婆の首を右手で鷲掴みにして爪を立て、左手で胸も鷲掴みにしたドモン。

人間社会に溶け込んでいた今では感じたことがない恐怖に体を震わせ、下着とソファーを汚す老婆。



話には聞いていた。魔王ですら敵わないと。

強いとか弱いとかの次元の話ではなく、ドモンは創造者であり審判なのだと言う。

敵も味方もない。ドモンがゲームセットと言えばゲームは終わるのだ。


占いの時に手を繋ぎ、その内面も覗いた。だが真っ暗で見抜けなかった。

でもその見抜けなかった事自体が異常だった。


更に何者かによって、別の映像を見せつけられた。

つまりは誤魔化しの映像。偽造。

ドモン本人がそうさせたわけでもないように感じるが、ドモン本人しかそんな事はやりようがない。


とにかく感じたのは逆らえぬほどの大きな力のみ。



人間社会で何かしらの異常を察知した際には報告が義務付けられているため、エルフの長老にすぐに報告をしたところ、前述したことを言われた上、すべての敵を排除してでもその御方を守れと伝えられたのだ。そうしなければ我らは滅ぶのだと。

更には同伴している者達は女神と天使のようなものだとも伝えられた。そちらも絶対に守る事を義務付けられた。



そして先程改めて会ったドモンは、もの凄くスケベであった。

ただ傷だらけになっても女達を救おうと、必死の形相でやってきたドモンにエルフの老婆達は心打たれた。


どうにも憎めないスケベな男。

女にとって大変やっかいで面倒な男だが、自分がその面倒を何故か見たくてたまらない。

なのでそのドモンに手をかけようとする輩達は許すことが出来なかった。他のエルフの老婆達もそれは一緒の気持ち。


だがそれをドモン本人によって咎められた。爪の恐怖によって強引に。


もうこれは耐えられるものではない。特に女は。

完全屈服。究極の束縛。

自らの命を預け、その運命をドモンに委ねる至福、そして愉悦の瞬間。



それらの思考が一瞬で行われ、老婆は「好き」とドモンについ告白してしまった。



「チッ!汚しやがって仕方ねぇな!」と手を離したドモン。

「ああごめんなさい・・・ふぅ」


「あれ?なんか若返ってねぇか???エロフとまではいかないけれど、エロババフくらいにはなってる気が・・・」

「え?そんな??」自分の顔に手を当て確かめるエルフ。


身体が熱を帯び、全身の細胞が暴れるように活性化。

シワが消えはじめ、しっとりとした肌を取り戻す。

その後はもう何も考えられず、ドモンの首に手を回し、突然キスをした。


「ああ!!!なにしてんのよ!!」「あ!!やりやがりましたぁ!!うーっ!!」


大慌てでドモンから引き剥がすナナとサン。

「ん・・・」と唇を拭った老婆の姿は、見た目的にはもうエイとほとんど変わりがない。

そのエイもかなり若返ってはいたが。


「な、なんだ??」とボスも突然のことに呆気にとられた。

「エ、エロババフがエロママフに・・・」これならすぐにスケベなことが出来そうだと考えたドモン。


それを見ていた残りの老婆達もドモンに飛びつきお情けを頂き、その結果、エロママフが三人に。


「驚いた!力が漲るよ!」

「現役復帰した気分さね!」

「さあどうすんだい?これでもまだドモン様に逆らおうってのかい?私らが相手になるよ?」


立ち上がってテーブル越しにボスに迫るエルフ達。

テーブルに片足をかけ、そらそらどうしたと息を巻く。

ドモンが知っている可憐なエルフ像とはかけ離れた、なんとも威勢のいい熟女三人衆。


「ビチャビチャに尻を汚しといて何を威張ってんだよ!」


すぐにパン!パン!ピチャン!とドモンが連続で尻を叩き、エロママフ達は着替えのため一時退席となった。

何気に一番血の気が多かったのがエルフ達だったので、ようやくこれで話は進められる。



「今俺らを始末したら、あいつらが後で暴れるだろうしヤメてくれよな」一応ドモンが先に牽制。

「ああ・・・で、どう落とし前をつける?このまま何もせず手打ちになんかにしたら、俺達もこの先この商売やっていけねぇんだ」


確かに店を壊されたというのに無罪放免じゃ、周りの店や客に舐められるだろう。

元の世界の大人の店だって、必ず脅し文句が貼ってある。本番云々、罰金100万円云々と。


はっきり言って、部屋の中では何をやっていたのなんかわからないし、バレることなんてない。

だがその脅しの一言で客を自制させることが出来るのだ。


ボスが守りたいのは、この脅せるほどの威厳。


「てめぇはギャンブラーだと言ったな?」

「元だけどな」

「じゃあ勝負しろ。てめぇが勝てば見逃してやる。負けた時は女達を置いていけ」

「何の勝負だ?」


ボスは「インディアンポーカーだ」と言い、ニヤッと笑った。







ソフトボール大の石を投げつけられたことも実話。札幌コマ劇場前。

復讐の件については内緒にしておくけれど、現在はかなり平和になったとだけ記しておく。




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