はつせんとう。
愛くるしいボディを持った、ウサギちゃんよ、この世は弱肉強食なんだ。経験値は俺が貰う。勿論ウサギちゃんのお肉も。ヘドロご飯は嫌なんだ。
そんな事を考えつつ、ウサギに向け全力の飛び膝蹴りを放った。
ヒュンッ
俺の目の前からウサギちゃんが居なくなっていた。俺の膝が地面に向けて炸裂した。
HPが少し減った。
奴め、連○の白い悪魔か……
早すぎるだろ。
ジリジリとにじりよっていると、また視界からウサギちゃんが消えた、今度は俺の腰にタックルかましてきやがった。
HPが減った。
残り12しかない。これが無くなると死ぬのかな?あまり実感は沸いてこない。変わりにあのウサギが物凄く憎らしくなってくる。
『こぉの糞ボケがあああ!!あ゛ぁっ!』
さっき負傷した膝に、再びタックルが繰り出された。
残りHPが9になったので、【弱者の意地】を使用する。
流石に危なかった。ウサギとは言え、初戦闘で少々興奮し過ぎていたようだ。
スキルが発動したのか、俺の身体を薄い赤色のオーラが包む。
お、おぉ、力が溢れてくるようだ。これならっ!
ウサギに向けて走りだす。俺はこの力でお前を、いや、全てを手に入れるんだ!!
『死ねやあああああ!!あ゛ぁっ!』
ウサギが視界から外れると共に、鈍い衝撃が俺を襲った。
大事な下腹部にクリーンヒット。
のたうち回る俺の隣で嬉しそうにウサギはぴょんぴょんと飛び跳ねていた。
【弱者の維持】のお陰で、死ぬ事は無かったが、ゴブリンの大切な所を狙うとは、なんたる外道か。
HPは現在7となっている。
ウサギは余裕なのか、キューと可愛らしい声で首を傾げ、長い耳を振り回す。
思考Lv.3は何の役にも立たない。妄想する時に、鍛え過ぎたか?大体はえっちな妄想だったのだけれど。
思考のベクトルがちげーじゃねーか....
まさかゴブリンがウサギに負けそうだなんて、考えてもいなかった。大体始まりの町から外に出たら、まず弱いモンスターだろうが!!なんでこのウサギこんなに強いんだよ!!
この世界に転生させた神様もどきに悪態を吐く。
ウサギは未だに自分の耳を遊び道具にクルクルと回っている。全力で睨みつけつつ、どうするかを必死に考えていた。