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六人の絆

作者: 久方光
掲載日:2017/12/26

本作品は2010年12月21日に書いたものです。夏休み作品



 「お前等、夢はあるか!」


 夏休みも差し迫ってきているある日の放課後の教室。

 今年中学生になったばかりの6人が集まっていた。

 そして唐突に質問してきたのは俺の親友の一人、健だ。

 健は昔っから熱血で運動出来る奴だ。勉強はからきしダメだが。

 「勿論あるに決まってるじゃん!彼氏を作る事だよ! 」

 こいつは智美。恋話が大好きで、今メッチャ彼氏募集中。

 ちなみにこいつも親友だ、とゆうか、幼なじみだな。家隣だし。

 「そうゆうことじゃなくて。例えば将来の夢とかだよ。」

「俺は社長になることだ!金もらえるしな。」

 この意地汚いのは慎二。こいつは頭は良いんだが、金の事ばっかなんだ。親友だけど。

 「お前はまた金か!それ以外にはないのかっ、慎二!」

 こいつは悠里。慎二と良いコンビで突っ込み役。幼なじみでスポーツ万能、成績優秀。 「私は…看護師になりたいなぁ。病気になっちゃった人を直してあげたいなぁ…」

 この子は由実。中学校でこの街に転校してきて仲良くなった新友だな。

 「それいいんじゃね?メッチャ由実に似合ってるよ。」

 最後に俺。俺は蒼太。勉強も運動も出来る方ではないけど、全く出来ない訳ではない。つまり真ん中って事だ。

 「うんうん!由実ならなれるよ!」

 「ナースいいな~儲かりそうだ。儲かったら少しても分けてく…グヘッ」

 悠里の右ストレートが慎二に決まった。一㍍ぐらい吹っ飛ばされて慎二が…スマン。と言って取りあえず終了。

 俺は視線を健に移す事にする。

 「でも健。何でいきなり夢何て聞くんだ?」

 そしたら健はよくぞ聞いてくれたと言わんばかりにうんうんと頷いて言った。

 「それはな、俺の意見発表文のテーマが『夢について』だからだ。」

 俺たちは口をポカーンと開けて、一斉に【は?】と言っていた。

 「わからないか?なら教えてやろう。俺はその意見文でまとめとしてこう言っているのだ。(人は夢を語り合うほど絆は強くなる。語り合うほど、夢の大切さは大きくなる。)だから俺たちで語り合おうじゃないか!絆をより深く、より強くし、みんなで夢の大切さを大きくしていこう!俺たち親友だろ!なっ悠里!」

 「そうだな健!みんなで語るか!」

 悠里が同意した

「俺も、金のためじゃなくて絆を深くするために!」

 慎二までノリノリだ。

 「それのついでにみんなの恋バナも聞かせてね!」

 珍しい。智美までのってる。

 「私も感動しました!夢、語り合いましょう!」

 まぁ由実はホント感動してるんだろな。そして流れ的に次は俺だ。俺の言葉を待つようにみんなの視線が俺に向けられてる。この場合俺はあえてのらずに冷静に言う。

 「まぁ簡単に言うと、健の意見文の説得力と本当にそうなのか試したいって事だな。」

 「えっ、そうなんですか?」と言ったのは由実だけで、他の奴は「だなっ」とか「そうだよな~」とか「恋バナは聞かせてもらうっ」とか言っている。

 健は俺に「やっぱ『冷静の目』だけは見破れなかったか~」と苦笑した。

 その言葉に対して俺は「その呼び名は止めろ」とだけ言った。健はあっヤベッと返した。

 それに対して由実は素直だから聞いてきた。

 「冷静の目て何ですかぁ~?」

 その言葉に俺は片眉ピクッと上げて、智美はメモ帳出す手を止めて、慎二と悠里は(知らないうちにしていた)ケンカを止めて、健は額に汗が流れた。

 みんなの雰囲気が普通じゃない事が由実にも分かったらしく妙にあたふたして、

 「み、みみ、皆さんどうしちゃったんですかぁ?わわっ私何か悪い事聞きました??」

と言っていた。俺以外の4人はこくんと頷いた。

 そう、この『冷静の目』のあだ名は昔色々あったのだ。それによって今は封印されていた。今でも忘れてて健みたいに使う奴はいるのだが…。

 由実は知らないので仕方がない。

 「由実、そんなに落ち込まなくても良いぞ。元はと言えば健が悪いしな。気になるだろ。話してやるよ。これは去年の事で…

 あの頃は俺も若くて。小学校の先生がよく間違ったんだよ。それを俺が指摘してたんだ。それだけ聞いたら普通だろ?でも指摘の仕方と場所とかが普通じゃなくてな。例えばテスト中。その問題まで行って文章的におかしいところがあったら先生に大声で指摘したりしたんだ。それから少し経って俺も大人になったんだな。テスト中に言うのはまずい、て分かったんだ。それからテストの文章の間違いはテストに簡単に書くんだが、授業中に間違った奴についてはもしかしたら言えなくて苛立っていたのかも知れない。いつの間違いについて、何故間違ったかの予想、これからの対策、他の所に間違いはないか、とか書きまくって一ページ潰すのがしょっちゅうで。先生方俺に突っ込まれないようテストなんか一週間くらいかけて慎重にやり始めたんだ。勿論間違いはみるみるうちに経ていった。

 でも、俺が先生方に注意していたのには変わりなくてそれは伝説になってしまったんだ。どんな時でも冷静に物事見れる、すぐ間違いを見つけられる。『冷静の目』のな。」

 その話を聞いて納得出来ないと言うように首を傾げて由実は言った。

 「でもでも、何で蒼太君は『冷静の目』って言われるのやなの?」

 俺は一瞬表情を失ったがみんなにばれないように心の奥からの笑顔で、

 「だって、恥ずかしいじゃないか。自分のやった事が伝説になるなるなんて。」

 由実はそっかぁ~と納得していた。

 後ろで残り四人小学校時代を知る奴らは俺を見てニヤニヤ笑って「言ってやろうか。」とか「そんな嘘分かんないと思って居るのかしら~?」とか言って最後に健が由実に向かって「真実を教えてやるよ~」とニヤッとしながら言った。

 健は俺が「やめろ~!」と赤面しそうになりながら言うのも聞かずに喋り始めた。由実は真剣に「教えて下さい!」と言うのだった。

 この時俺は由実の事をSなのか?と疑った。

 「例えば俺なら運動会。あぁ、ここで『冷静の目』について付け足しな。この伝説はホント先生が直されただけじゃないんだわ。結構な人は助けられたんだ。こいつの『冷静の目』ともう一つの蒼太があまりに必死で止めてそれの代わりに『目』だけが有名になった秘密の伝説のおかげでな。」

 健は俺の方を向いてだよな~と同意を求めてくる。認める訳無いだろ。アレは伝説じゃ無いし…。いや、マジで恥ずかしい。………

 「……………俺、帰る。………」

 俺は恥ずかしさで顔が赤くなるのを隠せないままうつむいて細い小さな声で言った。

 そしたら健が焦って俺を呼び止めた。

 「あぁわりぃ!言わないから帰るな!それに今日集まって話しがしたいから放課後残れって言ったのお前だろ!本人居なかったら話し出来ないだろ~。」

 健に言われて俺はハッと気が付いて、「帰らないから喋るなよ………。」と言って帰ろうとした身体の向きを戻す。そして自分の席に座るとしきり直して喋り始める。

 「じゃあ本題に入る事にする。」

 そしたら慎二が、

 「始めに集まって何するのかと思ったらダベリ大会をしよう!とか言ってねぇ。」

それに悠里が頷いて、

 「その次いきなり、みんなに言いたい事ある人!とか言ってねぇ。」

 さらに健が、

 「それで沈黙が続いたから俺が喋り始めたのにねぇ」

 最後に智美が、

 「自分の伝説語られたくないからって本題に戻すって。とゆうか本題あったなら始めから言えばいい物をねぇ。」

 『無いよねぇ~~??』みんな揃って俺を睨んでくるのだった。

 俺が苦笑いをして流そうとした時。

 

 「……………スミマセン………………………」

 

 由実の声だった。一㍍くらいの距離にいる俺でもギリギリ聞こえるくらいの声だった。それをきっかけにみんなが黙ってしまった。

 でもみんなが黙ったのは由実に気をつかったのでは無かった。

 うつむいていた由実には分からなかっただろうが全員でアイコンタクトを取っていたのだ。

 [また冷静の目が活躍するな。]

[また連れて来ちゃったんだね。冷静の目。]

 [また救い人が来たな。楽しみだなぁ~。]

 [またライバル増えちゃうんだね。蒼君はレベル高いな~]

 4人で口には出していないが俺の事を言っているのは分かる。目線だから冷静の目って使っている奴も居るんだろうな~と思いながら俺は話を始めるためにアイコンタクトをアイコンタクトで終わらせる。

 [色々話すのは良いが、話し始めるから止めてくれ]

 そしたら智美は顔を伏せるし他三人はニヤニヤ笑いながら[分かったよ]と目線で言った。智美が何で顔を伏せたかわからないが問題はなさそうなので話を進める事にした。

 「由実?大丈夫か?みんな真剣に聞いてくれるから安心して話してくれ。」

 由実はコクっと頷いて顔を上げた。そして昨日俺に話してくれた事を話し始めた。

 「私は、この学校に来てまだそんなに経ってないです。それは皆さんもよく知っていると思います。そして私は極度の恥ずかしがり屋でもあります。自分で言うのは恥ずかしいですけど。なので私はお友達を作るのが上手じゃありません。現に一学期が終わる直前の今でも、私に話しかけてくれたこの5人としか話せません。そして、私は他の人とはなかなか会話出来ません。話しかけるのはおろか、話しかけられてもなかなか返せないです。それは前の学校の事が影響しているんです。…多分。

 ここからは昨日蒼太さんにも話していません。初めて皆さんに語る事です。

 去年のことでした………


私の前いた学校は結構進学校でした。なので中学校お受験する人とかクラスの半分くらいいました。それもあって中学校にはバラバラになるから六年生でいっぱい思い出を作ろう!と言っていたんです。

 それなのに私はみんなの思い出を傷つけるような事したんです!

 運動会で30人31脚で転んだり、修学旅行で一人電車に乗り遅れたりしたんです!それにお財布無くしてみんなに探してもらって結局鞄に入ってて無駄に30分遅らせてしまったり。

 私、サイテーで。みんな励ましてくれたけどそれは絶対裏では色々思っているはずで!私の親友だった子のお気に入りの服にジュースかけてダメにしたりとかで!


 だから私ここでも何かやらかしているんじゃないかとか思って。皆さんに迷惑かけてたら申し訳ないなと思ってて話せなかったんです!」

 俺も含め5人とも声を揃えて

 『そんなことかぁ~』

 とため息ついたりしていた。

 そんな中由実一人周りの様子を見ていなく、済みません済みません!と言っていた。

 その姿があまりに一生懸命なので俺は止めた。

 「由実。良いぞもう謝らなくて。それにお前は何で謝っているんだ?」

 そこで由実は謝るのを止めて俺たちの顔を見た。

 「私がまた…何かやらかしていると…お…もっ…て……。」

 おどおどしながら由実は答えた。

 そこで俺は質問を変えた。この鈍感娘が分かるように。 

 「じゃあお前は誰に謝っているんだ?何に対して?」

 「友達です!親友です!仲間です!何が言いたいんですか!」

 由実は何が言いたいのかまだ分からないらしく大声で答えた。もうそろそろ正解を言う事にする。

 「友達だろ?親友だろ?仲間だろ?ならお互い支え合って生きていくだろ!時にはケンカして、友情を高め合うだろ?友達ってゆうのは、親友ってゆうのは、迷惑かけてなんぼだろ!俺も迷惑かける事もあると思う。だからおあいこなんだから気にすんな!」

 俺がそう言うと由実は泣きそうになっていた。「ありがとうございます!」とか言っている。

 俺は続けて言う。冷静の目と言われるようになる理由のような言葉を。

 「なんてどっかの少年漫画とかにありそうな事を!とか入れて話したりは俺はしないが、結局はだな。このクラスは正直者ばかりだから迷惑かけられたりかけたりするから安心しとけ。その保証はバッチリだぞ。」

 由実は一瞬ポカンとしたが、「そうですか。…そうですよね!」と気分が元に戻ったようなのでよしとする事にした。

 話しが一段落したのが分かると4人一斉に由実に話しかけた。

 「どうだった?実際の冷静の目を見て!」

 「ビックリしたでしょ~熱から冷だもんね~」

 「切り替え早いだろ~?それも伝説のうちなんだぜ!」

 「蒼君に対しての印象変わったでしょ?」

 矢継ぎ早に聞いてきていつもなら一人ずつお願いします~と言う所なのに由実は答えていった。何故かは分からない。

 「始め感激したんですけど冷静に変わって確かに切り替え早くて凄い!って思いました。だから伝説なんですね。蒼太さんは…凄く格好いいです!!好きになっちゃいました!」 何故全部聞き取れたのか考えていたため、由実の話していた事は全く聞いていなかった俺は、みんなが一瞬静かになったので「どうしたんだ?」と聞くと健と慎二が、

 「蒼太には敵わないよな~」と言って、

 「この~モテモテやろ~!」とか悠里が言って、智美が由実に

 「ライバル多いんだからね!」と楽しそうに言っていた。

 俺はと言うとみんなの言っている意味が分からなくて、置いてけぼりを食っていた。

 そこに由実が俺の方に向いて、

 「好きです。サンタ君!」

 と意味不明な言葉を発していたのでまともそうな健に日本語に訳してもらった。

 「分かんないのか?お前のあだ名も、お前に片思い候補もまた一人増えたって事だよ。

 「あだ名が増えたのは分かったが片思いってアレか?由実が俺を…その……好きって言う事か?」

 そこで悠里が思い出した。

 「あぁ。そういえば蒼太ってそれ以外なら出来んのに恋愛になると目も使えないんだよな~忘れてたぜ。」

 そこで智美がそうそう。と頷いて、

 「だから蒼君ってライバル多いし、蒼君自体も鈍感で今まで告白受け取ってもらえた回数はゼロなの~どっかの誰かさんが忘れさせているんだけどネ~?」

 それで智美が悠里の方を見た。悠里は何故か恥ずかしそうにしていた。

 「そんなのべつに良いだろ!それに忘れさせてんのはこいつがあまりにその子のこと意識しちゃうからで……とりあえず!今回もやるからな!行くぞ。蒼太!かまえやがれ!」

 そうなんだ。いつもよく分からないうちに俺はかまえさせられてそれで、

 「蒼太のバァカァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

 殴られて意識飛ぶんだ。

そして意識が戻った時に、みんな揃って解散した。


 ~意識無かった時の教室~

 「いっつも誰かが告白するたびにこんな酷い目にあっているんですね。サンタ君」

 「あっあいつを思ってやってんだ。始めは止めてたけど、それであいつ気絶して一日授業出来なかったことがあって。それから殴ることにしたんだ。」

 「ほら。言ったとおりでしょ?ライバルは多いからね。みんな凄いわよ。何人かと聞かれれば、恋バナ女王のわたしが知らない情報はない!このクラスの半分は確実に好きよ。それに上級生にも下級生にもいるのよ。蒼君人気は計り知れないわ。」

 「うんうん。だからうちは好きってみんなにばれないようにしてんだけどな。」

 「もうとっくにばれてるわよ」

 「何でだよ!うちはお前以外言った覚え………」

 「悠里の好きな人って結構高値で売れるんだよね~本人が隠しているせいもあるけど。」 「智美!なに取引してんだ!」

 「それでこその恋バナ女王!みたいな?」

 「こぉぉらぁぁぁぁ!!」

 「お二人仲良いんですね~」

『どこがだ!』


 「女子にはついて行けないよな~」

「正直金の方が分かり易くて楽だ」

 「蒼太には救われたけどさ~」

 「羨ましいよな~」

 「ところで何でサンタ君なんだろな?」

 「そうだな、初めてだよな。」

 ・・・。

 「もうそろそろ起こすか」

 「ったく。いっつも世話かけるぜ」

                               おわり




  【六人の絆】 辞書


サ行

…………………………………

  〈名称〉サンタ君…《意味》サンタのように幸せを運んでくれるし、蒼太と一文字違いだから。



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