てんせいさせられました。
「義仁!あれだけ人の物を取っちゃいけないって何度言ったら分かるの!!!」
これは昔の母の言葉だ。夢かな?
「最近は大人しいと思ったら...お父さん!あなたからも何か言ってあげてよ...」
「......義仁。俺は別に悪いとは言わない。だが、もしお前は自分の大切なものを取られたりしたらどう思う?嫌な気持ちになるだろう?人から取って良いものはお金だけだ。」
「ちょっとお父さん!!!なに言ってるのよ馬鹿!もしかしたらあなたの影響かもしれないのよ!!」
「むうぅ。」
「何がむうぅ。よ!!頭でも冷やして来なさい!!」
多分これが最後に聞いた両親の会話だと思う。こんな事を思い出すのか。死ぬ時って。
〈××××!××××××××××!!〉
いきなり意味不明な音声?が聞こえてきた。
〈××?××××××...×××!〉
〈あー、あー。これで意味は通じるかな?〉
お、急に流暢な日本語になったな。
〈お前に選択肢はない。今から違う世界に転生してもらう。〉
え???
〈じゃ、頑張れ〉
え゛え゛ぇぇぇ!?!?
こーゆーのってチートとか貰えんじゃないの!?
いきなりほっぽり出される感じなの!?!?!?
〈む、不満か。しょうがない奴だな。一つだけ力を授けてやる。〉
ひ、一つ......せめて七つだけお願いします!!
〈嫌いではないな、その思い切りの良さは。分かった。七つは無理だが、三つだけやるよ。〉
〈今度こそお別れだ。頑張れよ。〉
説明!!説明は無いんかーーーい!!!
浮遊感を感じた時、急速に上に上がる感じがした。
例えるなら水深の深い場所から、水面に上がる感じだ。
そして辺りは光に包まれた。
未だ朧げな意識の中。義仁は目を覚ました。
ここは、どこ...だ?これが異世界??
義仁の周りは辺り一面の緑が生い茂っていた。
何個か家屋らしきものも存在する。
説明もないまま、転生させられたって...わかるわけねーだろ...
義仁は悪態を付きながらも立ち上がった。ん?足が緑?
『お兄ちゃん!!!どこに行ってたのよ!!探したんだからね!』
気持ちの悪いゴブリンが話し掛けてきた。
義仁はどうする?
戦う
道具
作戦
逃げる← ピッ
しかし回り込まれてしまった。
『訳の分からない事してないでさっさと行くよ!!今日はお兄ちゃんの生誕の日でしょ!!!!』
気持ちの悪いゴブリンに腕を掴まれてしまった。糞っ、振り解けない。
義仁は半ば無理矢理集落に、連れられて行った。
いやお兄ちゃんとか言われたら抵抗できないっしょ。
これが23歳の独身である。