名も無きΩ
…会いたい…
…会いたい…会って最後に抱きしめたい…
僕の大切な子どもたち…そして…
Ωと蔑まれ生きてきた。
貴方と初めて出会った場所は、僕は鉄で出来た檻の中あなたは、そんなΩを買うαの上客だった。ステージから見える景色は、客席全員が仮面を被り僕にとってそれは異様な恐怖の光景だった。
僕を落札した貴方は、僕に微笑んでくれる事もなくその美しい顔から発した言葉は、僕を絶滅へと落とした。
私の子を孕め…名も無きΩよ
あれから、僕は、何人の子どもを孕み産んだのだろう…
一度もこの手に抱かせてくれる事はなく…只々私を抱きにくる貴方…
誰も僕の話を聞いてはくれない、目も合わせてもくれない…僕はいつも1人だった。
そんな孤独な日々も終わりみたいだ…。
産後の肥立ちが悪かったのか、僕は、日に日に弱っていった。
目もかすみ、耳も遠くなり、それでも貴方の存在だけは、分かるようになっているんだね…貴方が初めて優しく僕の手を握り耳元で言ってくれた言葉…
僕は、忘れずにいたい…でも…無理みたい…身体中から力は抜け僕はその短く生涯に幕を降ろしたのだ。
最後に子ども達、そして貴方を一目見たかったなぁ…
貴方がどうして、僕を選びそばに置いたのかは、分からない、でも僕は、貴方に愛されていたんだね。最後の最後で知ることができたんだ…
「おやすみ。私の愛しいΩ…ルナ」