第九十五話 私、ゴブリンナイトを呼びました。
ゴブリンの訓練をしようとしたら後ろが騒がしくなったから振り向いたら国王様と近くの騎士が起きてた。
国王様が起きたならゴブリンの訓練を見るか聞いてみようと思って近づいた。
思いっきり近くの騎士に警戒されたよ。
なんか殺気も感じるけど脅し過ぎたかな?
総勢5001匹で【威嚇】しただけじゃん。
あ、もしかして一斉にすると効果が高くなるのかな?
軍勢で相乗効果になったのならスキルの効果も鰻登りになる訳だよ。
それなら全員が気絶したのかもしれない。
後は防音も意味が無いのかもしれないね。
なんで私は聞かなかったのかって?
そりゃ、あの子のお蔭で気絶しないようになってるからね!
他にも意識が関係する状態異常は無効に出来るんだよ!
魔王時代の世界で魅了を私に掛けようとした勇者も居たけど途中まで掛かった演技をしてタイミングを狙って裏切ってやったのは傑作だったよ。
後は契約類も私には効かないね。
《魔王の契約》で自動的に上書きされるからね。
魅了が効かないって知った勇者が怒って私を奴隷にしようとした時も逆にその勇者を奴隷にしてやったよ。
その後は服のデザインを考えさせてたっけ。
うん、見た目だけはオシャレだったからね。
「勇者シズクよ、何名か偵察に行ってもらえないだろうか。
こちらで周囲に偵察を行かせてはいたが先程勇者の歌の影響で倒れているやも知れん。
頼めるか?」
「何を仰います、国王陛下!
我が国の騎士は、『森林翁』はあの程度で倒れません!」
あ〜、殺気がまた増したよ。
こっちを見てはないけど気配が物凄く出てるってば。
静をあっちに置いてきて良かったよ。
成育の上では悪影響この上ないよね。
勿論、《時空間》と【結界】を張ってるから絶対無事だからね!
忍は・・・忘れてた。
今すぐ張っとこう!
それにしても何この人、もしかして私に妬いてるの?
国王様に声を掛けられたい人なのかな?
「そうですね。
分かりました。
何匹かゴブリンを呼びましょう。」
「貴様が口を出すな!!」
「アングラよ、黙れ。」
「!?」
うわ、殺気がまた増したよ。
しかもこっちを見てるから視線で人を呪えそうだね。
兜で顔は見えないけど。
「では此処にその者を呼んではくれまいか。
儂が仲間であるという証明を渡しておこう。
さすれば救助しようとして攻撃される事はなかろう。」
「はい、分かりました。」
そっか〜、そうだね。
この事態が想定外だったけどあの緑の鎧の人達も倒れてるかもしれないもんね。
《時空間》で上空から調べてみよう。
あ〜、周りが背の高い植物で緑の鎧を着てるから見つけ難いね!
あ、ゴブリンを呼ばなきゃね!
え〜と、鑑定で素早さが高いゴブリンを調べてみよう。
ふんふん、だんトツはゴブリンの魔王なのは当たり前かな?
二番はゴブリンピエロで次はゴブリンナイトか。
よし、ゴブリンナイトを念話で呼ぼう。
『ゴブリンナイト、全員が私の所に来い!
全速疾走でね!』
オォオオオォオオオォオオ!!!
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!!!!!!!
雄叫びを上げろとは言ってないんだけどね?
「はい、呼びました、国王様。
少し待っていて下さい。」
「うむ。」
「こ、国王陛下、此方に化け物が走って来ます!
此処は危険です!
直ちに逃げましょう!!!」
「大丈夫ですから落ち着いて下さい、アングラさん。」
「貴様が私の名前を呼ぶな!!!」
あー、でも本当にゴブリンナイトがどんどん近づいてるけど止まりそうに無いね。
『速度を落として近づけ!』
あ、先頭が転けた。
続けざまに後列も引っかかって転けてるよ。
偵察を任せても大丈夫かな?
心配になって来たよ。