(6)部活動見学
先生からの連絡によると、今日、一年生は放課後に部活動の見学をしてもいいらしい…。どうしよっかなぁと思っていると、美優が話しかけてきた。
「ひろは部活見に行くの?」
「いや、特に当てはないが…。」
「じゃあついて来て。」
「…………………………………………わかった。」
断ると後が面倒だからな。
「なんか言った?」
「いや、別に。」
勘の鋭い奴め。
そして、俺はカバンを持って美優について行く。
「なあ美優さン……じゃなくて、美優、どこに行くんだよ?」
「いいから黙ってついて来なさい!」
うぅ〜。やっぱりこえぇよぅ…。
仕方ないので、黙ってついて行く。
しばらく行くと、急に美優が立ち止まった。どうやら目的地に着いたらしい。
その場所を俺は確認する………。
ん?ここは卓球場じゃないか。(この中学校は卓球に力を入れているので、専用の体育館があるのだ)
ふと気が付くと美優が卓球部の先輩に話しかけている。
「すいません、私達卓球部の見学に来たんですけど…。」
あー、また『私達』って言ってるし…。俺は卓球には興味が無いんだが…
「あっ見学?じゃあ新入部員の指導係を呼んであげよう。おーい、二年の指導係〜。」
「また人の意見を聞かずに決めて〜。ひどいじゃないか。」
俺が美優に言うと…
「いいじゃない。どうせまたどこにも入る気なんてなかったんでしょ?」
いちいち勘の鋭い奴だ。
でもなんで卓球なんだ?
「私がやりたかったから。」
またそういう理由かよ。
「それに…」
美優は続けた。
「ひろに似合うと……。」
「へっ?なんだって?もっと大きい声でしゃべってくれよ。」
「もういい!!なんでもない!!!」
よく見ると美優の顔が真っ赤である。そんなに怒らなくてもいいと思うんだが……。
「とりあえず、早く体操着に着替えなさい!」
言われるままに体操着に着替えた。
なんか自分が情けなくなってきたな……。