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(23)夢
「はあ、そんな…ことが…あったんですか。衝撃的…でしたね。」
俺が話し終わると竹原くんはなにかを納得したようだった。
「うん。まあ良い思い出というか、封印しておきたかったというか…。」
「どういう意味?」
「な、なんでもありません…。」
せんちゃん、ちょっと殺気が…。
「まあ勉強しよう、そうしよう。」
「そうやって逃げるし!」だって恐いんだもの…。
そこからは勉強をして、特に何も起こらずに終わった。何事もなくて本当によかった。いつもせんちゃんに絡まれるとろくなことがなかったからなぁ。
家に帰り、風呂に入って飯を食べて寝た。
思ったよりも深くは眠れず、夢を見た…。
ところで、夢というのは不思議なもので、昔の記憶や願望、印象に残っているなにか、はたまた全く身に覚えのないものまでいろいろなものを見せてくれる。
しかし、夢を見ている間は夢を見ているという自覚はない。よってその人の過去は改変されることなく映し出される。
ここからの話はひろの夢の中、ひろの過去についての物語である。