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第1話 プログラマ、転生をする。

俺の名前は井上守。


きわめて容姿端麗で勉強もできる、そして何にせよモテる。そんな男に一度でもなってみたかった。


正直に言おう。俺はブサイクでのろまで勉強もできなくて、彼女いない歴35年の中年のおっさんだ。



20歳。

俺は念願だったゲーム会社に就職し、スマートフォンゲームの開発に携わることができるようになった。

とても嬉しかった。確かに就職したゲーム会社は零細だった。しかし自分の力で何かが形になっていく(さま)は楽しかったし、何にせよ達成感が半端ではない。

しかしそれと同時にキツくもあった。


同期はどんどん出世していく。同期はどんどんプログラミングができるようになっていく。


そして自分はどんどん置いて行かれる。



理由はわかっている。なぜならそれは、俺が「ブサイクでのろまで勉強もできなくて、そして運がない」からだ。


小学校ではいじめられて、中学校でもいじめられて、そんな毎日に嫌気が差して引きこもり生活を始めてしまった。


今はもうあきらめているが、時たま思うのだ。

「もしもあの時いじめられていなかったなら」

「もしもあの時いじめに対抗できる力があったなら」


「もしも俺が()()()()()()()()()()()()()()()()()()」。



-----------------------------------

俺の職業はプログラマ。俺はこの業界に入る前プログラマはゲーム作成の花形だと思っていたが、作ったプログラムはうまく動かないし、そのことでまた上司に叱られた。いい加減この職業にも嫌気が差してきた。


そして今、俺は徹夜明けの眠い目をこすりながら、ようやく終わった仕事の余韻に浸ってとぼとぼと歩いている。


ぼおっとしていたのだろう。


それは咄嗟(とっさ)の出来事だった。



俺は眠くてぼおっとしていた。運転手は前方不注意だった。



ただそれだけのことだ。運が悪かっただけだ。ただただ運命の()()()()()()()()()()()()のことだ。



そして俺は走馬灯のように思う。


「せめてもう一回、悔いのない人生を過ごしてみたいものだなぁ」


と。



-----------------------------------

気がつくと俺はだだっ広い空間にぽつんと立っていた。



たった一人で。誰もいない。色もない。終わりの見えないただ真っ白な部屋。


俺は不安になった。人間はこんなにも何もない世界が怖いのか。



「生き返ってもう一度人生をやり直してみたいですか?」



いつの間にか目の前に15歳くらいの少女が立っていた。


「あなたは不慮の事故により死亡しました。」

「私は死後、あなたを導く女神です。」


そうか。やはり俺は死んだのか。


「はい。あなたは確実に()()()()()。」

「そしてあなたは前世に悔いがあるようですね。」


そうだ。おれの人生は悔いだらけだ。だからもうやめてくれ。いいんだ。もう誰にも知られることなく、きれいさっぱり()()()()()()()()()()ことにしてほしいのだ。


「そうですか。ならば今からやり直せばいいじゃないですか。」


嫌だね。もう一回やり直せるとしても俺はもっと楽に生きたい。もっと苦しまずに生きていきたい。

世界は俺にとって窮屈すぎるんだ。

しかも、だ。俺みたいな人間がもしもやり直したとして、まともな人生が送れるとでも思うか?


「私は思いますよ。意識が変われば人間も変わる。人間は()()()()()()()()()()()()()のです。」

「しかし私は不思議です。せっかくなりたいようになれる権利があるのに、なぜなりたいものにならないのですか?」


それは違う。なりたいものにならないのではない。なりたいものに()()()()のだ。


「そのために私が存在するのです。あなたのように、前世に後悔の残る者にはその記憶を引き継いで一回だけ、一度だけ人生をやり直せるチャンスがもらえるのです。」


そうか。ならその世界で俺がなりたいものになるためにはどうすればいい?


「簡単な話です。なりたければ頑張りなさい。なれなくても頑張りなさい。さすれば周りが自分をなりたい自分へと導いてくれる、というものです。」


そんな簡単に行くものなのか?


「だからこそ私がいるのです。私はあなたみたいな人間が好きなのです。後悔するくらい必死に生きている人間、見ていて面白いじゃありませんか。」


そう言ってその女神はニヤニヤしながら、

「期待していますよ。是非、私を楽しませてくださいね。」

「あなたにはとびっきりのプレゼントを用意しましたから。」


「逆に想像してみてください。私があなたにとびっきりのプレゼントを用意したんですよ?普通はプレゼントって男性からもらうものですからね、普通は。」


と言い、イタズラ好きな少女のように笑いながら

「本当はこういうことダメなんですけどね、あなたみたいに純粋な人、この2000年で初めてですから。応援したくなっちゃいました。内緒ですよ?」

と言う。


つらくても、いつかは報われる。

続けていれば、誰かが見ている。



そう女神は俺を励まし、最後に俺へこう告げた。


「あなたは高いポテンシャルを持っていますよ、守さん。あなたがプログラマとして積んできた苦しかった経験、いじめられて培ってきた苦しかった経験、生かしなさい。そして前世でまだのうのうと生きている、人を蹴落とすことでしか心を満たせない、それでいて悔いも何もなく死んでいくような奴らを見返してやりなさい。」


俺はあのクソッタレな世界への(ささ)やかな反抗心と、淡い希望で心の中が満たされていくのを感じた。


そして俺は堅く硬く決心した。


今度こそこの世界で後悔しないように生きていこう


と。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

感想などでアドバイスなどいただけると嬉しいです。

ダメダメプログラマ井上守は異世界に転生してどうなっていくのか!?


毎週月曜日から金曜日まで午後6時すぎに投稿していきます。

この物語が少しでも面白いなと思ってくれた人はブクマ、評価、お願いいたします。

また、何か意見があれば感想をしてくれると非常に嬉しいです。


私も悔いのない人生を過ごすために堅く硬く決心します。


この小説を最後まで書ききって、最高に面白い小説にしてやろう


と。

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