(4)三人の親友
俺が一人で落ち込んでいると、堅人がやって来た。
「隣のクラス行こうぜ!」どうやら千子さんに会いに行きたいらしい。しょうがない、行くか。
「しょうがないってなんだよー。お前は会いたくないのかよ。」
俺は千子さんに特別な感情を抱いているわけではない…。
とりあえず二組に行く。
二組の教室の前で俺はもう一人の親友に会う…。
「よっ。ひろ。また堅人に振り回されてんのか?」
こいつは宮澤 浩樹。堅人と同じ、小学校からの仲だ。
「見ての通りだぜ。全く疲れるやつだよ。こいつは。」
「そんな事言うなよぅ。」堅人がじゃれついてくる。
「やめろ、気色悪い。奴がこんな場面見たら…」
「あ〜ら、こんなところで男性が二人してじゃれついて、何をしてらっしゃるのですか?」
出たーーー!!!
奴だ。
「全く、暑苦しくてしょうがないですわ。」
小川 文子。彼女もまた小学校からの友なんだが…
「こんなところでしてたらはしたないですわよ?もっと薄暗いところで二人きりでやらないと…。」
彼女はいわゆる世間一般でいう腐女子っていう奴なのだ。
「そんなつもりじゃねーし、したくもねぇ。つーか早く離れろ!」
俺は堅人を引き剥がす。
「本来の目的は千子さんに会うことだろ?」
「そうだそうだ。こんな事してる場合じゃねぇ。千子さ〜ん。どこですか〜?」
「千子さんはいないよ?
副級長になったから先生に仕事頼まれて行っちゃったよ?」
浩樹が言うと堅人はがっかりした顔をしてため息をついた。
「はあ〜、こんな事なら級長やればよかったなあ。
しかし、よく立候補したよな、お前。全然そんなタイプじゃないのによー。
しかも女子と一緒に。」
「へ〜、ひろ 立候補したんだ。しかも女子と一緒に(笑)。」
二人でニヤニヤし始めた。俺は弁解する。
「俺は本当はやりたくないのに、勝手に手を挙げさせられたんだよ!!!」
「嘘つけっ!本当はやりたかったんだろ!」
「そうそう、ひろは昔から嘘が下手だからね〜。」
あ〜、信じてもらえない〜。
「まあまあ、ひろもそういう点で成長したって事ですわ。いい変化じゃありませんの。」
うう〜、なんか勝手に解釈されてしまった…。
「やべっ。次の授業始まっちまう。いくぞ、ひろ。」二人にまた後でと伝え、教室までダッシュした。