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第272話

「こ、ここが温泉の入口なのか?オーガはおらんのか?」


馬車から降りた義父がキョロキョロと周囲を見渡した。

ドモン達も見回したがその気配は感じられない。


「ああほら、あっちにも青い布が付いているから、あの奥の方に行けってことなんだろうな」

「そうね。もう!あの人達も迎えに来てくれたら良かったのに」


ドモンに向かってそう愚痴を吐いたナナだったが、ドモンと馬を繋いで戻ってきたサン以外はビクッと反応。

皆にとっては、いないならいないに越したことはないのだ。


「わ!見て下さい御主人様!あの松明のある方に湯気が立っています!」とサンが指を差す方向を見ると、どこの高級旅館の露天風呂なんだというくらい綺麗に整備された露天の岩風呂と脱衣所があり、その脱衣所から風呂までの飛び石状の石畳があった。


脱衣所から露天風呂の石畳の通路沿いと温泉の周りには松明が焚かれ、所々にきれいな花が添えられている。

温泉の中にまで花が浮かべられており、なんとも幻想的な雰囲気。


温泉が噴き出している場所には飲めるということを証明するように、いくつかの木のコップが用意されていた。

温泉から奥を覗くとテーブルや椅子、休憩用のちょっとした小屋もいくつか用意されているのが見え、それには全員が驚いた。


「至れり尽くせりじゃねぇか」

「うむ。これを急ごしらえで用意したというのか?貴様らを迎え入れるために・・・」


ドモンは感動。義父はいろいろな意味で驚愕。

いくらドモンが魔物に好かれていると知ってはいても、ここまでなのか?と。


それでいて褒美どころか、褒め言葉すら受け取る気がない。


ドモンやその他の者達に気を使い、その姿を隠しているのだと義父は踏んだ。

なにせ人間を恐れる理由もないほど強いのだから、堂々と姿を現しても良かったはず。


それらの事から感じるオーガ達の精一杯の持て成しの心に、義父は感激していた。


「ドモンよ・・・オーガ達を呼べるだろうか?」

「あれ?急にどういう風の吹き回し?」

「礼を・・・礼をしたいのだ。危害を加えることも、恐れることもせぬと約束しよう」

「多分呼べるとは思うけど・・・おーいナナ」


義父と会話をしながらナナを呼んだドモン。


「ねえ食事もいいけど、先に一度温泉に入ろうよ」

「ああ、その前にオーガ達にジジイがお礼をしたいんだってよ。ちょっと呼び出すからそこに立っててくれ。一応サンも」

「????」「????」


「ピンポーン!はいこっちもピンポーン!こっちへ来てくれオーガ達!」

「あん!!」「きゃっ!!」

「サンって控えめなのに、先っぽだけは最近コロコロと大きくなってきたよな。つまみすぎたかな?まあ俺好みだけれども」

「い、言っちゃダメェ!!」


当然怒り出すナナと、急な辱めによる羞恥に悶絶するサン。


「どうせ温泉に入ったらみんなに見られるだろ。ナナよりも大きく育った、サンのコロコロの恥ずかしい先っぽ。最近は服の上からでもすごく主張してるじゃないか」

「や~め~で~!!酷すぎますぅ!!」


ポカポカとドモンの胸を叩いて怒っているサンの顔は、言葉とは裏腹に少し嬉しそう。

もちろんドモンがサンを辱めるために言ったイタズラだったが、サンはみんなの前で今にも脱ぎだしそうな雰囲気。


「ほらピンポンピンポン」と、サンの呼び出しボタンだけを連打しだしたドモンに嫉妬したナナが「わ、私のじゃないと来ないわよ!」と胸を突き出した。


周りにいた騎士達が真っ赤な顔になり、引きつり笑いをした義父がドモンを睨んでいると、温泉の横の茂みがガサゴソと揺れだし、全員が一気に振り向く。


「ド、ドモン様、お呼びでしょうか?」と爆乳熟女オーガ。巨乳元気娘と控えめ美少女もその後ろへ。


ザッ!ザッ!と騎士達が剣を構えようとした瞬間「控えよ!礼を尽くせ!」と義父の声が飛び、騎士達はすぐに一歩引いた。

オーガ達と騎士達の両者の間に高まる緊張感。



「出た!やっぱりいた!おっきいおっぱいのオーガちゃん!!」とドモンはバンザイ。

すぐにオーガの女性達の元へと飛び込もうとしたドモンの襟首を、ナナが青筋を立てながらつかまえた。


オーガの女性達は、いわゆる『霊長類最強女子』的な筋肉をまとっているのだけれども、その内のふたりはほぼエリーとナナと同サイズの脂肪の塊をふたつ付けていて、残りのひとりはサンを鍛え抜いたような感じだった。


ゴブリンとは違い、皆、きちんとした服を着ている。

そしてオーガの男達とも違い、頭に角がない。

カブトムシみたいなものなのかな?と思うドモン。


ただ今はそんな事はどうでもいい。

エリークラスの超爆乳に頭から突っ込まなければならない。ドモンの頭の中は今はそれだけ。


ナナを必死に振り切ったドモンが、勢いよく爆乳熟女の胸に飛び込んだが、分厚いおっぱいと筋肉に弾き返されて仰向けに倒れ、すぐにナナと巨乳元気娘のふたりに馬乗りにされた。


「あんた!いきなり何してんのよ!!」

「お母さんに何すんのよ!!」

「ん?」「ん?」


ドモンに跨がり、お互いに顔を見合わせパチパチとまばたきをするふたり。

ゴブリンのところだけではなく、ここにもナナのそっくりさんはいた。しかもこっちは母親までそっくり。


「もう~ドモン様になんてことをするのよぅ。ドモン様大丈夫ですか?ごめんなさいね。私胸が大きくて、それに人間よりも少し硬いものだから・・・」

「どれどれ・・・うん本当だ」と膝枕をされながら、改めておっぱいを揉むドモン。


「はぁん!駄目ですよドモン様・・・私には夫が・・・でもどうしてもというのなら少しだけですよ?ウフフ」

「うー!」「うー!」


爆乳熟女オーガの言葉に同時に反応したサンと控えめ美少女も、お互いに目を合わせキョトンとしていた。

美少女はメイド服ではなかったが、黒の落ち着いたシックな服を着ていて、これが新しいメイド服なのだと言われても納得できるような格好。


「こっちはなんだか躾け甲斐がありそうな女の子だなぁフフフ」とドモンが笑った瞬間、ふたりはプルプルと震え、ドモンに向かってお尻をそっと突き出した。

パーンパーンと交互にお尻を叩かれ、すっかり絆を深めるふたり。「頑張ろうね」とサンが声をかけ「うん!」と美少女が返事をしている。



その様子を見て「ま、まるで・・・変わらぬではないか・・・」と、ぼそっと義父が呟いた。

エリーそっくりのオーガに、ナナそっくりのオーガ、そしてサンにそっくりなオーガまでも。


全てはドモンが思うままに。


ドモンは目の前に現れた自分好みの女達に、ただキャッキャと喜んでいたが、義父だけがその異常さを感じ取っていた。



「サン、予備のメイド服をこの娘に着せてあげてくれる?」

「はい!」「良いのですか?!」


サン似のオーガがメイド服に着替えて、赤い顔をしながらドモンの前に立つ。


「い、いかがでしょうか?」とサン似のオーガ。

「おー、本当にサンがひとり増えたみたいだ。なんかサンが増えたら今まで以上にすごくムズムズしちゃうな・・・ふたりと一緒に温泉に入りたいよ」

「は、はい!」「光栄です!嬉しい!」


これがドモンが求めていたハーレム展開。

今までは、ドモンが考えていたのとはなにか違う感じだったが、ついにこの時が来たかと大興奮。

そんなドモンに大喜びするサンとサン似のオーガ。


ナナとナナ似のオーガは当然のように嫉妬しだし、「負けてられないわ!」「負けてられないわね!」と何故かお互いのスケベそうな服を交換しあって着替えた。

ふたりとも結局同じようなチューブトップのワンピースの色違い。


「ほらドモン、こっちに来て」

「ほらドモン様、私達で挟んであげるわよ」

「あぁ~ふたりとも最高だ。ナナも今まで以上に好きになっちゃうよ」


ドモンの言葉にナナもナナ似のオーガも大満足。


「もう~みんな駄目よぉ?皆さんをほったらかしにして・・・ごめんなさいねぇ」とエリー似のオーガが義父に謝った。

「あ、ああ・・・いや・・・ハァ・・・もう私も正気でいられるかどうか」

「ウフフ駄目よぅ?」とエリー似のオーガが身体をフリフリ。そこで義父の思考も落ちた。



何かの罠というわけではない。

ただドモンがそうあればいいと願っていた。それだけだった。





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