第九話 私、蝙蝠を手に入れました。
《時空間》は時間と空間に干渉する事が出来るスキル。
私は今、空中を全力疾走してます。
《時空間》で空中にトンネルを作った感じを想像してもらえたらそれであってると思う。
空間を固めてるんだよね。
しかもこのトンネルにはステルス機能も付けてるの!
だから『空中を走る少女』を目撃したなんて事にはならないからね。
そしてこのトンネルは蝙蝠まで入れてる。
壁にコップを当てて捕まえるような感じになってます。
もちろん蝙蝠と私の間には壁も作ってるよ。
相手は蝙蝠なんだ。
音魔法とか超音波とか使ってきそうだしね。
《時空間》で作った壁なら光も空気も通すかどうかは思いのまま!
防御面でも同じ空間系のスキルじゃないと砕けないけどそもそも空間系のスキルなんて滅多に持てないから安心だね。
私が何をしようとしてるのかって?
《魔王の契約》は相手を私の配下にするスキルなんです。
そして配下にした相手のスキルを覚える事が出来ちゃうんです。
後は召喚したり死んでも復活させたり出来るんだよ。
これでも効果の一部だから破格なスキルだよね!
私があの邪神に貰ったスキルであり、魔王の証明になるスキルでもあるんだけどね。
《魔王〜》って言うスキルはあの世界にはいくつも有って魔王シリーズと呼ばれてたんだよ。
他にも《魔王の盗人》《魔王の覇気》なんてものもあってそれぞれ破格のスキルだったし相手が持ってたら結構きつかったね!
私がそんな事を考えていると蝙蝠が居る所まで来ました。
蝙蝠はジタバタと暴れてます。
口を開けてるからなんか叫んでるかもしれないけど私には全く聞こえない。
本当に私より大きいね、この蝙蝠。
吸血蝙蝠というより人喰蝙蝠と言った方があってると気がするよ!
さて、この世界で初めての配下に仕立て上げちゃおう!
配下にする方法はいくつもある。
でも今出来ると言ったら方法は二つしか無いけど。
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・相手を殺す。
殺した時に持っていたスキルは手に入れられる。
ただし、呼び出しても殺した時のままで成長はしない。
呼び出した時に意思は無く私の人形となる。
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成長したら覚えられるスキルとかもあるからはっきり言って殺したらそれまで、損してると思う。
だからこの手段は本当に最後の手段。
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・近寄って《魔王の契約》を使う。
スキルを使って配下にした時のスキルを手に入れられる。
呼び出した時は自分の意思もある。
成長して覚えたスキルも手に入る。
近ければ近いほど配下にしやすくなる。
失敗すると配下になり辛くなる。
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殺すよりもこっちの方が良いよね。
《時空間》を使って壁をお城の壁に近づけていく。
最初は暴れることが出来てた蝙蝠もどんどん狭まっていく壁に挟まれ動かなくなっていった。
これで失敗の恐れはないかな!
「《魔王の契約》」
私が蝙蝠の方に手を伸ばし《魔王の契約》を使った。
すると私の手から黒いモヤが出てきて《時空間》で作った壁を通り抜けて蝙蝠を覆った。
そしてどんどん小さくなって消えていった。
やった!
捕獲成功!!
後は部屋に戻ってから確認しよう。
朝日も出てきたしね。
「《時空間》」
私は《時空間》を使って部屋に転移して戻った。
え?
最初から転移すれば良かったって?
これは《物理の極み》と《魔法の極み》の確認もしていたんだよ。
《物理の極み》は簡単に言うと疲れない効果があって500メートルくらいかな、ここから蝙蝠の所までの距離は。
その距離を全力疾走しても疲れないから効果はあるって事だよ。
《魔法の極み》も同じような効果で《時空間》でステルス機能のトンネルを作って維持するのって結構魔力を使うんだよね。
普通は出来ない。
でも出来たから効果があるって事だよ。
魔王時代のスキルで四つは使えるって分かったから良かったと思う。
後は《再誕》だけだけど出来れば試したくないなぁ。
そんな事より、蝙蝠のスキルはどんなものなのかな!?
コンコン。
「勇者様、入室しても宜しいですか?」
タイミングが良いというか悪いというか。
「はい、良いですよ。」