表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

150/153

勇者との対峙…もう泣きたい…。

あたしは、魔王城の玉座に座っていた。

深呼吸して…。

勇者が来るのを待つ。


「みんな…天から見守っててね…。」


…飛空艇の音が聞こえる…。

勇者も来たみたい…。

これから本当の戦いになるのかしら…。

あたしは…あたしは…。

あんなこと…されて、ちょっと怖い…。

でも…みんながここまであたしを守ってくれた…。

だから…あたしも…。


「頑張るね…。」


勇者たちのモンスターとの戦闘音が近づいてくる…。

少しずつ…少しずつ…。


「ゴクリ…。」


緊張でのどが渇く…。


「バタン!!」


ついに玉座の扉が大きく開いた。

あの…勇者だ…。


「はっはっは!!よく来たのぅ…勇者よ!」


あたしは精一杯キャラを作って、勇者を迎える。


「…逃げたくせに…。」

「…私はちょっと同情してます…。」


ぐはっ!!

しかも、女剣士には同情された!?


「うっ、うるさい!」

「…図星?」

「ち、違う!!」


うぅ…半分当たりだから、何とも言えないよぅ…。


「ここまで来たのじゃ、そなたたちの名前を聞きたい。

わらわの世界となった時には、名を刻んでやろうぞ!」

「…リノン・ジータ。」

「シルビィ・シュタインです…。」


リノンとシルビィかぁ…。

…なんか、シルビィの方がしっかりしてそう…。


「貴様ら、わらわの部下たちをひどい目に

合わせてくれたようだな!」

「…人間に人いことしてたのは魔王じゃなく?」

「うっ…。」


確かにそうだけど…。

…いや、だってあたし、人間に裏切られて…。

その怨念で…。

恨んで…。


「お前らがわらわを裏切ったのが悪いのじゃ!!」

「昔の事なんて、知らないし~♪」

「うっ…。」


…ダメだ…この勇者…。


「…お姉ちゃん、魔王さん困ってるよ…。

あまりいじめないであげて…。」


…くっ、同情された!?


「まぁよい。わらわの部下たちは、果敢にも

おぬしらと互角に渡り合ったのじゃろう?」

「いや?ほぼワンパンだよ~?」


…そっか…。

みんな、苦しまずに逝ったのね…。

それだけ聞けて、あたしも安心かな…。


「…では、わらわもワンパンで倒せると思っているのか?」

「いや?」

「ほう。さすがにわらわだと手ごわいと?」

「そうじゃなくて。」

「ん?」

「ファンファーレ・レイで倒したいから…。」

「…。」

「じわじわ弱らす。」


…泣きたい…。


「はっはっは!!

そのような強がり、どこまで持つかな!!」

「…涙目になってるけど、大丈夫?」

「お姉ちゃん!?」


…うぅぅ…もうこのまま泣こうかな…。

女剣士…シルビィに同情されまくってるよ…。


「…御託はもうよい!同胞の恨み、ここで晴らしてくれるわ!」

「その強がり、どこまで通用するか、やってやる!!」


はい、強がりました…。

…もう、どっちが魔王かわからないよ…。

ねぇ…泣いていい?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ