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♪ 友だちみつけた

作者: 中仙堂

クララちゃんは十歳の女の子。

毎日学校の帰り道に

小さなお店の前を通ります。

なんのお店だと思いますか。

そう、それは「楽器店」でした。

そのウインドウの中に、

彼女が気になっている物があるんです。

何か判りますか。

それは銀色にかがやく

「フリュート」でした。

ウインドウのすみで、

しずかにじっと並んでいました。

クララちゃんがその前を通りかかると、

何か言い出しそうなんです。

でも「フリュート」は何も云ってはくれません。

毎日クララちゃんは

学校の帰り「フリュート」と

お話をしていました。

でも何を話していたのかは

私にも判りませんでした。


或日の夕方

クララちゃんは

お母さんに言ってみました。

「お母さん。

お願いがあるの。」

「何かしら。」

「私ね、毎日学校の帰りにお話するんだ。」

「あら、お友だち。」

「そう。」

「今度紹介してちょうだい。」

「良いわ。」

「お名前は。」

「へへっ。「フリュート」さん。」

「フリュートさん?」

お母さんには何のことか判りませんでした。

或日、クララちゃんのお母さんが

お買い物の帰りに、

町の楽器店の前を通りかかると、

クララちゃんが、

ウインドーの前で、

何かをしています。

そっとお母さんが見ていると、

ウインドウの中の

「フリュート」とお話をしているようでした。

そして、

その日もクララちゃんが

学校帰り、いつものように

楽器店の前に行くと、

驚いてしまいました。

そして足早に帰ってしまったのです。

楽器店のウインドウの中には

くららちゃんのお友だち

「フリュート」が居ませんでした。

次の日の日曜日、学校はお休みでした。

その日クララちゃんは中々起きだしませんでした。

「クララちゃん朝ですよ。起きなさい。」

お母さんが呼んでも起きませんでした。

しばらくして、

クララちゃんが起きだすと、

枕もとに大きな箱が置いてありました。

お父さん、お母さんからのお手紙が

ついていました。

開いて呼んで見ました。

「クララ、お誕生日おめでとう。」

急いで箱を開けてみると、

箱の中にはクララちゃんのお友だち

「フリュート」が入っていました。

「お父さん、お母さんありがとう。」

その日の夜クララちゃんは

ゆめを見ました。

大好きな「フリュート」を抱えて

始めて吹いている夢でした。

軽やかな「フリュート」の歌声でした。

まるでクララちゃんの背中に

羽根が生えたように

軽やかで美しい声でした。


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