(7)美優と打ち合い
美優と二人で待っていると二年生の指導係と呼ばれている人が来た。
「よーし、よく来た一年生。今日は三人をご招待かな?」
あれ?三人?俺と美優しかいないはずなんだが…。
ふと後ろを振り返ると男子が一人いた。
いつの間に来たんだ、こいつは?
美優はびっくりしすぎて
「ひゃっ!」
と言ってコケた。
「一年三組…の…神原 竹…と言います。よろしく…お願い…します。」
いや誰もそんな事聞いてないって。それにしても陰の薄い奴である。忍者ハッ〇リか、こいつは。気配というか、生気が感じられない…。
「神原 竹ね。んで、そこのBOYとお嬢さんは?」
「瀬渡 廣です。」
「竹原 美優です。」
「よしよし、元気があってよろしい。それじゃあ卓球部の説明を始めるよ!」
先輩の説明はうまかった。まず、卓球の基本的な事から始まり、それからいつもしている練習メニューを教えてもらった。練習中に起こったハプニングなどを混ぜながらの説明だったので、とてもおもしろかった。例えば、〔振り抜いたラケットが後ろにいた人の鼻にクリーンヒットし、鼻血をだした〕などだ。
一通り説明が終わり、実際に打ってみる事になった。
卓球には大きく分けて、二種類のラケットがある。
普通にテニスと同じように持つ[シェイク]と、鉛筆のようにしてラケットを持つ[ペングリップ]だ。
俺は両方持ってみて、しっくりくるペングリップにした。美優と竹という方はシェイクだ。
「じゃあさっき説明した通りに打ってみて!」
俺は卓球の球を上に投げ、ラケットを振った!
カコン♪という心地良い音とともに球が前に打ち出される!
美優がそれを打ち返す!
それをまた俺が…という無限ループ!なのだが、これがすごく楽しい!いやー、卓球ってこんなに楽しかったのか。
美優も…
「ほっ!」
「やっ!」
と、掛け声を掛けながら楽しそうに打っている。
「二人とも筋がいいねー。」
「ありがとうございます!」
なんか先輩に褒められちゃったぞ。
「じゃあ神原くんは先輩と打とう!」
神原くんも打ち始めた。
結構うまいなあ。
しばらく打ち続け、それから部活動見学は終了となった。
「ありがとうございました」
「是非、卓球部に入ってねー。」
挨拶をして、卓球場を後にした。
「いや〜、卓球があんなに楽しいもんだったなんて知らなかっなあ。」