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魔物との遭遇

ブックマークと評価ありがとうございます!!

「ここ……どこ…?」



属性判定から約1時間、家に向かっていたはずが何故か森のなかにいた。

心ここに在らず…という状態だったので道を間違えたのかもしれない。

鬱蒼とした森はまだ昼下がりだというのに薄暗い。ザワザワと蠢く森には得体の知れない不気味さが立ち込めていた。

本能が「ここは危ない」と警鐘を鳴らす。



「…早くもとの道に戻らなきゃ」



引き返そうと振り返ると


『ガサッ』


…振り返った先の茂みが揺れた。


[動物!?おばけ!?…変な人とかだったらどうしよう!?]

息を殺して音のした所を見つめる。



『ガサッ…ガサガサッ』



暫くして茂みから出てきたのは……黒いウサギだった。



「なぁんだ、ウサギか~…ビックリした~~」



ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、黒いウサギはこちらに向かって猛スピードで突進してきた!

慌てて横っ飛びに避ける、間一髪、足をかすめたウサギは真後ろの木にキバをたて、かじりついていた。


『ガリッッ!……ミシッ…』


木が不穏な音を立てる。次の瞬間、ウサギがかじりついた場所は木肌があらわになり、ウサギの口の大きさの分だけへこんでいた。


[違う…これは私の知っているウサギじゃない…!!どうしよう!?逃げる??戦う!?…どうしよう!?]そう考えているうちにウサギはまたキバを向け、突進してきた。



「うわぁぁあああ!?」



なんとかウサギをかわす。

速い。私の足では逃げられる気はしない。

[これは…戦うしかないかも…]またもやこちらに向かって来る気満々の黒ウサギを見てそう思った。


ウサギの攻撃は3回とも一直線に噛みついてくるだけだった。一度走り始めると方向転換をしない。[これなら魔法も当たりそう!よし!]戦うと決めたらやるしかない!私は全身に魔力を巡らせ、ウサギを迎え撃つ準備をした…が、



「…あれ…??攻撃ってどうやるの??」



ーーー攻撃の仕方が分からない。


水魔法を使おうとしても手から水がボタボタと溢れるばかり。


土魔法はレンガの固め方や泥団子の作り方しか分からない。



その間にもウサギの攻撃は続く。

避けつつ攻撃してみようと思ったが、ただ水をかけただけだった。



「っ!、マズイマズイ!?何か…何か攻撃!!…あっ!そうだ!!」



この前イベントで見た[ウォーターアロー]を思い出した!水魔法で矢を作って的に当てていたあの魔法なら攻撃できる気がする!!

手に魔力を集中させ、矢のイメージを作る。またもや突進してきたウサギを避け、その背中に向かって…



「「ウォーターアロー!!!」」



手から水の矢が放たれ、ウサギに当たり…はしなかった。


手から溢れるのは先程より勢いを増した水。

ただただ、水がダバダバと溢れるだけだった。


土魔法で壁を作ろうとしても、水魔法で押し流そうとしても思った通りに魔法は出てくれない。

ウサギはずっと突進を続けているが、疲れた様子はない。

一方私の方は…1回1回全力で避けて、体力はゴリゴリ削られていた。


そろそろ息も切れてきた。助けを呼ぼうにも声に反応して他の魔物が来るのも怖い。大型の魔物なんて出てきたら一貫の終わりだ。


こちらに向かってくるウサギを避け……と、木の根に足を取られた。足が引っ掛かって上手く跳べずにバランスを崩す。

[マズイ…!避けられないっ!!足食べられるっ!!]ギュッと目をつぶったその時…!



「サラ!!」



聞きなれた声がしたと共に私に向かっていたウサギが燃え上がった。


「ルカ…!?」



振り返るとそこにはルカがいた。



「帰ってくるの遅いと思ったら…なにやってんだこんなとこで!!ここは子供は入るなって言われただろ!!早く出るぞ!!」



ルカは私の手を引くと全速力で走り出した。

ほとんど引き摺られるようにして森を出た私は、安堵からか涙が止まらなかった。



「るかぁぁあ~~ありがとぉおぉぉ~」


「分かったから…もう1人であんなとこ行くなよ?」


「う、ん……ごめん…なさい…」


「うん、落ち着いたらゆっくり帰ろう?」


「うん…」



ずっと頭を撫でてくれたルカのお陰でようやく落ち着いたら頃には、空は赤く染まり始めていた。


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