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第253話

「ドモンさん・・・」

「イヒヒヒ」


サンの部屋へと入ってきたドモンはブルブルと顔を左右に振り、ハァ・・と一度深呼吸。

サンはベッドの真ん中にちょこんと女の子座りしながら微笑み、そのふたりの様子をナナが泣きそうな顔で見つめていた。


「結局何の話なんだ?ナナまで部屋に入れて・・・」

「奥様にはそこに座って見ていてもらいます」


サンの言葉で、ベッドの横にある椅子に座るナナ。

ドモンはまだ部屋の出入り口の前で立ち尽くしている。


「ドモンさん、私を抱きたいですか?」

「え?そ、そりゃもう結婚もするし可愛いし綺麗だし、出来るならそうしたいよ。でもナナもここにいるし」


「抱かせません」

「え?!」


「あなたに私を抱かせません」

「ど、どうして・・・」


ドモンにとって予想外のサンの言葉に、ドモンは驚きつつも少し苦しげな表情。

またそれをナナが悲しそうに見つめている。


「それじゃ仕方ないから諦めるよ」と言ったドモンは、ニヤニヤと笑っていた。


「どうしても抱きたいのでしたら抱いてもいいですが、私は最後まで抵抗します」

「・・・・」

「奥様を犯した時のように、私を抱いてみなさいドモンさん!」

「ち、ちがっ・・・」


目を真っ赤に充血させたドモンが、イヒヒと笑いながらサンをドンとベッドに押し倒し、左手でサンの右手を鷲掴みにして押さえつけ、右手でサンの口と鼻を塞ぐ。


「かはっ!!スンスンスン・・・あぁドモンさん・・・優しくして・・・」

「約束はできねーな」


ドモンのその言葉を聞き、ナナはハッとして思わず立ち上がりそうになったが、何とか堪えて心を落ち着かせた。

その押し倒し方、その言葉に身に覚えがあったためだ。


バタバタと最初は抵抗していたサンだったが、やがて幸せそうにドモンに抱きつき、ドモンに服を脱がされたあと体中にドモンの鋭い爪を食い込まされ、何度も絶叫しては失神を繰り返すこととなった。


サンを一度抱いたあと、サンが最初に指示していた通りナナによってドモンは引き離され、風呂場でナナの魔法のウォーターボールを頭からかけられ放心状態に。



「ドモンさんは?」

「着替えさせて、今私のベッドでボーッとしてるわ」

「今日はそのまま奥様の部屋で寝かせてあげてください」

「いいの?」

「はい」


サンの部屋へ戻ってきたナナが、会話をしながらまた椅子に腰掛けた。


「ドモンが・・・ドモンが本当に悪魔だったなんてうぅぅ・・・」

「ま、まだそうとは限りません!長老さんがおっしゃるにはその可能性があるというだけで、もしかすると取り憑かれているだけかもしれないですし、もっと複雑な何かがあるかもしれませんし。私達にもわからない大きな存在だと・・・」

「・・・・」


しばしの沈黙。

ふたりとも色々と思い当たるフシもあれば、そんな訳が無いというドモンの優しさ溢れる行動も思いつく。


「私もサンのように・・・無理やりドモンを好きにさせられていたのかしら・・・」落ち込むナナ。

「それは違います!!もし例えそうであったとしても、それはきっかけのひとつに過ぎません。だってこうしてそのからくりがわかったところで、奥様はドモンさんのこと嫌いになりましたか?」

「好きよ!大好き!好きに決まってるじゃない!うぅぅぅぅ!!」

「私も同じ気持ちですグス」


たとえそうであっても関係ないと、二人は自分を信じる。

だが実際にそうであった。


手を繋ぎ好意を持たせ、催淫効果のあるドモンの匂いを嗅がせて発情させ、体中に楔を打ち込みながら洗脳していく。


一度洗脳されてしまえば、そこから抜け出すのは容易ではない。

洗脳されていることに気が付かないように洗脳しているのだから。

自身の性格もドモン好みに変えられて、いつしかそれが当たり前となる。


ナナはいつの間にか裸にネグリジェ一枚で寝るのが当たり前だと思うようになり、サンはおもらしをしてしまう可愛い女の子になっていた。

本来ナナは恥ずかしがり屋だし、サンはしっかり者の大人の女性である。



全てはドモンが思うままに。



「王宮・・・というより王都では、魔物や悪魔、いえ、魔物以上に悪魔は忌み嫌われている存在なのです」

「それはわかるわ。おじいちゃんもそうだったものね」

「なので、この機会に一度確かめてみようと思ったのと、ドモンさんにどんな変化があるのかや、どんな能力があるのかを知っておきたかったのです」

「うん・・・」


変化についてはナナもぼんやりとだけれども知っていた。

何度も見ているあの恐ろしい赤い目だ。

そして能力に関しては今見た通り。


「長老さんがおっしゃられていたのは、ドモンさん自身、自分の能力は把握していないそうです。ただなんとなく、こうすれば女性を抱くことが出来るとぼんやり感じているくらいだそうで」

「向こうの世界でも・・・そうやって女性を抱いてきたのでしょうね・・・」


「だから、王都ではそれをやらないようにきつく言っておかなければなりません。もしそれで正体がばれてしまったら・・・」

「私からそれとなく言っておくわよ。というか本当はそれが当たり前なんだけどね!」


その他、ドモンにポーションが効かないことや、ゴブリンやオークにやけに慕われていたこと、そして死んでも生き返ったことなど、これらもなんとなくではあるが理解でき、少しだけ腑に落ちた。


「・・・じゃあ、ドモンがすっごくスケベなのって悪魔のせいなのかな?」

「それは元々の性格みたいです」


「もう!基本はスケベおじさんなのね!まったくドモンときたら!ウフフ!!」

「ええと・・・スケベな悪魔なのか、スケベなおじさんにスケベな悪魔が取り憑いているといったところでしょうか?フフフ!」


大変なことだというのに、大好きなドモンのことが少しわかり、嬉しい気持ちも湧いてきた。


「そしてその悪魔は・・・」とサン。

「良い悪魔なのよね」とナナ。


涙を拭いてケラケラと笑い出すふたり。


「お互いに大変な人を好きになっちゃったわね。あ、人じゃないのかもしれないのか。もうどっちでもいいや!ドモンはドモンよ!」

「はい!」


手を取り合い、ドモンを最期まで愛することを誓う。

迷う必要はない。ドモンを守る。そう心に決めた。そこへ・・・


「サン~ナナ~、許してよ~・・・もうあんなことしないから」


しょんぼりしながらドモンがサンの部屋にやってきた。


「どうしたのドモン」とナナ。

「普通にするから・・・その・・・だってエリーが・・・」


耳を澄ませたサンとナナの顔が真っ赤に。

エリーはヨハンのことが大好きだそうだ。恐らく近所の人や通りかかった人も「いやもうわかったから。それ以上言わなくても」と赤面しながら走り去るくらい、大きな声で何度もエリーが叫んでいた。


「し、仕方ないですねドモンさん!そんなに元気にして!フゥフゥフゥ!!」ドモンの何かを確認し、息を荒くしたサン。

「も、もう!!ほら早くこっちに来なさい!まったくこのスケベおじさんは!」ナナがポンポンとサンのベッドを叩いてドモンを呼んだ。

「そんな怒るなよ・・・もう少し優しくしてよ」



「約束は出来ないわ!」「約束は出来ないですね!」



照明を消した真っ暗闇の部屋の中、何があったのかはこの三人以外知る由もない。






第2話に置いた伏線の回収に、約250話ほどかかったけど、皆様いかがお過ごしでしょうか?(笑)


なぜナナがおっさんなんかに・・・とカクヨムの方でツッコまれていたんだけど、物語の核心部分だったため「なぜこんなにもあっさりとこうなってしまったのか?は今のところ秘密です。」としか返信できなかった。



今なら言える。まずは253話まで読めと(笑)




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