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第115話

「カルロス、父は一体何をおっしゃられているのでしょう??叩けば息子にするとは・・・」

「・・・何が何でもドモンを、いやあの一家を丸ごと手元に置きたいらしいのだ。ドモンが断るものだからえらく話がこじれてしまってな」


きょとんとしているカールの奥さんに説明をしたカール。

それを聞き奥さんが深くため息をつき、「一度欲しいとなれば強引なことをするのは昔からですから、心配ですわ」と困り顔。


そんなカール夫妻や義父に、ドモン自ら鶏塩鍋と取り分けた。


「ほらよ、鶏塩鍋だ。熱いから火傷すんなよ?」

「ドモンさんありがとう。今日は父が迷惑をかけてばかりで本当にごめんなさいね・・・」

「いやぁ気にすんな。たった今お仕置きしておいたから」

「え・・?」


ドモンが奥さんにニッコリ微笑む。


「ほう、これもまた美味であるなドモンよ。ん?これは珍しいキノコだな」

「ああたっぷり食べてくれ。そのキノコはあんたの椀にしか入っていない特別なものだ。毒ではないから安心していい」

「ふむ」


カール夫妻が同時に汁を吹き、イーッヒッヒッヒ!というドモンの高らかな笑い声が辺りに響き渡る。


「そ、そのキノコを食べてしまわれたのですか?!」焦るカール。

「む?!もしや毒か??」

「お、お父様、毒ではないのですが実は・・・」と娘であるカールの奥さんが耳打ちをした。ドモンが食べさせたのは当然例の怪しげな下半身元気キノコである。



「おのれドモン!貴様・・・」

「イヒヒヒ!!これが俺の仕返しだ!まあ実験だよ実験。年齢にキノコが打ち勝つのか?それともやはり歳には勝てないのか?クックック」

「・・・私がいくつだと思っておるのだ。そんな物が効くならば、・・ん?とうに試しておるに決まっておるであろう・・ん?」

「き、来たか?!」


義父の異変に、両手を口に当てて笑いをこらえるドモン。


「も、もし本当に効くならばただ嬉しいことではあるが・・・私くらいになれば精神を統一して収めることが出来る」

「おお、流石だな。なあエリーちょっとこっち来てくれ」

「どうしたのよドモンさん」

「今日のドレスが似合ってると思ってさ。みんなの視線がデカいおっぱいに釘付けだったぜ?」


「やだぁドモンさんったら!」とエリーがぴょんぴょんと跳ね散らかした。


「ぐぬおおお!落ち着け!落ち着くのだ。ふぅ・・・」

「おぉ頑張るねぇ。街外れにエリーみたいな女達がものすごい薄着でいる飲み屋があってよ、それがみんなスケベなんだ。想像してみろよ、ほとんど裸みたいな格好で、柔らかいおっぱいを押し付けながら接客してくる大勢のエリーを」

「あぁ・・・もう・・・」


真っ赤な顔でテーブルに突っ伏した義父。

そして周りにいた数名の騎士達もつられたのか、両膝を抱えながら地面に大人しく座っている。


ドモンは狂ったように笑い、他の鍋へと移動していった。



「よおみんな食ってるか?」とドモンが客達に話しかける。


「頂いてるよドモンさん!いやぁ酒だけじゃなくこんなに美味いものまで食べられるとは思わなかった」

「店でもそのうち同じもの出すから食べに来てくれよな?」


「必ず行くよ」と笑顔で挨拶する若者達。


「熱いけど美味しいわねぇ。自分で作るのも楽しいし、こんな珍しいものは初めてだわぁ!ねぇ?」

「ホントホント!焼けた石で煮るなんて初めてよ!」

「珍しいものならあっちにもあるぞ?」


美味しく食べているエリーの友人の奥さん達を連れて義父の前へ。


「みんな見ろよ。王族のジジイが元気になった股間押さえてるのなんて滅多に見れないぜ?イヒヒ」

「!!!!」

「おのれドモン!く・・・」

「ド、ドモンさん!!駄目よ!なんて口の聞き方を?!」


心配をして「大丈夫ですか?」と声をかけた奥さん達の、女性特有の甘い匂いにクラクラする義父。

ちらりと視線を下に落とした奥さん達に「ご、ご立派ですよ」「私はとても逞しいと思います」と変に気を使われ、「歳に似合わずみっともないところを・・・」と謝る義父だったが、男らしいだのお若いだのとおべっかを使われ満更でもない様子。


「まあ二時間くらいで落ち着くから許せよ。刺激でまたすぐ元気になっちまうけどな。一度食ったら効果が何日も持続しちまうみたいでよ」

「な、なんだと・・・?!」

「若返って良かったじゃねぇか。下半身だけでもワッハッハ!」

「・・・・」


ドモンが高笑いしながらまた去っていく。

義父は羞恥に顔を赤くしながら、少しだけ喜んでしまった自分を恥じた。



義父の下半身が落ち着いた頃、披露宴も佳境を迎えていた。

簡易ステージの上にドモンとナナが上がり、最後の挨拶を行う。

ガヤガヤとしていた場が徐々に落ち着き、静かになったところでドモンが語り始めた。



「えぇと・・・俺はこういうのは苦手なんだけども、突然異世界から来た遊び人のおっさんの結婚式なんかに集まってくれて感謝しかないよホント」


横でペコリと頭を下げるナナ。


「元の世界では人に嫌われることも多かった。まあこっちの世界でも集団暴行にあったり、どっかの王族のジジイに討伐されかかったり、ここにいる貴族達にも最初は嫌われていたと思う」

「・・・・」


「そんな自覚はないけど、もしかしたら俺は本当に忌み嫌われる存在なのかもしれない。イタズラや意地悪が好きだしなハハハ」

「そんな事ないわ」とナナが涙ぐむ。


「でもひとつだけ信じて欲しい」

「・・・・」



「俺は皆の幸せを望んでいる」



全てはドモンの思うままに。


「だから俺の出来得る限り、それに協力したいと思っている。そしてみんなが幸せになった分と同じだけ・・・ナナと幸せになってやる!以上だ!!」


わあああああ!!という歓声に一気に包まれる。

ナナが泣きながらドモンに抱きつき、結婚宣言の時と同じように、ドモンが握った右手の拳を高々と掲げた。

歓声は大歓声へと変わり、拍手が鳴り止まない。



「フフフ、まるで王族・・・いや王ではないか」

「ご冗談を。しかしその器である事は間違いないかと」


義父とカールが拍手をしながら語り合う。



「あ、そうそう。今度こいつとも結婚するからよろしくな。重婚になっちゃうけど異世界人だから問題ないんだって」とドモンがサンの腕を引っ張りステージに上げる。


新婦の横で突然とんでもない宣言をし、全員がずっこけ結婚式の幕が閉じた。





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