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古書の香りは死の匂い  作者: みぞれ
第1章 古書の香りは埃の匂い
2/2

本は人に投げたらいけません!

 とある街の片隅にある小さな小さな二階建ての古本屋。そこから物語は始まる。



 日の光が天窓から差し込む埃臭い店内、奥の方にポツンとある大凡カウンターとは言い辛い場所に男は座っている。


「……客来なくね?ふわぁー」


 今時珍しく一度も染めたことの無い母親譲りの黒髪、眠気に耐えて頭を掻いたせいか少しボサボサになっており、

黒縁眼鏡の奥から見える両眼は眠たそうに半分閉じている。

整った顔立ちをしているのだが、なにぶん美意識に欠けるようでボサボサの髪とやる気を感じれない眼のせいか近寄りがたい雰囲気を醸し出していた。


「大学ばっくれて古本屋でバイトしてるのは良いものの、こう毎日客が来ないと仕事首になりそうだな……」


 そうぼやくのは先程の黒髪の男――弓弦(ゆづる) (しょう)

大学生活が思った以上に詰まらなく平凡で在り来たり、そんな理由で翔は大学を辞めフリーターとしてこの古本屋のアルバイトをしている。

閑古鳥が永遠と鳴き続ける古本屋にアルバイトが必要なのかは甚だ疑問だが。


 客も来る気配すら無く、春のポカポカ陽気に包まれて、意識を眠りの彼方に放り投げようとした時、ズドンという腹の底に響くような音と、女性の悲鳴。

何事かと思い辺りを寝ぼけ眼をパチクリしていると、


「ユズー、ちょっとこっち来て手伝ってー!」


「やだーめんどくさ――痛い!!」


 二階の奥の方から聞こえる女性の声。

脊髄反射の要領で答えると、二階からハードカバーの本が頭目掛けて降ってきた。




 ――頭たんこぶになってないかな?凹んでないかな?

そんな心配しながら本が直撃した後頭部の安否確認をし、カウンター横にある梯子を登り二階へ行くと、


「……すまん、助けてくれ」


 憐れ、ここの店主が本の下敷きになっていた。


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